261.一日目7
食事を取って一部元気になった兵達は整列して指揮官からの訓示を受けている。
夕日が沈み始めている。
空が夜と昼の境だ。
星も見え始める。
ソレを横から眺める学園一行。
「おう、済まないがコレからこの砦にサイクロプスを襲わせる。迎撃するので志願者を募る。勿論、参加は自由だ。攻撃用のアイテムは貸し出す。」
「志願します。」
胸を張るオシリスキー。死亡フラグが立っている。
「よし、許可しない。」
コケるオシリスキー。
「何故ですか!!」
いや、お前Lv1ぐらいだろ?ウサギでも狩ってろ。
とは口では言わない。
「支援攻撃が出来る者に限る。接近戦は無い。」
「ゆ、弓ぐらい使えます!!」
ホントかよ…。
「志願する。」
21番の弓持ちクーリョが手を上げる。
「よし。許可しよう。」
「あの、俺もやります。」
痩せのガリの冒険者ムロが手を上げる。
「やべぇ、ムロ死ぬ気だ。」
「ムロ…。単独行動は…。」
「頼む。リーダー、コレは皆の安全の為だ。」
「うむ、なし崩しの依頼は…。ルール違反だ。」
流石痛いところを突いてくるタンク職。
「うむ。そうだな…。狩った魔物の一部の収益は参加者に還元しよう。」
「だって、リーダー、やるべきだ!チームの貢献になる。」
説得する魔法使いに苦い顔のリーダー。
「む、落ち着くのだ。ムロ。リーダーの決めることだ。」
「オットー様。どうやって戦うのですか?」
リーダーの質問だ。
「うむ、魔法使い又は弓兵は支援攻撃だ。城壁より攻撃して敵の足を止める。主戦は兵の仕事だ。それ以外は看護でも良い。」
嘘です。火力で制圧します。
「接近戦は無いのですか?」
「接近戦が考えられるのはこの砦の城壁が突破された時だ。」
「ぐっ…。」
俺を睨む冒険者リーダー、ノッポで茶色の短髪のアジル。
まあ、そうなるか…、選択肢は無い。
脅迫している様なモノだ。
「君達は参加しない者と馬車近くに居てくれ。最悪は移動の魔法で退避させる。」
「任務失敗と言うコトですか?」
「いや…。失敗にはならない。任務中止だ。日割りの依頼料が支払われる。」
「少し…。チームで相談させて下さい。」
下がる冒険者達。
まあ、正直あまり期待していない。
生徒に向き直る。
「娘とベスタは馬車の上で待機。馬車は何時でも出せる様にしておけ。不参加の者は馬車の中へ。」
「オットー様、俺、夜目が効きます。参加します。」
ダークエルフ少年が志願する。
「許可しよう。」
「ラカスは良いのか!オットー様!!俺もやります!もう一度御再考を。」
思わずタメ息を付く。仕方ないな、死んでも知らんぞ?
「ラカスと共に行動せよ。」
「はっ、ありがとうございます!」
敬礼を行なうオシリスキー。
まあ良い、全員フレンド登録はしてある。最悪ポーンで学園に飛んで直に俺だけ砦に戻れば良いだろう。




