2.男子タルモノカツモクセヨ
家庭教師は午前中に終わった。
とりあえずマイヤー先生から最近起きた国内外事件を聞き出すことに成功した。
ロジーナ王国国内のこととカルロス帝国のコト。
あとは領内のコト。
領内も安定している。
以前は国境紛争で発生した流民が領内に入り込み一部の森を開拓させることによって吸収したらしい。
ロジーナ王国内は安定している。
十数年前に即位した若い国王(と言っても今は40歳)が国を掌握している。
国境は不安だったが最近は落ち着いている。
カルロス帝国国内、皇帝の高齢が原因らしい。
皇帝自体の健康は問題なく。後継者が数人居るらしい。
崩御の場合には少なくとも混乱は起きるだろうと言われている。
なるほど。
地図と本を並べて見比べる。
本では今の皇帝が拡大路線だったので王国の国境で毎年小競り合いが起きていると言っていた。
帝国とは西に接しているが北は山脈と大森林で南の平野が今までの主戦場だ。
ゲームに当てはめて考える。
おいおい、この森、ダンジョンが在る森だろ?
聞いていないぞ?
未発見なのか?
主人公の村は解からない。
初めて向かう町の名前は在った。
ビンゴだ。
いや、ゲームではビゴーって町だがビンゴ村になっている。
地図が古いのかもしれない。
ゲームでもショボイ町だったからなあ。
青銅の剣しか手に入らないぐらいショボイ。
この周りの開拓村に主人公が居るはずだ。
しかし。国境より離れた森の切れ目の村だ。
行く用事も理由も無い。
主人公は居ないかもしれない。
魔法学園に行かなければ会うことも無い。
俺はどうすれば良いんだ?
最近は飯が旨いのでバクバク食べている。
成長期前だからな。
いや、このままではゲームの様なブタ公爵坊ちゃんになってしまう。
語尾にブヒが付くぐらい。
ブタではダメだ。
体を鍛えよう。
この国の常識ではデブは軍人になれない。
乗る馬が居ない。
伊佐治翔太の記憶では伊佐治の国では”横綱”や”大関”と言う称号の聖戦士”スモウレスラー”や熊すら素手で倒す”カラテカ”と言う職業が在るらしい。
何故か訓練方法も記憶に在る。
魔法使いは援護職だ。
ソレはこの国での常識に当てはまる。
主人公は剣も魔法も使えるアドバンテージで相手を圧倒した。
俺は遠近両用素手でも魔法でも戦える男になる。
打倒主人公。
ぷにぷにの腕で拳を握り決意する。
「やってやるぞ!!」
先ずは筋肉を付けよう。
関節を柔らかくしないとケガをするらしい。
受身と言う万能転倒方があるらしい。
柔軟体操。
腕立て腹筋、腿上げ。スクワット。
柔道の受身や脇締め、エビ。
なるほど…。コレはキツイ。
キツイから強くなるのだ。
拳を固くするには殴るしかないらしい。
痛そうだ。
殴るものを探さねば。
庭師小屋に金床が在ったな。
明日持って来させよう。
「よし!!いい感じだ!!筋肉が悲鳴を上げている!!」
「ぼっちゃんどうかしました…。ヒッ!!」
床に転がりエビを行なっている最中にドアを開けたメイドと目が合った。
下から見上げる感じだ。
もちろんメイドのスカートは長いので中が見えることは無い。
「ぼっちゃんが!!オットー様が!!だれか!!だれか!!」
誤解は解けたが。
家の者が俺を白い目で見る様になった。
(´・ω・`)
“柔道 エビ”で検索していただければドレだけキモイことしていたのかお解かりいただけます。