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265.二日目3

森を進む馬車と…。

「ラカス!!交代しろ!」

「モーガン、さっき代わったばかりじゃないですか。」

鹿は収納したので4人馬車に乗れる。

枠は冒険者1名、女子2名、男子1名。

その権利をダンシィ達が席を取り合っている。

どうやらオシリスキーはシティーボーイで長距離行軍訓練を受けていないらシィ。

冒険者枠は殆ど使われないがムロかモーサが使う程度だ。

モーガンあなた疲れているのよ。

そろそろ小休憩の時間だ。

「教授。そろそろ休憩の時間です。よろしいでしょうか?」

「うむ、良いだろう生徒オットー。今回は別の生徒を選別して準備させろ。」

「了解しました。」

毎回、俺が結界を張って、水を用意して周囲の警戒を行なうのはダメらしい。

授業なので全員に経験させろと言う話だ。

馬車を止め、下級生を集めて話をする。

「この中で結界の魔法が使える者は手を上げよ。」

顔を見合う鉢巻少女隊。

魔力が使える様に成ったばかりだ、あまり期待していない。

ダンシィ達は使えるだろう。

「出来ません。」

「昔、姉から教えてもらいましたが覚えていません。」

出来ないのに偉そうなオシリスキーと覚えていないダーク少年。

「まあ、良いだろう。教えてやる。男子はこっちに来い。」

「あ、あの、俺にも教えてください。」

白髪痩身の冒険者ムロが手を上げる。

「ムロ、依頼人殿の手を煩わせるな。我々の任務は護衛だ。」

厳しい声の山猫団リーダーのアジル。

「しかし、リーダー。こんな機会は他に無い!」

ケンカに成りそうなので納める。

「おお。大丈夫だ冒険者殿、護衛の為に魔法使い殿を御借りする。」

「そういうことなら…。仕方ありません。」

「やべぇ、今回の依頼、ムロがおかしい。」

水の準備の為の寸胴鍋を用意して、役目を決め解散する。

オシリスキーとダーク少年。ムロで少し馬車から離れた場所に移動する。

「さて、講義を行なおう、手早く結界の魔法を作る方法だ。」

「はい。どんな呪文なのですか?」

しまった、呪文は覚えていない。

「ソレは後にしよう。先ず結界とは何か?解かるか?」

首を捻るダーク少年。

「魔力を展開して身を守る方法です。」

「そうだな。」

教科書通りの答えをだすオシリスキー。

「空間には魔力がある。それを自分の魔力にして空間に放出固定するのが結界の魔法だ。」

「?初めて聞きます。」

「姉がそんな事言っていたような…。」

驚くオシリスキーと首を捻るダーク少年。

なるほど、ダークエルフは王国魔法とは違う方法なのかもしれない。

とかく王国魔法は経典の様に読上げるものが多い様子だ。

「自己、もしくはある特徴のまま固定化された魔力の空間は他者の魔力の影響を受けない。そうやって魔物の進入または魔法の効果を打ち消している。」

感心した顔のムロとオシリスキー。

首を捻るダーク少年。

「そんな話だったかな?」

「では、先ず練習だ。両手のひらを合わせて魔力を循環させ、ゆっくり手を離せ。循環が切れた所で止めよ。」

ムロは自分の体の幅。オシリスキーは15cmほどだろうか。

ダーク少年は手の幅一杯まで広げている、なんでコイツ落第しそうなんだよ。

「よし、ではもう一度、魔力が切れる手前で止めよ。」

手を開いたままの魔法使い達に順番に魔力の循環を切っていく。

「あ、」

「え?」

「いたっ」

「さて、今のが結界を破られた感触だ。魔力循環が行なわれている空間をムリヤリ俺の魔力で押し切った。」

「え?結界?」

「手のひらの間は自分の魔力の空間だ。線で有ったが結界の効果が有る。」

「ソレでは意味が無いのでは?」

手を挙げ質問するオシリスキー。

「そのままではな、さて、魔法の効果に対して打ち消す効果は空間の魔力量に左右されるので、強力な魔力を使えば効果が高くなる。強い方が勝つ。」

「何となく解かります。」

本当に理解しているのか不安なダーク少年。

「さて、先ほどは線の循環で在ったが球の循環を練習しよう。両手を握りこぶし一個分離して魔力を循環してくれ間に球体をイメージして。」

簡単に成功する6番ラカス、うまく行かないモーガンとムロ。

「うーむ。」

顎に手を当て考える。基礎の魔力循環が出来ないとダメなのか?

「あ、直に出来る様にします。少々お待ちをオットー様。」

焦るモーガン。余計に魔力が乱れている。

梨を収納から取り出し魔力を通す。直に拡散するハズだがお茶が冷める程の時間は有る。

「よし、梨を手のひらの間に入れろ。梨の表面をなぞる様に循環させよ。」

モーガンとムロに渡す。

ラカスには何もして無い梨を投げる。

「ラカス。休憩しろ。」

「あ、はい。」

梨をキャッチして齧るラカス。

「梨には魔力が少し乗せてある。何か解かる筈だ。」

「はい。」

「あ、わ、解かります。」

良い返事のモーガンに戸惑うムロ。

数回の練習で梨なしでも球体が作れるようになった。

「よし、次に進もう。手のひらに小型の結界を作ったが、形を変えてみよう。正方形と球が素早く出来る様になれ。」

ラカスも参加して訓練する。

直に出来る様になるラカス。

コイツ、フェルッポ並の能力だな。

「出来たら大きさを変えてみろ。」

何とか出来る様に成ってきた、ムロとモーガン。

魔力の習熟度は基礎の魔力循環有る無しで随分と変る様子だ。

「消費する魔力は個人差が有る。持っている魔力もだ。その為今作った手のひら結界を基本としてソレの何倍か?で、その魔力量を測り結界を完成させる。先ず自分の胸の中心線から手の先までの大きさの正立方体をイメージする結界を作れ。」

「出来ました!!」

素早いラカス。

「何とか…。出来ました。」

ムロはギリギリ結界としての効果が有る程度だ。

「くっそっ」

何度か失敗するオシリスキー。

成功したのを確認すると。

最後の仕上げを行なう。

「では個人結界をやろう。その前に低級ポーションを配る一旦回復しろ。次は勢いが居る。」

収納から小瓶を取り出し渡す。

「え?」

「頂けるのですか?」

「俺、未だ大丈夫です。」

「全身を包む球体をイメージして先ほどの立方体の5倍の魔力を一気に放出するコトに成る。細かいこと言うと4.2倍程度だが…。一気に行けドカーンと。勢いで。もう、ぐびっと行っちゃって。」

顔を見合わせながらポーションを呑む魔法使い達。

さて、コレで成功したら、いや、成功しなくてもデータは取れた。

このDタイプ成長型はかなりの拾い物だ…。

「6番ラカス行きます!!」

一発で成功するラカス。

ラカスの作った結界を破壊する。

「え?あの。」

「うむ、合格だ。個人の結界としてはなかなかだ。では次。」

「モーガンいきましゅ」

噛んだが問題なく発動している。

まあ、イマイチ密度が悪い。

こんなものだろう…。

破壊する。

「よし、良いだろう。安全な所で反復練習せよ。」

「は、はい!」

「モーガンwましゅって?なに?ましゅ?なんでましゅ?」

煽るラカスに切れ掛かるモーガン。

「モーガン。あの手のひらの結界の使い方の応用を教えてやる。手のひらに結界を作って相手の額を平手打ちしてやれ。」

「はい!了解しました。オットー様!!」

モーガンが走り避けようとするラカスをフェイントで平手打ちする。

「な、なに。」

目眩でふらつくラカス。

相手の丹田を結界で撹乱するのだ。

丹田を整える方法を知っていないと直に対応できないだろう。

「やりました!オットー様!悪を倒しました。」

「ハハハハ、さて、魔法使い殿もどうぞ。」

「はい、オットー様!行きます!!」

はい、行っちゃって。

ムロが作った結界を崩す。

密度は悪く無い。

Dタイプの成長体の反応は標準の魔法使い見習いとなんら変らない。

やはり成長の遅いダケの個体がいるのか?

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