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275.四日目3

馬車は進むがその後も何度か道を塞ぐツノウサギ。

何だコレ?これがエンカウントなのか?

”うさぎさーん””ソレットそっちに行った!””えい。(ガッシュ)”

鉢巻少女隊がウサギ一匹を取り囲んでボコっている。

「教授。共同戦果はどうなるんですか?」

「うん?まあ、基本的には一人一匹計算だが得点は人数で割るコトになる。狩猟に参加した記録は残る。」

なるほど…。ソレなら問題ないだろう。

「教授、ソレットが止めを刺しました。」

金髪ウェーブ垂れ目のキーファがツノウサギを持って来た。

「そうか…。ソレは良かった。生徒ソレット戦果ツノウサギ1」

うむ、ソレットのナイフが確実に急所を一撃で捉えている。

おっとりさん怒らせると怖いのか?

「あ、また。うさぎさん。」

「まかせて。」

矢を放つクーリョ。

見事当たり、やおいのツノウサギを持ってくる白髪のオカッパ。

「教授、やりました。」

「生徒クーリョ。戦果ツノウサギ1。」

考査表に書き込む教授。

「随分と獲りましたね。」

「冒険者殿。」

リーダーのアジルがやってきた。

小まめに停止しているので暇なのだろう。

昼の休憩予定場所には未だ到着していない。

「しばらく肉には困らない。問題が無ければ明日の夕方には目的地の炭鉱の町だ。宿に泊まるコトになるが次の日の朝には学園に帰る。」

「生徒オットー、移動の魔法を使うのか?」

「はい、教授そのつもりです。」

「確かに…。目的地到着で考査は終了だ、日数も問題無いだろう。」

「やべぇ、折角来たんだから。町を歩きたい。」

「モーサ遠足じゃ無いんだから…。」

ムロがたしなめる。

「うむ、確かにそうですな…。」

下級生を見渡すが確かに行って帰るダケでは面白味が無いだろう。

「少々治安の悪い場所だと聞いています。町を歩く時は一人に成らないで下さい。」

「「「はい」」」

「おい、安全なのか?生徒オットー。」

「ギルドの情報ではケンカが多い町だそうです。危ない所には近づかなければ問題は無いでしょう。」

「やべぇ、ケンカが多いってw」

「妹よ喜ぶ所ではないぞ…。」

「オットー様二泊しましょう。次の日は朝から休日にして翌日の昼に帰りましょう。

「そうすれば学園に戻っても次の日休みです。」

ラカスが進言する、同調するオシリスキー。

「あ。」

気が付いた様子のシェール。

「旅の疲れを癒しましょう。」

勝手に連休計画を立てる鉢巻少女隊、

学園をズル休みしているワケでは無いのだが移動時間も学園の活動を行なっているコトに成る。

たとえ町で遊んで居てもだ。

「教授どうしますか?」

「生徒で決めろ。時間は取ってある。」

考査に関係ない所なのでそっけない教授。

「冒険者殿は?」

「依頼者の決定に従います。正直。折角ココまで遠征出来て尚且つ(来た事が無い)新しい町です。ギルドと酒場で情報収集をしたいのですが…。」

正直に答えるアジル。

「う~む。」

馬と馬車の調子は問題なさそうだ。

正直、町の中の店を探索したい気も在る。

ほら、新しい町に行くと強い武器が売っているだろう。

宿屋と道具屋しかない所も有るが…。

「よし、計画どうりに明日の夕方までに到着すれば翌日を休憩日にして翌々日の昼過ぎに町を出る。」

「「「やったー」」ばんざーい」

「ソレには明日の夕方までに到着する事と。獲物を狩ってソレを宿代に当てる。」

「はい?」

「うさぎさん…。たくさん。」

「宿代は自腹だ、獲物を町で売る。旨いものと良いベッドで寝る為に獲物を獲るぞ!」

「う「「はい」」ぎさん」

よし!良い返事だ。

話が決ったので皆軽い足取りで進む。

昼に近いが…休憩所の近くに大きな光点が現れた。

「止まれ。」

「どうしました?オットー様。」

手を上げ馬車を止める。

森の先に大きな反応だ。

「ラカス、付いて来い。全員警戒の上待機。話し声、大きな物音を立てるな。」

「「「はぃ」」」

足音を立てずに道から外れ森を進む。

ラカスは俺の後を付いてくるが、物音を立てない。

やはり、忍び足に慣れている、鎧の形や剣の鞘が音が出ない形状に成っているのは伊達ではない。

森は途切れ視界が開け人に拠って切り開かれた草原になっている。

木の陰から屈んで見渡す。

これなら光点の正体を肉眼で見える。

中央丘の部分に黒い影が有る。

眠っているのかは不明だがコチラに尻を向けている。

頭は街道の方だ。

「熊だな…。でかい。赤いヤツだ。」(ヒソヒソ)

「道の近くですね。通してくれないでしょうか?」(ヒソヒソ)

「地面を見ろ。」

「衣服、剣、馬の喰い残しですね。」

「嫌なところに縄張りにしたものだ…。熊は獲物を求めて移動する物だが…。」

「向うから餌が来るんです、暫くは移動はしないでしょう。」

「街道の休息所を餌場にしやがった…丘の向うは水場が有るハズだ。」

「雪が降るまで移動する理由は無いですね。餌が来ない限り。」

「よし。一旦馬車に戻るぞ。」

「はい。アッツ!」

派手に転ぶラカス。

掴んだ木の枝が折れたらしい。

木の幹が派手に揺れて上から葉屑が落ちてくる。

「大丈夫か?」

「はい、大丈夫です。」

怪我は無さそうだが、後ろを振り向くと丘の上の熊が首をもたげコチラを見ている。

”目が合った。”

そんな気がした。

ダーク少年を見ずに答える。

「ラカス、馬車に戻って走れ。終わったら魔法弾を天に上げる、丘の上で会おう。無い場合は教授の指示で撤退しろ。」

「え?そんな…。」

「走れラカス!!振り向くな!全力で馬車に戻れ!」

叫ぶ。熊も走り出した。

「は、はい!!」

森を走るラカスの枝を踏み分ける音を背中で聞く。

熊も四本足で丘を駆け下りている。

やはりこの足の速さでは追いつかれるだろう。

まあ良い、鉄の球をお見舞いしてやる…。

収納から50gの鉄の円筒形を…。


出てこない!

しまった使い切っていた!!

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