294.使徒墳墓教会2
司祭に導かれ持っていた全てのウサギを祭壇に並べると。
その他、子供達が収穫した野菜も全て並べて…。
司祭はお祈りを始めた。
皆が、経文の書かれた板を激しく額にぶつけている。
うさぎを見た子供たちのテンションが高くて正直引いた。
そのままのテンションでお祈りをしているため。
かなり激しい祈祷だ。
その間に借りた指輪を調べる。
サーチ結果
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道具:赤ルビー
効果:宝石、自然石
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サーチ結果
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道具:ミスリル(ステンレス)
効果:量産品の鉄(鉄:69.5%クロム:17.8%モリブデン:7.7%炭素:1.8%ケイ素:0.9%その他:2.2%)
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うむ、宝石に細工は無い。
自然石のルビーだ。
恐らく触媒であろう、台座は18-8ステンレス相当品。
問題はこの彫刻に掘られた紋章だ。
見たことが無い。
粘土で型を取る。
スケッチも行なう。
特に紋章のコピーは慎重に…。
くそっ、内側にも有る…。
「いやー、これほどお祈りに気合が入ったのも久し振りです。」
「えへへ」
「やった!」
「おにく~♪」
速いなもう終わったのか!?
「もう少し待ってくれ。」
「オットー様申し訳ありませんが。そろそろお昼の準備が…。」
司祭がすまなそうに言う。
「もう少しだ。ベスタ。お茶を用意せよ。」
「はい、了解しました。」
水差しと食堂でパクッたお茶パックを出す。
手早くお茶の用意をするベスタ。
最後に俺が水差しに水を入れ加熱する。
「ほう、コレは良い香りです。ささ、みんな。自分のカップを持ってきなさい。」
「「はーーい。」」
子供達が走り去り戻ってくる。
速いなオイ!
「お茶ー!」「お茶ー!」
「はい、少々お待ちを…。」
ベスタがカップに注いで対応している間に書き写しを終え。
見比べる。
途端に静かになる子供達。
「おちゃ?」
なるほど!良いぞ。熱くて飲めないのだ。
「うーん、お茶だけだと寂しいですね…。」
おい!司祭!!ドレだけ巻き上げる心算だ!
焼き菓子は旅で使い切った。
虎の子のデーツも出した。
梨も無い。
干し肉も使い切った。
「流石にもう無いな。」
「そうですか…。」
残念そうな司祭。
「パンなら在るが…。お茶請けに成らないぞ?」
「はい、ありがとうございます。」
にこやかに微笑む初老の男。
なんでこんなに嬉しそうなんだ?
「そ、そうか。」
収納からパン30個を出す。
「パンだー!」「ふかふか~。」
喜ぶ子供達、パンを持って踊っている。
「これこれ、暴れては行けません。さあ、冥府の王にお供えを。」
「「「はーい」」」
素直に祭壇の前に並ぶ子供達…。
何だかカルト教団っぽいな…。
よし、お祈りが始まった!!
その間に細かい修整を入れる。
お祈りを終えた邪教の信徒はお茶を楽しんでいる。
「痛ーい」
額を擦る小さな子。
「はっはっはっ、修行が足りませんよ?ソレでは異教徒に負けてしまいます。異教徒に殺されると冥府の王の所に行けませんよ。」
「はーい、頑張ります。」
「「頑張りまーす。」」
ホントに大丈夫か?この邪教。
「では、寄進を受けました、南の木の実を頂きましょう。」
デーツを配る司祭。
「あまーい。」
「うあ、あまい。」
「ほう、コレは美味しいですね。冥府の王もお喜びでしょう。」
「司祭殿、調査にご協力、ありがとうございます。」
「ええ、学問の為でございます。」
「又何か調べに来ると思うが。その時は頼む…。」
「はい。その時は…。」
「ああ、何か持って来よう。」
満面の笑みの司祭、子供たちも喜んでいる。
コイツ等…。正直、銭は掛っていないので問題ないが…。
何か…負けた気分だ。




