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番外地:帝国編7

伸びた女に視線が集る中、少女の叫び声が響く。

痩せた男が少女を殴る。

「うっわ!何だこのガキ!!」

「どうした?」

痛みと衝撃で嗚咽を鳴く少女。

「血が付いちまった!!コイツの下穿きに血が付いてる。穢れだ!!」

「うっわw寄るなよ。穢れが移る。ツキが落ちる。」

「おい、水浴びして来い。ソコの川で。穢れを落せ。」

「おれ、お前と同じ飯は喰わねえ。」

「お前ら遊ぶな早く始末しろ。飯に間に合わなくなる。」

「なんかヤル気なくなっちまった。」

力なく呟く兵。

「どうすんだよ。早く始末して帰ろうぜ?埋めちまってよ。」

途端にやる気のなくなる兵士達。

「チッ」

鼻を触るヒゲの男。

別の男が声を荒げる。

「早くやれよ、穴が埋まらねえ、もう全部、入れちまった。その女とガキだけだ。」

ナイフを持った兵士達の手が伸びて女の服を切り裂く。

「この女の方は足を折っている。そりゃやろうとすれば暴れるさ。」

始めに剥いて手早く始末するのだ。この歳なら乙女でも無いだろう。

「おい。馬車が来るぞ!隠せ!!」

見張りの兵が叫ぶ。

素早く動く兵隊達。

道を封鎖する。

「待て、ソコの馬車。」

「ハイなんでしょうか?」

堅牢な木で出来たカーゴタイプの4輪馬車だ。

一部に鉄の格子が入っている。

中から顔を出したのは小男の商人だった。

誰が見ても胡散臭い商人に見えた。

「ココから先は今、戦闘の後片付け中だ。他の道を行け。」

「そうですか…。もう随分と進んで来たのですが…。何とか通るコトは出来ないのでしょうか?」

「困ったな。未だ敗残兵が残っているかもしれない。安全では無いのだ。」

「解かりましたそう言う事なら…。いたしかた有りません。」

「ご理解して頂けると有り難い。」

「ところで兵隊さん私共の商売の話なのですが…。実は奴隷を扱っておりまして…。この道を進んだのも戦闘が在ったとの酒場での話で来たのです。」

「ほう?どんな噂だ?」

途端に厳しい顔になる兵隊達。

「いえいえ、あくまで噂でございます。私共は兵隊が動けば必ず出る商品を扱って居ります。先ずは偉い方にお目通しを…。」

怪しい方に話が進んだので目を見合う兵隊達。

自然に最専任に顔が向く。

「この分隊の指揮者だ。何者だお前等?」

「あの、私共、奴隷商人は職の無い者に仕事の口を。手の足りない者に手を売る仕事でございます。その、戦時に置いては…。仕入れを…。」

「捕虜を買い取るのか?」

「はい。しかも我々は主に帝国を南から東に進み、遠く蛮地の向こう山脈を越えて行く予定です。後で面倒なコトは一切有りません。」

見合う兵隊達。自然に気を失った女とすすり泣く少女に目が行く。

「帝国内で販売しないと言う約束は出来るか?」

一人の兵が訪ねる。

「おい、命令では全部殺せと…。」

別の兵が耳打ちするが。商人にも聞こえた様子だ。

「そういうコトだ。帝国内で死なれると困るし帝国内で生きていても困る捕虜が居る…。」

最専任が話す。

「はい、そう言う事なら遠く蛮地の向うで一生、生きて出られない場所を知って居ります。勿論そこは男でも女でも子供でも大丈夫です。誰も知りません。」

兵の皆が顔を見合わせる。

声に出さないが、兵士として戦闘で女子供を殺すのは問題ないが、殺人はイヤだ。

神の恩恵を受けられ無くなる。

特に処女の乙女を殺した者は地獄に落ちる。

その為に犯すのだ。

だが、穢れに触れるのはイヤだ。

「よし、付いて来い。但し、見たことは誰にも言うな…。」

兵隊達は金貨3枚を手に入れ。

死体を全て埋めて帰還したと報告した。

金貨3枚は一晩で呑み尽くし、知っている兵は皆、忘れた。


死体の埋葬にはお零れがある。

偶に何か高価な物を身に着けて居る場合が有る。

無論戦利品は全て報告するがポケットの中まで調べる様なコトはしない。

景気の良い兵隊達を誰も不信に思わなかった。

(´・ω・`)番外地:帝国編(前編)終わり。

(´・ω・`)ゞ8話目は後編に編入しました。

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