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290.炭鉱の町2

冒険者と共に朝風呂で汗を流す。

と言ってもサウナは使えないらしい。

温度が上がらないのであろう。

湯船も温いが問題は無い。

軽く汗を流すだけだ。

湯船を出ると脱衣所に女中がスタンバッていた。

大人しくふきあげられる。

汗を吸ったシャツとズボンは洗濯に旅立ったらしい。

トーガに丈の長い外套の様な上着を受け取る。

仕方がないので袖を通す。

回廊に出ると皆トーガ、ダケだった。

この外套は恐らく階級的な意味合いなのかもしれない。

女中の案内で食堂に向かう。

女子も含め全員座っているが、お預けのままだった。

そうか…。一緒に食べる方式か。

皆を待たせてしまったな。

女中に促されてお誕生日席に座る。

「すまない。では始めよう。豊穣の女神に。」

飲み物らしい謎の液体が入った銅のコップを持ち上げ。宣言する。

その動作で皆が軽い黙祷を捧げ食事に掛る。

さて、目の前には半透明なスープに全粒粉のパン。

切り揃えられた根野菜、蕪の酢漬けに謎のホイップが添えられている。

コップの中身は名状しがたいミルクティー的なモノだった。

恐らく暖めた山羊のミルクにハーブとお茶が入っている。

ホイップは塩気のある油脂だった、ミルクから分離したものだろう。

パンに漬けるモノだ。

メイン、深皿のスープは半透明だが酸味とハーブ味。そして細かく裂かれた鳥肉が入っている。

コクが有る味付けだ、恐らく骨を煮込んで出汁を取っているのだろう。


食事中、女中が腰を下げたまま伝える。

「オットー様。この後、ガナドル様より遠征隊の出発式を町の広場にて執り行います。我が兵達の勇姿をご覧になり一言お声を御願いします。」

「了解した。」

式典には積極的に参加しないと行けないのが貴族の辛いところだ。

ご近所付き合い的に。

思い思いの会話を楽しみながら食事は進む。

食事が終わると学園の制服に着替えて用意をする。

宿の前に迎えの馬車が4台着ていた。

ガナドルは恐らく全員参加させる心算らしい。

まあ、町の軍事力を誇示したいのだろう。

独裁者に有りがちなコトだ。

馬車で向った広場では兵が集合していた。

少々落ち着きが無い。

恐らく情報不足で兵の不安が滲み出ている。

浮き足立っているのだろう。

ガナドルが式台の上で待っていた。

「おはようございます。オットー様。我が兵がコレより街道の探索に向います是非一言お声をお掛けください。」

「なるほど、解かった。」

困った。

何か気の効いたスピーチをしなければ…。

式台から見下ろす兵たちの目は動揺と恐怖が見える。

何らかの…不安材料が有るのだろう。

仕方がないのでドラゴンの死体を出す。

どうせ見せると言ったので次いでだ。

石畳の地面に転がる羽根つき爬虫類。

「おはよう諸君。我が名はオットー・フォン・ハイデッカー。ハイデッカー家の男で魔法使いだ。我々がこの町に向かい。街道の危険な生物はこの様のさまだ、諸君等は危険度の低い脅威を取り除き街道の安全化。引いては町の安定を取り戻す名誉ある仕事なのだ。相手は森に潜む者達だ。不覚を取らぬように充分注意して進め。」

逆に動揺し始める兵達。

”ドラゴンだ…。””ホンモノのデービスなのか?””本当に魔法使いなのか?”

「うぉっほん!ソレでは出撃せよ!」

「代官代理殿に敬礼!!全隊進め!」

指揮官の掛け声で敬礼の後門を出る兵隊。

「ありがとうございました。兵も気合が入りました…。あの。この魔物は…?」

「ああ、ここに向う途中に倒したドラゴンだ。」

「これが…。ドラゴン。」

コイツを見てくれ。どう思う?

凄く…。

驚くガナドル。

まあ、ドラゴンを見たものは少ないらしいのでこんな反応だろう。

野次馬の町の住人も怖がっている様子だ。

仕方がないので収納する。

「あっ、」「あれだ…。あの時の。(ガクブル)」

もう少し見て居たかった様子のオシリスキーと感動で震えるダーク少年。

そんなにドラゴン好き?

まあ、確かに心が躍る不思議生物だ。

「あの。この後は…。」

ガナドルが続ける。

「冒険者ギルドに用事が有る。」

「はい、では馬車をお使いください。」

「他の者に使わせてもらおう。俺と冒険者しかギルドの用事は無い。他の者は商店や物見だ。」

「そうですか…、護衛を。」

「大丈夫だ。不要だ護衛は居る。わが配下の者だ。」

ベスタも冒険者だ。

任務の認定が必要だろう。

「はい。解かりましたお気を付けて。日没までにお戻りください。」

向き直り少年少女達に話しをする。

「ご好意により馬車をお借りできる事に成った。町に出る者は使え。但し単独行動はするな。ベスタと冒険者殿は俺と共にギルドに行こう。先に仕事…手続を済まそう。」

「「「はい。」」」

嬉しそうな返答だ。

まあ、遠足だからな。

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