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241.パトロネージュ4

さて、食事が終わり学園を離れ。

マイト先輩と町を歩く。

いや、コレはデートではない。

微笑むマイト先輩…。

付いた先は陰鬱な集合住宅であった。

まるであの世界のブンカー住宅に近い。

この狭いドックに潜水可能水雷艇が詰まっていたのであろう。

何かオカシイ様な気がするが。

記憶が曖昧だ。

この世界の工房団地で在る事には変わりない。

その一角にマイト先輩の働く工房が有った。

鎧戸を潜ると中には骨の太そうな年配の大男が居た

「来たな、マイト明日の納期の品が有る、今日中に仕上げるぞ。」

「はい、親方。あの、コチラの方が僕に出資されるという学園の生徒です。」

「アンタかい、物好きなヤツだ。」

紹介されたので。

胸に手を当て頭を下げる。

「オットー・フォン・ハイデッカーです。マイト氏の後輩です。」

「ハイデッカー…。」

「はい、ハイデッカー家の三男です。魔法で身を立てる心算で学園に通ってます。」

「あ、あの親方。インクのお客さんです。」

「ああ、そうかい。この工房の主人ナークスだ。しかし。インクも作れないのに。工房を持とうとするとは…。」

なるほど、未だ早すぎると言う事か。

親方ナークスの言うコトも解かる。

この場は工業製品を作る場所なのだ。お遊び工房ではない。

「親方。紋章のマニュアルを書いた方です。」

「ああ、あの本か…。紋章の書き方の本だな。」

腕を組み考える親方。

俺を見る目が厳しい。

「はい、マイト先輩に添削を依頼しました。」

「あの本は確かにすごい。読めば誰にも書けるがアレでは錬金術師の根本である探究心は育たない。」

「はい、そのとうりです。しかし。あの本で出来ることは一部です。その先を求める者には足りない内容です。」

「あ?じゃあ何で?」

「錬金術師は個人オリジナルの物が多すぎます。折角一生掛けて組上げても後進の者が理解出来ません。」

「あん?何が言いたい?」

「この本は考え方の練習本なのです。物を作るときの計画。準備、実行を覚える為の本です。きっとこの本で学んだ魔法使いは同じ本で学んだ者の作った物を理解できるでしょう。」

「う~む。」

「あの本は将来、かなり複雑な物を作る為に多くの錬金術師が共同で作業する。その為の初めての教本です。」

「ソコまで考えているのか…。」

唸る親方。眉間の皺が増える。

学園で良い錬金術師が居たらスカウトするつもりであった。

しかし、どうも錬金術師とは困った連中らしい。

マイト先輩なら未だ矯正が効く範囲だろう。

えうりあんには成らない様にしなければ。

「錬金術師殿が心配される様に、俺は工房で何かを生産したいダケで工房の経営がしたいワケでは無い。工房の維持管理をマイト先輩にお願いして。必要な物を王都で調達する窓口にしたいだけなのです。勿論これはマイト氏への投資なので利益を出す心算ですが。」

「わかった。ソコまで考えているのならば。マイトにこの工房を売る事を考えよう。しかし、マイトは未だ一人前では無い。もう少し時間が掛る。」

「はい、ソレでも構いません。学園に居る間は試作をお願いしたり量産をお願いすることになりますが…。」

「よっし、解かった。マイト。覚えることが増えるが腐るなよ?お前を早く一人前にするのが出資者パトロン様のご要望だ。俺も安心して隠居できる。」

「はい、親方!」

にこやかに笑う師弟。

良かった俺は合格らしい。

「オットー・フォン・ハイデッカー様、未だ半人前で困ることが有るだろうが見捨てないでやってくれ。」

手を差し出して来た親方。

勿論硬い握手をする。

「いえ、おかしな注文をするおかしな客ですのでよろしくおねがいします。」

「ああ、大歓迎だ。マイト。おめえの仕事だからな。手伝わねえぞ!!」

「はい、解かりました親方。」

工房内が笑いに包まれた。

よっしゃ!!試作&生産設備ゲットだぜ!!

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