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28.学食にて

学園の門を潜った所でロリと分かれる。

魔法科クラスの前まで進むと。

未だ授業が始まっていないが。

随分と賑やかだ。

ダァーを開けると。

一瞬で教室内が静かになり、ピリピリした緊張感に包まれる。

くっ何だ。何故だ?


硬直した表情のイヤラシイ顔の学生。

隣の席は空いている様子だ。

目が合ったので微笑みかける。

まるで死刑宣告を受けたような表情だ。

「おはよう、失礼するぞ。」

「お。お、おはようございます。オットー・フォン・ハイデッカー様、」

「おお、良い朝だ、今日の授業の内容は何だ?」

「は?」

「今日の講義内容だ。」

「あ、あの、毎回、質疑形式で授業内容が変わります。」

「そうか。」

そういえば始業から授業に参加するのは初めてだな。

「あの…。オットー様。やんごとない人の席はもっと上のほうですが…。」

「ああ、気にするな。幾つか疑問が有るのだ。教授に近いほうが良い。」

「え、あ、はい。」


沈黙の教室内に一服の清涼剤。では無く。

教授が入ってきた。

静かな教室にかなり驚いている。

そういえば面接の時の教授だったな。

スリムな陰のあるイケ面中年男子だ、女子にモテるだろう。

しかし、ゲームのビジュアルの性だろうか?

イケ面男子が多い。

女子もナカナカの物だ。

悪役男子の俺の顔は小物感溢れるブサ面男子だ。

但し俺は男子だんごの方だが。


「おはようみんな。今日はドコから始めようか?」

出席も取らずに講義が始まる。

なるほど夢の様な授業だ、出席関係ないのか…。

そういえば空席が目立つな。

あ、一番後ろの扉からコソコソ入ってきている生徒が居る。

教室内は無言の圧力に押しつぶされている。

「では、今日は風魔法について話をしよう…。」

なるほど、あの魔法のエフェクトはそんな理由なのか…。

思わず納得する、ゲームの小ネタ暴露なので非常に面白い。

しかし、風の起きる理由が大地神と天空神の会話だなんて御伽噺だな。

未だ北風と太陽の方がマシだ。


後ろに座るくっコロさんは苦々しい顔だ、そういえば帝国は一神教だったな。

多神教の王国では考えが合わないかもしれない。

まあ、文化が違うとでも思って折り合いを付けてくれ。


途中休憩を挟んでさらに講義。

うん、腹が減ってきた。

俺の腹時計ではもう飯だ。

正午の鐘が鳴る。

「では、今日の座学はココまで、午後は実技で第一訓練場に授業開始の鐘の前までに集合。前回の考査をやる者は特に早めに来る事。はじめにまとめてやるからな。」

皆が息の抜けるようなタメ息の後、ガタガタと椅子から立ち食堂へ移動していく。

弁当の者も居る様子だ。その場で包みを広出て居るモノもいる。


となりのイヤラシ顔の学生がこっそり席を立ち他の男子と合流しようとしている。

ああ。コイツ含めてゲームの取り巻き三人だ。

ココで交友を深めておくべきだろうか…。

たしか、三人とも王都育ちの騎士の次男三男で都の地理に詳しい。

情報は欲しい。

「どこへ行くんだ?」

「え、あの、食堂です。」

「ほう、俺も今日は食堂だ案内してくれ。」

逃げないようにガッチリ肩を掴む。

「はい、貴族の方はラウンジが在りますのでそちらでお食事を…。」

うん?食堂が二つあるのか?

ああ、ゲームでも豪華な食堂と安い食堂が選べたな。

豪華な食堂で奢ると好感度が上がるんだ。

しかし、貴族ばかりの所にロリ奴隷を持ち込むと顰蹙を買いそうだ。

「うん、奴隷の連れがいるソレを伴ってラウンジに入るのは勇気がいる。食堂を案内しろ。」

イヤラシ顔君が助けを求める視線を送るが皆黙って知らん顔している。

「他の者と約束が在るならば一緒でも構わないぞ。紹介してくれ。」

ガッチリ首を掴む。もう逃げられんぞ。

すごい勢いで首を振り友達を売る残りの二人。

イヤラシ君を引きずり食堂に向かう。

食堂前の廊下にポツンとひとりで立つロリ。

「おお、待たせたな。コイツは同級生のなんだったかな?」

「はい、ロビンです。ロビン・シュタイナー、平民です。父は王国の準騎士です。」

「関係ないタダのロビンだ。この娘は俺の奴隷のマルカだ、後ろの従者の奴隷はベスタ。俺の名前は…。まあ、良いだろう。」

「「ヨロシクオネガイシマス。」」

さも当たり前の様に頷くロビン、まあ、奴隷の前ではそんな物か。

どうやら奴隷を学校に通わせている物好きは居ないらしい。

「ロビンくん、彼女等は俺のお気に入りだ。俺は彼女等が酷い目に合っているのを見てしまったらきっと正気ではいられないだろう。」

腰につけた大ナイフの柄に手を掛ける。

「ロビンです!ヨロシクオネガイシマッシュ!!」

「よし、挨拶は済んだな?では食事だ。ロビン!この食堂のルールを教えろ。」

偉そうに質問する。

「はい、先ず食券を買います。三種類在ります。麺食券。大皿とパンの食券。大皿を大盛りにするかサラダ付き食券。」

「なに?麺類があるのか?」

「はい、内容は日替わりです。元々職人の代表食なので大量に作って大勢で食べるものです。軍に入るとイヤと言うほど食べるそうです。」

「うむ、そうか…。」

マジかよ天国エルドラドだな軍隊。

「食券を買ったらトレーとカップ、カトラリーを持って食券の色のカウンターで交換します。空いている席に着いて食事を取り、終わったら返却カウンターで表示のカゴに順番に食器を返却します。」

なるほど、カフェテリア方式か…。学食に近いな。

「お茶は各テーブルに一つポットが在ります。最後のお茶を注いだモノがポットをあちらのカウンターで補充するのがルールです。」

「ほう、なるほど解かりやすくて良いぞ。」

「混んでいる時は食べ終わった者から。あちらの休憩所で歓談するのがマナーです。」

「そうか…。何にするか迷うな。」

「ああ、申し訳ありません。各日替わりメニューは壁の黒板に書いてあります。生徒が黒板に触れることは厳禁で減点の対象です。昔、いたずら書きが多かったそうでその名残だそうです。」

「ははは、歴史ありだな。くだらん悪戯をするお調子者は何時でも居るモノだ。」

「あの、食堂内で剣を抜くのも、魔法を使うのも禁止です。」

「なに?素手なら良いのか?」

「いや、そういう意味ではなく。学園内での私闘は概ね禁止されています。」

「なに?初めて知ったぞ!!決闘は貴族の華だろう?」

「何時の時代の話ですか…。」

おかしいなあ、ゲームでは決闘しまくってたのに。

「うむ、そうか…。今まで何度か従者が抜いてしまったが…。まあ、生徒でないから良いだろう。ベスタコレで大盛り券を4枚と麺券を1枚買ってこい。」

「はい、了解しました。」

銀貨を渡す。食券売り場に並ぶベスタ。

「おい、ロビン貴様は大盛り券でよいな。マルカ、野菜も食べろ大きくなれんぞ。」

「はっ!!ありがとうございます。」

「わかりました。」

女は成長期ならもっと脂肪が必要なはずだ。

「我家の家訓…。ではないが。俺はしっかり喰ってガンガン働くがモットーだ。」

拳を握り制服の下で筋肉が盛り上がる。

鍛えていた成果だ。

盛り上がっているのは腹だけではないのだ。

最後は素手と体力で勝負だ。

何か呟くロビン。

「…、ほんとうに貴族なのか?この人?」

「何か言ったか?」

「いえ、何でもありません!!」

ベスタが食券を買ってきた。

ロビン君を先頭にカウンターに並ぶ。

うん、流石ロビン君、大盛りだ男はそうでなくてはならない。

トレーに大皿とパン、サラダ、麺の深皿を乗せる。

うむ、このトレー小さいな。

大盛り頼むぐらいなら二人分食べる俺のモットーでは許せん大きさだ、やはり手を四本生やすか…。

アシュラマンなら確かに便利そうだ。

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