267.二日目5
テントは四つ搭載している。
2人用のテント一つに4人用テント3つだ、
女子ばかりの設営班だが今回は4人用のテントを3っつ設営する。
流石に初めは手間どって居たがすばやく3個目は手早く設営を終える。
出来上がったばかりのテントに荷物を置くオシリスキーとダーク少年。
男用テント一つに女子用テント2つ。
冒険者は自前のテント。
娘とベスタは馬車で寝る。
日が傾き始め恒星が山に掛る前に設営が終わり、よい香りが漂ってくる。
皆自分の大皿を持って並び大皿に肉入りシチュー。パンと梨を持って自分の座る場所に移動する。
大概は歩哨班が作った焚き火に皆が集る。
食事の時間だ、周囲の安全は確保しているので、皆ワイワイと歓談を楽しんでいる。
鍋に水を張り、湯を沸かしてあるのでポットに注ぎお茶を作って皆に回す。
”やべぇ、パンもシチューもうめえ。””やはり女の子が作った料理は良いな。””はっはっは、料理の心得が有る人の作った物はちがうのだ。””やべぇ、なんか遠まわしにバカにされた。”
「おいしいですね。」
娘がパンを千切りシチューに付けて食べている。
「娘。料理は出来るのか?」
「はい、それなりには…。」
目が泳ぐ娘。
「まあ、精進しろ。」
「あの、私は食べる専門です。」
ポンコツ騎士のベスタは料理しない派らしい。
「大丈夫です、何とか食べられるものは作れます。」
「まあ、非常食を用意しておくのだな…。」
「オットー様、地図を見ましたが村との間はそんなに距離は無いので…。そんなに頻繁に夜営する事は無いと思います。」
ベスタの言い分だ。まあ確かにそうだ。
あまり人里離れた場所に開拓村は作らない、比較的人の多い王国南部でも馬車で二三日の場所が多い。
「そうか…。利益が出るなら問題ないだろう。」
「ぐっ、農家の納屋を借ります…。」
「火には用心しろ。」
「はい。」
娘に調理を仕込むかベスタに調理を仕込むか迷う。
考えていると山猫団のリーダーアジルがやって来た。
「すいません。オットー様。食事の用意まで。」
「ああ、構わんよ、今回は思っていたより人数が多かった。こうなると10人も15人も手間は替わらない。大鍋一つだ。」
ついでなので質問する。
「普段の移動中はどんな物を食べているのだ?」
「そうですね…。朝は固パンとお茶、昼は干し肉と固パンとお茶。夜は鍋に何かと干し肉を入れてスープと固パンですね。干し肉が無い時も希に在ります。」
「うーん。」
なるほど…。栄養が偏っているな…。
「まあ、そのストレスで報酬が入ると宴会になってしまうのですが…。酒が入ると暴れる者も居ますし。住民からはならず者扱いですね。」
自虐的な笑みを浮かべるアジル。
何かトラブルが在ったのだろうか?
「妹よ、お前のコトだぞ?」
「やべぇ、なんか怒られてる。」
「モーサ、お前が酒場で暴れるから。」
「はぁ?あたいはケンカ売られたから、仕方なく買ってるダケだぞ?」
「なるほど…。」
やはり冒険者は酒場でケンカするものらしい。
ランクなしでは冒険者扱いしてくれないのだ…。
まあ、良いだろうこの旅が終わればランクも上がるだろう。
そうすれば酒場の大運動会に参加資格も出来る。
高ランクの冒険者なら本気で殴っても死なないだろう。
少なくとも口の軽いハゲ程度では無い。
「フハハハハ。」
「オットー様?」
心配そうな顔のムロ。
「ああすまん。君達が良いチームだと思い見ていて楽しく成ってしまった。」
”その割には…。””やべぇ、企んでる顔に見えた。””うむ、何か殺気に近いモノを感じた”
「ああ、昔から我家の男は皆、顔が怖いと言われるのだ。」
笑顔で答える。勿論口から出任せの冗談だ。
”いや、そうですけど…。””ええ、そうですね。””やべぇ、クビが…。””うむ、噂に勝る者である”
何故か冒険者には受けなかった。




