25.基本魔法クラス
仕方がないので午後の授業は遅刻して基本魔法科に顔を出した。
ふむ、教室の中が騒がしいな。
ドアを潜ると猛獣の群であった。
ヒャッハーなら百列拳でダウンだったが。
もっと恐ろしいモノたちだった。
いわゆるガキ共だった。
「お~い、首輪犬が戻ってきたぞ!!」
「なんか、デブがついてるぞ~。」
「犬と豚だ~!!」
「ぶひぶひ~!!!」
コメカミを揉む、ロリの目にはハイライトが無い。
久しぶりに見た。
よし、サル共!!
教壇に立ち両手を広げる。
魔力により両手に発生した高電圧がアーク光と共に大気を焦がす。
アーク光で発生した紫外線が教室を青白く包む。
餓鬼共が黙る。(目ガー!目ガー!!)
「よろしい、席に着け。」
訓練された餓鬼らしく一瞬で席に着いて不動になった。
「では自己紹介をしよう。君たちの学友になったマルカの主人であるオットー・フォン・ハイデッカーだ。しかし、この学び舎の中では些細なコトだ。何故なら君たちはココに切磋琢磨する為に居るはずだ。」
「へっ!大層な物言いだ。」
「おい、今、何と言った。」
「「「...。」」」
皆そ知らぬ顔をする。しかし、顔を伏せニタニタ笑うダンスィが居る。
「聞こえたぞ!!お前だ」
魔法の重力操作で吊り上げ空中を引っ張り上げた。
左手にダンスィの首を納める。
UFOキャッチャーのイメージだ。
「がっ、俺はヘッセン男爵次男、モーガンだぞ!!こんなことして。」
「決闘ならば貴族の名誉で問題ないだろ。」
「なに!!」
「お前の兄上とは級友だが、いくら弟でも貴族のメンツを掛けた決闘なら納得するだろう。貴様が名を挙げたのだ、後悔は無いだろう。」
右手がみょみょみょみょ~んと鳴り出す。
流石、魔法使いの卵。
”ヤメロ!!それ、ヤバイ奴だろ!!やめろよ!!皆殺しにするつもりか?お前もタダじゃすまないだろ!!”
暴れる気概は有るらしい。
若いって我武者羅でいいよね。
”すんませんでした!ヤメテクダサイ!!死にたくありません!!ホント!やめて!!アッー。”
魔力を開放して自由にする。
「さ、て、いろいろ有ったが、君たちは魔法スキルを身につけ、更なる高みを目指す為、勉学に励み切磋琢磨している。ソレはちがうのか?」
指差すと皆が頷く。
もちろん指先からレーザービームが出そうな勢(エフェクト付き)いだ。
身を隠して居る者もいる。
「ソレが奴隷で有っても何の障害が有ろうか?階級とはステータスである。君たちが今、貴族階級で在ろうとも、将来戦場で不幸にも名誉の戦死も出来ずに運悪く捕虜になり奴隷になることもある。そしてある条件で奴隷から又貴族に戻ることもある。」
餓鬼共の顔が深刻になる。
コイツ等は自分の力で切り開かなくてはいけない奴等が多いのだ。
特に貴族の次男三男ほどな。
「さて、宿題を出そう、魔法使いとは何だ。今、答えられる者は居るか?」
うさみみ女子がおずおずと手を挙げる。
無言で発言を促す。
「魔力を持って物事を成し遂げる者です。」
震える声で答えるうさ耳女子。うん、良い答えだ、ハイレグ肩紐無しワンピースと袖なしカフス袖を進呈しよう。
持っていないが必ずや作って着てもらう。尻尾は自前のでオネガイシマス。
「うん、教本どうりの良い答えだ70点だ。」
俺は教本を読んだコトは無いがな。
「あの、答えは何ですか?」
別のダークエルフ少年が質問する。
ゆとり世代か?何でも完璧な答えが有ると思うのは未熟な証拠だぞ。
「70点なら合格点だろ?成し遂げた後に説明できるのが90点で出た結果に他者から評価されて110点。その結果に責任が取れれば150点だ。」
「百点満点じゃないんですか?」
「よし、もしもの世界でお前が死者を復活させる方法を見つけたとしよう。」
「ソレは禁術です。」
「そうだ、今まで問題事例が有るから禁術なのだ。誰も考えなかった魔法、そうだな例えば腕を4本にする魔法を開発したとしよう。」
「腕が四本?そんな物何の役に?」
「鍛冶屋や職人は腕が足りないから弟子を雇う。騎兵なら手綱を取りながら弓を引ける。」
「あ~。」
「では困る所は何だ?」
ソコで挙手するウサ耳っ娘。
「着れる服がありません。」
くっ微妙に違う!!しかし、ココで話しを脱線させられると困る。
よし、強引に行こう。
「ほう、ソレはそうだな、上半身裸族ではケダモノと変わらない。よい所に目を付けた。」
拍手で迎える。俺は大好きだ!!
勢いで学友が拍手で迎える。
照れるウサ耳。
うん、かわいいようさみみ、おもいっきりモフりたい。
「さて、被服もそうだがこの手にする道具は全て我々人類が試行錯誤の上に作られてきた。ソレをもう一回やり直す必要が出てくる。」
うん、強引だ。
「えーソレは?」
「おう、少年、その服の下に着ている帷子は剣を右手に持った相手に対応する為の防具だ。もし腕四本の相手が右手にソードとカイトシールド、左手にカイトシールドとソードを持った相手に戦うにはどうする?」
ダークエルフ少年は驚いた表情だ。
そんなに解り易いインナー付けてたらサーチ使わなくても解かる。
「距離を取って魔法で攻撃します。」
「70点だ。」
「え、なぜ?」
「俺ならお前が下がっても懐に飛び込める。三歩で首の骨を折るだろう。相手も剣の間合いから逃さないだろう。」
「あの、オットー・フォン・ハイデッカー様は魔法使いですよね?」
「そうだ、しかし、身体を鍛えている。近接戦闘で人間を制圧する訓練をしている。まあ、正解は二人以上で当たるコトだな。」
拳を握って見せる。
”そんなバケモノいないだろ?”
”あの拳はホンモンだぞ?”
”ちょっと、何で首輪イヌの主人があんなバケモノなの?”
「ほう、今チョット不快な音が聞こえた。どこからだ?」
光学増幅器を頭の上に構築する。
コレは振幅増幅器リングを頭上に創設して光を増幅して撃ち出す魔法だ。
見通し距離に一インチぐらいの幅で強力な単一波長の光を打ち出すことが出来る。
周囲360度、対空攻撃も出来るが10秒も持たない、パルス発射も出来ない。
光でなでる様に攻撃するだけだ。
しかし当たっても、対象が消失するだけなので非常に見栄えが悪い。
なんと言っても、頭の上にリングが光り…。すごく…ダサイ。
岩に落書きするのには使えるんだが…。
「申し訳ありませんでした!!」
机の上で土下座する少女。
くっ。黒髪ロングのオリエンタルロリだ!!(ロリは本来は13歳を示す言葉です)
「なにか?意義はあるか?」
「はっ!何もございません!!」
頭上のリングが光を発していると教室のダァー☆が開き基本科の教授がコチラを見てびっくりしている。
「教授失礼しました。ああ、君たちも努力とコツを掴めばコレくらいすぐに出来る様になる。」
何故か教授が首を振ってイヤイヤしているが。
マントを翻し立ち去る。(マントは着ていません。格好だけ)
「マルカ!成果を果たせ。ああ、仲の良い学友とそうでないヤツの名前を後で教えてくれ。間違えないようにするからな。」
「はい。マスター。」




