271.三日目3
途中の小休憩を挟み昼食の休憩を終え。
休憩中にオシリスキーが腹を下したが回復のアイテムを使ったのかすっきりした顔で草叢から戻って来た。
「モーガン腹は痛むか?ゲリピー♪モーガン♪」
ダーク少年が囃し立てるがオシリスキーは無言で接近して結界魔法でダーク少年をピヨらせた。
一応、”自分で歩ける程度に痛めつけろ”とモーガンには注意しておいた。
素直に注意を聞くオシリスキー。
痛めつける事が悪いコトでは無いのだ。
名誉を傷つけられて復讐しないのは貴族の名折れだからな。
皆無言で足を進める、ダーク少年は馬車の中で転がっている。
周囲は森の中なので風景を楽しむことも出来ない。
空が灰色になってきた。
「雨具の用意をしろ。」
号令で皆、魔法使いローブを脱ぎ雨具を羽織る。
防水布のポンチョだ、ローブは多少防水機能が在るが雨には大して効果が無い。
馬車の御者台の上に幌を伸ばして庇が出来ているがベスタと娘が防水ポンチョを着ている。
横から降り込むのであろう。
無言のまま足を進める。
遂に降って来た。
足元が悪い。
GUIのMAPが更新されるが。何も光点は無い。
魔物が居ない…。この調子でこの旅は終わるのか?
このままでは赤字だ。
初めに使い切った魔物寄せの臭い袋が悔やまれる。
「ふう。魔物が出ない…。」
「お肉さん…。」
何度目かのタメ息を付くが教授は流石に睨むだけだ。
そして何事も無く、夜営目的地に付いた。
付いた野営地は丘の上に大木が3本。
無人であろう小屋がある。
小屋と言うより納屋に近い。
片切り屋根で木の板葺きで石と棒で押さえる簡単な作りだ。
最悪馬車の下で毛布でごろ寝になるかも知れないと思っていた。
丘の下に池が在る宿営地だ。
馬用の水は水汲みが必要だ、水は降っているのにな。
小屋に近づくがやはり人の気配無い。
「モーガン、ラカス。小屋の周囲と中を確認しろ。」
「「はい、」お任せ下さいオットー様。」
「教授、問題なければあの小屋を今日の宿にします。」
「よし、解かった。」
教授が許可を出したが内心安堵している様子だ。
良かった屋根が有る。
まあ、雨の中の夜営は疲労が抜けない、気が滅入る。
緊張の時間が過ぎるが。
モーガンとラカスが戻って来た。
「オットー様問題ありません、雨水溜めの桶と裏に乾燥した薪が在りました。内部はがらんどうで全員収容できそうです、囲炉裏と間仕切りがあり半分は馬屋。」
「内部はしばらく使用していない様子で囲炉裏は湿気ってます。中はホコリっぽいです。目立った雨漏りは在りませんでした。」
モーガンとラカスの報告だ。
成るほど。薫煙が必要だな…。
意外に手間が多そうだ。
「だ、そうだ。どうする?ベスタ?」
「馬は屋根が在るほうが良いですが、しばらく使っていないなら虫が付いてる可能性が在ります。」
「敷き藁は無い状態でした。飼葉も在りません。桶は幾つか在ります。馬用の囲炉裏?か小型の暖炉がありました。」
ダーク少年が報告する。
「ソレはおそらく馬具用の鍛冶場ですね。蹄を揃える鏝を焼く物かもしれません。道具は揃ってましたか?」
「いえ…。ソコまでは解かりませんでした。」
「何とか使えそうなのは間違いないな。恐らく大休止するために商隊が作ったのだろう。よし、班分けを行なう、」
歩哨班になったラカスと金髪ウェーブ垂れ目のヴェッタが雨の中、木の枝を切っている。
煙で薫煙する為の物だ。
俺も参加している。
木を伐らずに枝だけ掃っているので手間が掛かる。
設営班は小屋の中の整備を行なっている。
雨水溜めは水が悪くなっていたので一旦排水して内部を洗い、溜まるのを待っている。
ベスタと娘は下の池に水を汲みに出た。
護衛は冒険者のザーバが付いていった。
ベスタの話では馬房も薫煙する必要が有ると言う話だ、湿気と温度が低いので暖める必要が有るらしい。
炊事班は囲炉裏に火を起こしている。
ロリが囲炉裏に火を起こす。うむ、もう一言パンチが欲しい。




