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284.最終日4

皆で喜びを分け合っていると。

責任者が来たらしい。

成金趣味の初老の小男だ。きらびやかな鎧を付けた衛兵を数人連れているが。

衛兵の顔が悪役顔なので胡散臭い。

「お待たせいたしました。この町の代官代理を務めさせて頂いております。ガナドルと申します。」

「ハイデッカー公爵家三男オットーだ。我々は王都の魔法学園の一団とその護衛だ。二三日逗留するつもりなので。よろしく頼む。」

「はい、何分辺境の地なので御気に召さない事もありご不快に感じる事も有りましょうが。精一杯歓迎させていただきます。」

深々と頭を下げるガナドル。

目つきが厳しい、なるほどかなりの者らしい。

「さてと。実務の方の話をしよう。現状、我々は4日前にハイデッカー領を出た。街道で魔物を狩り進んできた。」

「はい、ありがとうございます。あの…街道の破損状況はどうでしょうか?」

「道の寸断や破損、塞ぐ物は無かった。馬車も問題は無く通行できる。ただし問題の魔物だ。途中に熊と遭遇してコレを倒した。」

「その熊なのですが…。お恥かしながら商隊が襲われたのでコチラで討伐の兵を出した所、力及ばず。撃退されました。」

「うむ、その様だな。コチラも先に進むため、埋葬をする事が出来なかった。熊は持ってきたが…。」

「その熊を拝見したいのですが…。出来れば。その、兵の遺族に…。」

そうだな、見せてやらんと納得しないだろう。

「解かったコレだ。」

収納から取り出し地面に横たわる。

どよめく衛兵と薄汚れた住人達。

「こ、コレがあの熊…。」

「そうだ、レッドベアーらしい。俺もココまで大きな物は初めてだ。」

「おおおおすばらしい、オットー様、無理を承知でお願いが在るのですが…。」

「なんだ?」

「この熊を売って貰えないでしょうか?」

「熊を何に使う?」

「いえ、あの…。」

きょどるガナドル。

「まあ、良いだろう。以前これより小さいレッドベアを狩ったが王都のなめし屋では金貨30枚だった。肉付きでだ。」

「は、はい。では、金貨40で買います。」

なるほど、嘘は言ってないが何かを隠している顔だ。

「で、ギルドの討伐依頼は幾らだ?」

にっこり微笑んで訪ねる。

唾を飲み込み脂汗を垂らす小男。

「はっ!金貨…。申し訳ありません。今の金額は把握していません。」

なるほど…。冒険者ギルドに討伐依頼を出しているのだな。

ギルドに入る前に買い取ろうと言う事だろう。

商売ならOKだが貴族としては恥かしいだろう。

「良かろう。肉と毛皮は売ってやろう。但し、討伐した者として、名声と魔石はコチラの所有物とさせてもらう良いな?」

「はい!直に用意させます。」

「では熊を置いてゆこう、宿を案内せよ!」

深々と頭を下げる小男。

「ハイではコチラに。」

皆が歩き出し馬車が動く。

移動した後に兵士達が熊に集まっているのが見えた。

まあ見張り付きだ、問題ないだろう。

前を歩く小男を観察する。

服が金ピカだ、”10まんボルト”や”かみなり”等の技が出せそうだが…。

たぶん”でんきぶくろ”が無いので出せないだろう。

偉そうに肩を切って進んでいる。

傲慢さの表れだろうが、どうやら貴族の子供に頭を下げる程の分別が付くらしい。

たぶんコスイだけだな。

そうでなければこんな強面の兵を引き連れる必要は無い。

一応釘を刺して置こう。

前を歩くガナドルに語り掛ける。

「ああ、あと熊の腹の中の物は持ち主に返せ。」

「はあ?」

「まあ良い、開けてみれば解かる。必ず持ち主に返せ。」

「はい、解かりました。」

よっし、言質を取った。

これで問題ないだろう。

宿に着いた。

皆がすごい引いている。

「コチラが我が町で最も格調高い宿でございます。」

「うむ、そうか…。」

金ぴかだ。

恐らく真鍮葺きだろう、石の色も金に見える様な花崗岩の雲母が多いものを選んでいる様だ。

無駄にキラキラしている。

コイツの趣味なのだろうか?

「どうでしょう。この外観、美しい色だと思いませんか?」

うっとりした顔のおっさん。

「そうだな、一般の者には到底、手に入れるコトは出来ないだろう。」

嫌味で言ったのだが別に受け取ったらしい。

興奮気味に早口になるガナドル。

「はい!もう。コレは…。(長いのでカット)作りました。コレほどの物は王都にも無いでしょう。」

「そうだな。(棒)」

”なんか、キモイなあのおっさん。””一応、宿の便宜を図ってもらえるのだ…。言葉を慎め””やだ、””やべぇ、御大臣みてえ。”

オシリスキーとダーク少年のささやきが耳に入る。

鉢がね少女隊もドン引きだ。

「うぉっほん。申し訳ありませんでした。」

少し顔を赤らめるおっさん。

おっさんが恥らうというのは意外に絵にならない。

やばいな…。高そうな宿だ。

宿代がふんだくられそうだ。

まあ、良いイザと成ったら現物払いで何とかしよう。

「解かった、ココを宿にしよう。しかし。俺の配下の者には奴隷も居る、護衛の冒険者とも未だ契約中だ。良いのか?」

「はい。ソレは勿論。ハイデッカー家ご家中の方やご学友さまにも何も御不自由させる事はございません。」

「そうか…。安心した。ココが今日の宿だ。」

「「「はい」」え~。」

「各自の荷物を持て。宿に入る。」

皆が馬車の私物のカバンを受け取る。

宿屋の丁稚ドアマンが遣って来た。

身形の良い同年代の男だ。

「馬車と馬はコチラに。」

「娘とベスタは馬を納めたら合流せよ。」

「はい、わかりました。」

「あの…。ホントに良いのですか?」

不安毛な娘。

「事故に注意せよ。」

「「はい。」」

馬を牽くドアマンと共に車庫に入る馬車を見送る。

「では行くぞ。」

「「「ハイ」」」

宿屋ホテルにチェックインだ!

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