23.先輩とパン
(´・ω…
一日のアクセス3000越えありがとうございます。
いったいみんなドコから来たんだ?
朝起きると何事も無かったような状態だ。
身支度を整えるロリと朝食を用意するくっコロさん(メイド姿)。
何となく今までの能面ではなく笑顔が見える。
吹っ切れたのであろう。
これからはニューゲームだ。
朝食を部屋で取り。
姿見で入念にチェック、コレなら隙はない。
寮室の玄関で出陣式を行う。
「征ってまいります。」
「いってきます。」
「はい、行ってらっしゃい。」
ロリと二人で学園の門を潜る。
新しい生活だ。
全てが眩しく見える。
ロリと校舎の前で別れる。仕方がない教室が違うのだ、声を掛け分かれる。
悠然と進むと。
人影が前を過ぎり何か液体が掛る。
む!!こんな所で暗殺か!!
外套を投げ捨て
飛び退り、腰のナイフに手を掛ける。
「何者だ!!オットー・フォン・ハイデッカーと知っての襲撃か!!」
「すすすみません!!」
捨てた外套を被り、幽霊の様に成って転がっている襲撃者。
顔は解からないが制服は学園の男だ。
「おのれ!曲者!顔を見せろ!!」
「錬金術クラス2回生、出席番号16番のマイト・ニコライです!!」
土下座に近い格好で外套を投げ捨て地面に伏せる。
大体、貴族に下民が接する時はこんな格好だ。
2回生なら所謂二年生のコトだ。
但しクラスは一回生~卒業するまで各クラスで授業を受ける。大体は二~四年で卒業審査を受ける。
審査内容は各人違う、教授が卒業に足ると認めればその日に卒業だ。
もちろん他のクラスに入ることも出来る。
錬金術クラスは魔法科クラスを卒業もしくは入学を認められた魔法使いが入るクラスだ。
この、金髪のボサボサ頭のソバカス少年は一応、先輩だ。
俺より年上っぽいが少年の面影がある。
「ほう、マイト先輩、俺は魔法科クラス一回生のオットー・フォン・ハイデッカーと言う者です。」
もちろん注意は逸らさない。右手で手を差し出し、左手でメガ粒子砲を準備する。
流石マイト先輩。左手が気になるらしい。
「オットー・フォン・ハイデッカー様申し訳ありませんでした!!謝罪します!!殺さないで!!」
ほう、この魔法が分かるのか。
流石だな先輩。
左手の魔法をキャンセルして手を差し出す。
もちろん右手は腰の後ろのナイフに手を掛けている。
「なにか御用でしょうか?先輩?」
「あ、ちょっと徹夜で魔法インクを作って提出するところだったんだけど朝食も食べず走ってきたら立ちくらみが…。」
インクと泥でドロドロになった俺の外套と粉々になった瓶が転がっている。
「アーッ!!」
ウメズ顔で叫ぶ先輩を尻目に外套を拾う。
酷く汚れている。
水魔法と風魔法で洗浄しようと魔力を通すと。
違和感があり手を離す、限定的な魔法が飽和して制御不能になり外套が木っ端微塵になった。
なんだこれ?
「ああ、僕の単位が~!!」
完全リアルorzの先輩に外套の破片を持って笑顔で肩に手を掛ける。
「先輩お話よろしいでしょうか?」
真っ青になった先輩は大人しく校庭の外れのベンチに移動した。
顔色が悪い先輩はベンチに座ると無言だった。
おい、話をしろよ!!
その沈黙を破るように”グ~~”と言う腹の音色。
もちろん俺じゃない。
「先輩、朝食は取りましたか?」
「…。」
無言で首を振る先輩。
魔法収納から油紙に包まれたクラブサンドを取り出す。
「食べて下さい。」
「え…。でも。」
「喰え!カロリーだ!カロリーを取るのが生きる者の摂理だ!!魔力も生命力も全て食べるコトから始まる!!喰らって動くのだ!!」
「は!はい!!食べます!!」
黙々と食べる先輩。
うん。人が食べていると喰いたくなるのがデブの性だ。
ココは話を進めるためにぐっと我慢する。
昼にはくっコロさんが弁当を持ってくるはずだ。
ソレまで我慢だ。
喉を詰まらせる先輩に魔法で水蒸気を集め水を作り。
カップに満たし渡す。
一気に飲み干す先輩。
「ありがとうございます。落ち着つきました。しかしオットー・フォン・ハイデッカー様は水の系統なのですか?」
「特に無い。」
「え?」
「特に系統は意識してない。もちろん多少の優劣はある。」
「え、あの、全系統が使えるのですか?」
「全ての系統とは?」
「あ、あのオットー・フォン・ハイデッカー様は魔法科なのですね?」
「ああ、今日が初登校だ。」
「あ、あの、魔法初等科クラスではない…。」
先輩を良く観察する。
「いえ、もうしわけありません…。」
「先輩、系統とは何でしょうか?」
笑顔で答えると。
先輩の講義で昼前まで時間が潰れた。
意外と分かりやすかった。
なるほど、魔法は日月火水木金土と言う7曜に分けられ、合成により効果のある魔法になるらしい、ソレは光と闇、治癒魔法に分けられる。
風は火と水。
鍛冶は火と金と土
治癒は月と水を持ち総合四つ以上の適正を持つものしかできないらしい。
普通に今まで治癒を力技で治してきたがイロイロ、ヤバかったようだ。
光は闇と表裏一体らしい。しかし、扱う者が少ないので良くわかっていない。
要するに。
日は電波と電磁波(光波)。
月は重力。(ひょっとしたら磁力)
火は熱とエネルギー
水は水(又は水素&重水素)
木は、生命活動。
金は金属分子。
土はガラスと非鉄金属。
なるほど、現代知識では境が在るモノをこの世界ではムリヤリ七つにわけているらしい。
良かった月月火水木金金では無かった。
にっこり大砲手入れは無い。
重い電子も軽い電子も無い。
と言うか電荷と電位差は既知では無かった。
俺、入学試験で電撃バリバリちきちきドカンをしたけど良かったのだろうか?
俺の魔法は何に分類されたのだろう?
良くわかったので最後に質問する。
「あの、液体は何ですか?」
「あれは魔方陣を書く時のインクだよ、魔力の循環が良いモノを液体にして魔法回路を作って使うんだ。使うと劣化するから、大部分は使い捨てなんだけど永遠に使える魔法インク(マジックインク)を作るのが錬金術士の夢なんだ。うまくいったと思ったんだけど・・・。」
肩を落とす先輩。
なるほど、魔力的超伝導体の様なものか?
確かに超伝導魔法物質が発明されれば夢が広がリング。
うむ、気が付いたらいい時間だ。
日は高い。
思いっきり2コマはぶっちぎっている。
先輩とは挨拶して別れ。
自分の教室に入る。
思いっきり講義中だった。
びっくりした教授と生徒の視線が俺に集中する。
大学の講堂の様ですり鉢型の講義室だ、後ろの席ほど上に上がっていく、上のほうほど身なりが良い人が多い様子だ。
負けるな俺!!
「申告します!!本日よりコノ魔法科に転入しましたオットー・フォン・ハイデッカーと申します。宜しくお願いします!!
王国軍式敬礼を見よう見真似で行う。
「が、学生オットー・フォン・ハイデッカー席に着け。」
ビビル教師を尻目に近くの空いている席に座る。
座ると隣のヤツが、コソコソと声を掛けてきた。
「コノ席は従士様専用席だ下に下がれ。」
随分とイヤラシイ顔だ。
周りを見渡すと。
ベスタが中ほどの席に座っている。
「おい、おいwww初年度!!」
クスクス笑う集団。なんだ、ゲームでもイジメとスクールカーストが有るのか?せめて授業が終わるまで待てよ。
講師は無視して教科書の朗読を行っている。
まるで俺が見えないみたいだ。仕方ない
「おい!!ベスタ!!」
「はい!!ご主人様!!」
帝国式で直立不動のくっコロさん。
「席を替われ!!」
「ハイ了承しました。」
「気に入らないヤツが居れば切っても良い!!我が家のメンツを守れ!!」
「はい!!」
速攻で俺の横に来て剣を抜くくっコロ。
悠然とくっコロの座っていた席に着く。
隣りは、見た目がフェミニンな貴族の女子だった。
「ベスタの主でオットー・フォン・ハイデッカーと申します。宜しくお願いします。」
挨拶すとまるで空気みたいな扱い。
何だよ。
何で女に拒絶されるんだよ。




