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24.スクールカースト

授業が終わり教授が逃げるように退出する。

皆が席を立たないうちにドアを封鎖する。

教壇の前に立ち自己紹介する。

「始めまして、オットー・フォン・ハイデッカーと言います。本日、縁あって君たちの学友としてコノ学び舎に来た。コノ教室にあっては娑婆とは違い。皆は平等だ。個人の能力だけが支配する世界だ。生まれと貧富の差は無いコトをオットー・フォン・ハイデッカーの名に置いて宣言しよう。」

「あ、あの。」

「なんだ?学生?名を名乗れ!」

「ヘッセン男爵嫡男、モリスです、オットー・フォン・ハイデッカー様は…。」

「オットーだ!」

「は?」

「貴様と俺は同等だ。」

「オットー様は」

「ファッ?」

「オットーくんは…。」

「良いだろう。なんだ?」

「どの程度の魔法レベルなのでしょうか?なぜこのクラスに?」

「フムン。」

教室全体を見渡す。

コチラを値踏みしている者が多い。

まあ、将来コネになる人材かどうかの見極めだ。

誠意を持って答えよう。

「俺は魔法を師に習ったことが無い。だから魔法レベルと言う物が解からん。しかし町の一区画ぐらいは吹き飛ばすコトが出来る。」

そう、昔、夜空を見上げ、落っことせそうな小惑星を探したんだ。

そのおかげで2~4日ぐらい掛ければ思った場所に隕石を落とすことが出来る。

”メテオストライク”の魔法がこんなに面倒な物だとは思わなかった。

まあ、そんな物使わなくてもメガ粒子砲を連射すれば良いだけだ。

「ふっそんな妄言誰がしんじ…。」

何故か前髪が長いスリムな金髪男子が髪を掻き揚げながら答える。

髪が邪魔なら散髪しろよ。

左手を上げメガ粒子砲の照準を金髪キザ夫に合わせる。

必要ないけどみょみょみょみょ~んと音と光が出る。エフェクトでカッコよく見せる為苦労して作った力作魔法だ。

流石、魔法科だ皆。大まかな魔力の流れが解かるらしい。

キザ夫くんの周りからダッシュで逃げ出している。

「申し訳ありませんでした!!」

机の上で土下座をするキザ夫くん。

「そうか、良かった、コレは未だ人間に向かって撃った事が無いんだ。どうなるか見たいやつは申し出ろ。」

クラスの皆は首を振ってイヤイヤしている。

良かった、クラスのスクールカーストは崩壊して皆が一つになっている。

やはりクラスの調和は連帯感だよな。


弁当を持って来たベスタと校舎の中を進む。

ロリを見つけて昼にするつもりだ。

話では中庭にベンチとテーブルがあり飲食OKらしい。

廊下を進むと。


人だかりが出来ている。

何か騒ぎが有るようだ。

「放しなさい!!」

「お、お願いです!!もう一度!!もう一度だけチャンスを!!」

「提出期限は今日までです!!ソレが出来なければ退学です!!」

「完成はしたんです!!転んでダメになってしまったんです!!来週までなら作って提出できます!!だから待ってください!!」

「放しなさい!踏みますよ!!」

「踏んでも良いです!!来週まで期限を延ばして下さい!!」

「ほ、ホントに踏みますよ!!(ゴクリ)」

「オネガイシマス!!期限を…延ばして。」

「痛いですよ~!ホントに踏みますよ…。(ハアハア)」

なんだ、聞き覚えのある声だと思ったら朝のマイト・ニコライ先輩ではないか。

「これこれ、カメをいぢめてはいけません。」

人垣を割って進む。

見ると床に付しているマイト先輩。

その前でスカートをたくし上げヒザ下まで出しながら上気した顔で踏みつけようとする20代後半の御婦人。

「か、カメ?」

制服を着ていないが花柄ワンピースに教師マント姿。

若いが教授であろう。

「学園の往来で日も高いのに男女のモツレとは些か学園の風機に係ります。」

「え、あの。コレはちがう…。」

あわててスカートの端を整える御夫人

「あ、ハイデッカー様」

「おお、これはマイト先輩。ご機嫌うるわしゅう。」

芝居がかった大きな動作で挨拶をする。

「教授とお見受けしますが。この様な学園の往来での痴話喧嘩はいささか…。」

「あ、いえ、コレはそんな事ではなく!!」

「では、コチラでお話を聞きましょう。丁度お昼の用意があります軽く摘みながら。」

ベスタに錬金術科の準備教室でバケットを広げさせる。

そのままベスタにはマルカを呼びに行かせて。

話を聞いた。

どうやら朝のマジックインクはマイト先輩の単位提出物だったらしい。

完成したが朝の一件でダメになってしまったので担当教授に提出日の延期を求めていたところ熱意が変な方向に行った様子だ。

「う~ん。」

思わずうなった、錬金術科の教授がすごい勢いで弁当を消費している。

コレは俺の2.5人前分+メイドさんず2人前分だが。

足りなくなるかもしれない。

「オイシー!!むぐっ!ドンドン。」

パンが喉に詰まった様なので空のコップに空気から水を集めて氷を入れる。

「ぷっはー。あれ、氷?魔法で作ったの?お水、お替り。」

二人分は食べている。

チッ、後二人来るのに食料が少ない。

魔法収納から昨晩の残りのサンドイッチと果物を全て出す。

パンは沢山あるんだ。あとは、どうしよう?最悪、ベスタに買いに行かせるか。

「ふう、お腹一杯、久しぶりにまともな食事を食べたわ~。」

「では、教授、自己紹介を俺はオットー・フォン・ハイデッカーと言う魔法科一回生です。マイト先輩とは知り合いです。」

「え!マイト!!アンタこんな偉い人と知り合いなの!!」

「いや、先生、偉いって、先生も偉いじゃないですか。」

「え、いや、そうだけど…。オットー・フォン・ハイデッカー。私はフアナ・フランチェスカ=ロジーナ、フラン先生と呼んで。」

「ロジーナと言うと…。」

うっほ!!やべえ。国王の血筋だ。えーっと、長女は国外に嫁に出た。次女は未だ生徒だ。三女は王宮だし。

と言うか長女より年上っぽいから親戚か?

沢山居るから覚えてないぞ。

「ああ、良いのよ、今の国王が即位する前に生ませた子供だから、殆ど私生児扱いだし。」

そういえば、イケ面今の国王は即位して結婚する前には何人も子供が居たって。

くっイケ面リア充めこっちはブサ面だから金と権力で奴隷女をコマしているのに。

なんてイージーモードだ。

イケ面だけという理由で女がくっコロするなんて!!

「では、フラン先生、実はそのマイト先輩の提出物の件には多少なりとも私めが係っておりまして。」

マジック収納から外套の破片を取り出し見せる。

「このように不幸な事故により先輩の提出物は紛失したのでございます。」

「ふーん。」

外套の破片に手を当て魔力を発動する先生。

サーチの魔法を使っている様だ。

ほう、これが魔法使いのサーチ魔法か、始めてみるが効率が悪そうだな。

アヒル口になる先生、いや、アヒル口はもっと若くないと…。地雷になりますよ。

「わかったわ、マイト。来週末まで、待ってあげる。今度の未提出は一発退学よ。」

「ありがとうございます!!フラン先生」

喜ぶマイト先輩。

席を立つフラン先生。教室の出口で振向き笑顔で声を掛ける。

「あたし。来週から出張だから。2、3日で戻るけど遅くなったらごめんなさい。」

「そ!そんな!!先生!!」

「フフフ、ごめんね~、でも。今週中までに提出すれば確実よ。フフフ」

「そんな!お金が!!材料費が!!」

ピシャリとドアが閉まる。

その場で崩れ落ちる先輩。

「そんな、もうおしまいだ…。」

「あの、マイト先輩マジックインクは作るのにそんなにお金が掛るんですか?」

「ああ、王都の学園割引を使っても大銀貨一枚有れば確実だ。この日の為に朝食を抜いて、夕飯をパンの耳だけで生き抜いてやっと溜めたのに!!」

「あの、マジックインキはドレ位で売ってるんですか?」

「売り物じゃ無いんだ。錬金術師が自分で調合して自分で使うモノなんだ。基本調合は有るけど有名な錬金術師はレシピを弟子にも教えない。」

「フムン。」

アレは何か面白そうな感じがする。

「では、先輩、コレで壷二つ分買います。一個目は来週までの納品でもう一個は何時でも良いです。」

金貨を一枚渡す。

「オットー・フォン・ハイデッカー様!!」

涙目鼻汁塗れのマイト先輩。

おい、ばっちいな。

「初納品は急いで確実におねがいしますね。」

「解かった!!早速用意するよ!!」

教室を飛び出すマイト先輩の背中を見送る。

開けはなれたダァー☆からベスタとマルカが顔を覗く。

「ああ。悪かったな待たせた。飯にしよう。」

食事中、マルカは暗い表情だった。

もしかして!!スクールカーストの洗礼か!!

いぢめられたのか!!

ドコのドイツだ!!

スカートめくりか?茶巾縛り?火星人デカ??

まさか!艦長!!後ろの穴こうぶぎょらいはっしゃかんを!!

おのれ!!俺のロリになんて酷いコトを!!

ちょっとキレちまったよ。屋上にコイよ。

妄想が暴走する中。

「あまり、クラスに馴染めないようです。」

ベスタが通訳する。

まあ、首輪付だからなあ。

流石ベスタは騎士上がりなだけあって物腰で相手が萎縮するらしい。

ソレは謙遜で腰から下げたレイピアのせいだと思うぞ。

マルカにも何か刃物を…、ハンドアックスなら扱えそうだが…。斧を持った少女…。ううっ頭痛が。

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[気になる点] 些か学園の風機に係ります。 風紀 始めてみるが効率が悪そうだな 初めて
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