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番外地:帝国編5

護衛目標の要人と合流して我々の目的はカーレー領に戻るだけであった。

護衛対象は馬車に乗る貴族の御夫人とその娘。そしてメイドが一人だ。

問題は無かった。

安全の為に迂回路を選択している。

発見され難い川沿いの木々の多い道だ。

敵に出会うことは無いだろうと思われていた。

「後方より騎兵。」

伍長からの報告で皆が振り向く。

馬車の上の方が視界が高いので未だ見えない。

素早く反応するマリア隊長。

「ドコの兵か解かるか?」

「不明ですが軽騎兵です。」

「いけない…。足で負ける。ベアトリクス時間を稼いで。」

「了解しました隊長。」

配下の分隊に指示を出す

軽騎兵では追いつかれる。

分隊6騎を率いて道を戻る。

ココで足を止めて馬車に後から追いつけばよい。

一日を確保できれば我々の小隊は味方の勢力圏内だ。

剣を抜き肩口に剣の背を押さえて待つ。

街道を近づいてきた10騎に道を塞ぎ叫ぶ。

「ドコの部隊の者だ!!」

「お前らこそドコの部隊だ。道を明けろ!!」

ダメだ、コイツ等は北方騎兵だ。

ブラウンの髪が北部の者の特徴が在る。

訛りもそうだ。

時間を稼ぐしかない。

「ご自分のお家も名乗れぬのか?」

「御夫人のお遊びにしては馬と獲物(武器)は些か物騒ですな。御まま事は家でなされては?」

軽騎兵の襲撃者は下卑た笑いに包まれる。

恐らくコチラが何者かは解かっている様子だ。

だが確信が持てないのであろう。

「申し訳ないがこの道は今通行止めだ。別の道を行け。」

「ソレは困りますな。我々も先を急ぐ。」

急いでいるのに悠長に答える。

おかしい何故だ。

後ろで天に魔法弾が二発続けて鳴る。

「なにっ!」

「信号弾二つ!」

「お目当てだ!!」

「貴様等!!」

「この分隊は別動隊なんだよ。カーレーの白百合のお嬢さん方。全員突撃!!」

剣を抜き馬を走らせる敵騎兵。

「させるか!!」

もう既に剣は抜いているので一合で相手にケガ人が出る。

コチラは鎧だ。そうは負けない。

だが剣を合わせるほどコチラも無傷の者が減っていく。

半分は減らした。

不利と見た肩を怪我した敵兵が叫ぶ。

「よし。撤退だ。」

怪我をした馬を捨て動かない者を拾い撤退する敵騎兵。

勝利の安堵より故郷の者を殺してしまった事の罪悪感が胸に残る。

「ベアトリクス准尉。」

「ああ、すまない。急いで本隊と合流する。いくぞ!」

馬を操り急いで馬車を追いかける。

煙が立ち昇っている。

胸騒ぎがする。


到着した時にはもう既に終わった後だった。

横転して炎を上げる馬車に。

走る馬の上で状況が解かって来る。

マリア隊長の白い馬が倒れているのが視界に入り心が凍る。

短矢だ。

弩弓を使って襲撃したのか。

北方騎馬民族の…。私達の戦い方だ。

「数が多い30騎以上!」

軽騎兵でもこちらは18騎は居たはずだ。

早々負けるワケが無い。

遠くに移動する騎兵の集団、後ろ姿が見えた。

「ジョゼ?」

いや、見間違いだ。居るはずが無い。

「ベアトリクス准尉。」

「護衛対象の姿を確認しろ!!確認しだい撤退!!」

敵兵は馬を下りている者が多い。

どうやら後片付けを任された者達らしい。

放たれた短弓の数が多い。

地面には血の跡と鎧を脱がされて白い肌を出した…。

それにズボンを下ろした男達が…。

抵抗している素振りは無い。

死んでいるのかもしれない。

勝ったと思っている敵は新たな我々の遭遇に驚いて居る様子だ。

慌ててズボンを上げる男達。

「敵、重装騎兵7騎。」

素早く動く敵兵。

短弓が飛んできた。

矢が低い。

馬を狙っている!

「ベアトリクス准尉、馬車の脇に御夫人と娘!」

あの服は護衛対象の御夫人と娘の服だ。

露わになった胸に白い肌、血の赤が目立つ。

「よし!!撤退!!私に続け!!」

手綱を操り道を外れる。

その瞬間に馬が力なく倒れる。

当たった!!

そう思ったが、何も出来ず。

そのままゆっくり地面がせまって来て暗い物の中に落ちていった。

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