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289.炭鉱の町1

朝だ夜明けだ。

空が明るい。

未だ中庭に日は差していないが採光窓から光が優しく室内を照らしている。

採光用に石英ブロックが一部入っているようだ。

二人は未だ眠っているのでゆっくりベッドから抜け出し用意してあったシャツとズボンに袖を通す。

中庭で軽く準備体操をする。

汗が滲む。

冒険者達も起きて部屋から出てきた。

「おはようございます。朝の鍛練ですか?」

「おはよう、そうだ、日課なのでやらないと調子が出ない。」

アジルが剣を持っている、柄に入ったままだ素振りをやるつもりだな。

ザーバとムロも続いている。

ザーバは盾をウェイトにして柔軟体操を行なっている。

ムロは基礎体力の向上の為に三点倒立だ、なるほどなかなか考えたな。

参考しよう。

受身の練習が終わり、休憩していると。

素振りを終えたアジルが声を掛けて来た。

「模擬戦を行ないませんか?」

なるほど、悪く無い。

アジルは両手剣だ。

王国には余り居ない。

「良いだろう、お手合わせしよう。」

収納からクレイモアを取り出し布を巻く。

刃がない鉄の剣だ。

素振りをして重さを確かめる。

「よし、良いだろう。」

「では、行きます。」

上段から振り下ろしてきたので左に避ける。

うん、良い太刀筋だ剣の重さダケでなく体重、背筋も、全身の筋肉を使った振り下ろしだ。

アジルの踏み込んだつま先が流れた。

次の攻撃を仕掛けるつもりだ。そのまま振り上げ気味になぎ払い。

半歩下がり間合いから出る。

振り上げ踏み込んだ状態から足をなおした、連続攻撃か…。

袈裟切りを剣で受ける。

受けられると剣を下げ俺の上半身が開いた所に両手で構えて体重を掛けた突きが来た。

剣で突進を反らしアジルの踏み込んだ足の脹脛の後ろに足を入れる。

驚いた顔のアジルの上半身を押して転ばせる。

そのまま後転しながら逃げるアジル。

「リーダーの連続攻撃をかわした!」

「うむ、見事な体捌きだ。初見でかわすのは難しい。」

そうか?足元見ていれば意外に簡単だぞ?

素早さが足りないのだ。

「お見事です。剣では勝てると思ったのですが…。」

笑顔だが頬が引き攣っている。

意外に本気だったと思う。

リーダーが手を差し伸べたので固い握手をする。

「うむ、次を願おう。」

屈伸をしながらザーバが答える。

なんでこんなに脳筋ばかりなのだ?

コイツ等は戦うのが楽しいのだ。

目礼で返答する。

盾と片手で剣(鞘付き)を構えるザーバ。

構えて後悔する。

此方が不利だ。

返し技が多い俺の戦い方では、タンク職には手数が少ない。

「さあ、掛って来るのだ。」

ほう。俺の特性を見抜いたのか?

なかなかクラスDと言う者は侮れない。

「では、参る。」

息を吸い込み止める。

恐らく優位を保てるのは一瞬だろう。

クレイモアを構え相手ザーバの誘いに乗る。

打ち込んだ剣が盾に吸い付く。

無表情のザーバ、そうだ、予測していた動きなのだろう。

そのまま剣を振り上げる。

俺は剣を捨て盾の縁を掴む。

腕と背筋、体重で盾を廻す。

テコの原理で盾を持つ手(作用点)が巻き取られる。

ココでカンの良い者は盾を捨てるが。

ザーバは力比べを選択した。

良い、

己の力に自信が有るのだ。

誘っているのだろう。

揺れた重心により力が抜けた振り上げた剣の袖を持つ。

俺のほうが重心が低い。

そのまま型崩れの一本背負いに絡め獲る。

腰が乗った時点で俺の支配下だ。

地面を転がるタンク職。

剣を手放し。

顎を引くザーバ。

丸まった背骨はそのまま身体に掛る地面の衝撃を分散させる。

派手に転がりながら、コントロールした回転で距離を取るザーバ。

両手で盾を保持している。

「どうだ?こんな所だ。」

「うむ、良く解かった。」

息が荒いタンク職。

「やべぇ、兄貴が苦戦してる。」

気が付けば回廊に女性陣が勢ぞろいしている。

と言うか全員大集合だ。

「あの…。オットー様。」

「え、あ。おはようございます。」

マルカとベスタも居る。

興が削がれてしまった…。

しらけた麩陰気が中庭を包む。

女中がやって来た。


「お食事の用意ができました。半身浴でございますが湯の用意もございます。」


「そうか。ココまでにしよう。俺は身を清める。」

「うむ、ありがとうございます。」

頭を下げるザーバ。

女中の後に続き小浴場に向かう。

”どうだ?””うむ、クラスBでも互角だろう。””凄い、宮廷魔術師ってあんなコトが出きるんだ…。””いや、絶対無理だぞ?”

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