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228.校庭の戦い1

さて、清々しい朝である。

朝日に光る倒れた戦友の屍を数える…。

ドアーがノックされた。

「オットー様、おはようございます。」

「お、おはようございます。」

「ああ、おはよう。今日は学校に行くのでその様に用意してくれ。」

身形を整え髪を梳くメイドたち。

戦友が…。

魔法で救う方法を考えなければ…。

朝の鍛練に向かう。

特に変わりない日常が続く。

良かった。平穏だ。今日はマイト先輩に会うために錬金術クラスへ行こう。

汗を拭き制服に着替えてマルカと共に校舎に向かう。

うむ、久し振りの朝の学校だ…。

何時もと変わらない。平和…。

とは似つかわしくない一団が校庭の一部を占領している。

ガーズの兵達も居る。何かのお祭りか?

「オットー・フォン・ハイデッカー!!約束通り来てやってぞ!!」

フルプレートの置物が話す。

あの鎧…。ドコかで…。

「マルカ。友達と一緒に居なさい。終わるまで校舎の中に居ること。」

「は、はい。」

マルカが鉢巻少女隊と合流して校舎の中に入るのを見送る。

コチラを見たが手を振って見送る。

さて、準備を整えるか。

「誰だお前は?」

大声で叫ぶ。

途端に生徒が道を空ける。

花道が出来た。

「オスヴィン・グリューンベルグだ!!貴様からの招待状を貰った!名誉を賭けて勝負しろ!!」

「ああ、やっと来たか?準備は万端の様だな?立会人は誰だ!」

悠然と進む。

「はっ!立会人は私、王国近衛兵団、警備派遣小隊。隊長のヴィリー・コーレル少尉です。」

胴鎧を着た男が走ってきた。色白で未だ若い。恐らく王都の出身だ。

「よし、わかった、公正な立会いを望む。」

「はっ、あの。私の兵が…。」

「あ?どうかしたのか?」

どっかで見た兵隊達が何故かブリキの置物の横に並んでいる、装備が違う兵…。ああ図書館で見たチビも居る。

あの優男の貴族の配下の者だ。

「あ、いえ。あの…。」

言い辛そうな少尉。

「ああ、指揮権を取られたのか?兵の?」

「え、はい、申し訳ありません。」

どうやら向うは兵隊付きらしい、現地調達の様子だが。

「まあ、良いだろう。向うの条件は何だ?」

「兵同士戦わせて勝負が付かなかったら当人が決闘して決めよと…。」

なんだよ緑山消毒液くん清潔そうな名前だがやる事がコスい。

「あ、あの、ハイデッカー様、どうされますか?」

きょどる小隊長を無視してニタ付く優男に向かって叫ぶ。

「よし、解かった!!その条件を呑もう。しかし俺には兵が無い。俺が兵の相手をする。魔法は使わせてもらうぞ!!」

「ああ、良いだろう!!俺の兵と戦え!」

言質取った!遠慮しないで使おう。

「あ、あの、ハイデッカー様。あの兵達は私の兵でして…。」

「今は敵軍だ。」

「はい、ですがその…。あまり。」

流石に指揮官なので自分の兵が目の前で木っ端微塵になるのは見たくないらしい。

それより野次馬の生徒が集っている為に使える魔法が少なくなってくる。

こまった状況だ…。

「わかった何とかしよう。」

前に進む。

制服とコートの襟を立てスロートラッチを留めて首を保護する。

両袖に投げナイフを仕込み収納から猟で愛用の皮手袋をはめる。

収納から抜き身のファルカタ型の剣を2本出し腰ベルトの金具に固定する。

乱戦になったら収納から出している暇は無い。

作ったが売らなかった剣だ未だ刃は入ってない。だが、叩けば相手の骨が折れるだろう。

ハンドガードが付いているのでナックル代わりに殴るのに使える。

「よし。こっちの準備は整ったぞ。」

相手に向かって叫ぶ。

「はい。少々お待ちを!!」

向うの兵隊の…。たぶん軍曹が叫ぶ。

おそいな…。

おそらくファランクスを組もうとしている様子だ。

珍しくガーズの兵がフル装備だ。

鉄のハーフヘルムと胴鎧&たれ、鉄の剣と小盾だ。

煌びやかな模様が入っている。

まあ、飾りだな。

”おら!並べ!!俸給分の仕事だ!!””うへぇ!デブの魔法使いだ…。””イヤだ!死にたくない!””おら、貴様等ソレでも近衛兵か!!”

遅いな!!家の兵ならもう既に突撃しているぞ!!

未だ突撃まで時間が掛るらしい。

イライラしても仕方ないので。

周囲の状況を確認する。

学生達が遠巻きに、この決闘(ショータイム)の決着を見ている。かなりの数だ…。

あ、フェルッポが校庭に穴掘って地面から顔だしている。

アレックスは土魔法の壁を作って女子を誘っている。

マルコはシールド魔法と土魔法の二重展開中だ。

乳タイプ兄弟は兄弟パワーでシールドして乗り切る積りだ。

皆、コチラの行動に注視している。

さて、敵は未だ集結が完了していない。

お隣のニタニタ顔の優男はどっかで見た粗大ゴミの大剣を大地に付き、ダルガンの拵えた剣を腰にぶら下げている。

おいおい。アイツの家の兵が節穴の店で買い占めたのか?

話が大きく成り過ぎている。

まあ、人の噂だ、大げさに成るのは仕方ないだろう。

流石にガーズの兵達が気の毒に成る。

メガ粒子砲一発でカタを付けるのは止めよう…。後ろが校舎だから。

「おい!!まだか!」

隊長が焦っている。

「はい、今、完了しました!!」

敵の軍曹が答える。

コチラに目で合図を送る立会人の隊長。

無言で頷く。

「では、始め!!」

隊長の掛け声で始まる。

その場足踏みを始める敵兵たち。

「「アーーーー。」」

「進め!!」

時の声を上げる兵、抜いた剣を振るう軍曹。

「「「「アーライッラーライラー」」」」

三歩目で足並みが揃う敵兵。

錬度では合格点の部類だろう。

障害物に当たってもその連携が旨く行くかが問題だ。

俺は既に始めの号令で魔力の展開を終えている。

気が付いた学生達がフェルッポの掘った穴に殺到している。

あと、アレックスの壁にも…。

女子にもみくちゃにされて嬉しそうなアレックス…。後でぜったい殴る。

「「「「アーライッラーライラー」」」」

叫ぶ敵兵共。

でも、何で新井なんだ?

新井さんと異世界の接点について考える。

ああ、イカンな。キリングゾーンに全ての兵が入ったので発動させる。

視界が衝撃波で歪む。

「「アッーー!!」」

歪みを受け、ファランクスを組んでいた兵士達が紐の切れた人形の様に倒れる。

兵士達の頭上10mに30Mpの直径1mの球を用意していただけだ。

俺は全周囲ATフィールドの中なので何も影響を受けない。

ブリキ野朗の優男がひっくり返るが気にしない。

生徒は皆安全な場所に逃げていたので問題は…。

シールドを兄弟パワーで乗り切った乳タイプ兄弟が真剣な顔で何かを話し合っている…。言ってる事は何故か想像できる。

”見たか?”、”見えたぞ!”

腕を合わせ合ってる…。


さて、シールドをアイドリング状態にして倒れた敵兵に向かって歩く。

土埃が舞う校庭を歩き。苦悶に横たわる敵兵達に降伏勧告を行う。

「立て。立って戦え。立たぬ者は止めを刺す。降伏すれば我が家の慈悲の心において死を与える事はしない。安楽を望む者は答えよ。戦士としての名誉を与えん。」

「こ、降伏します。」

「待ってください!!降参です。」

「うへぇ、止めて殺さないで!!」

うん、良い返答だ。

「では、皆の意思において降伏を受け入れる。意義のある者は剣を持て。従うものは剣を捨てよ。」

剣を捨てる敵兵共…。

「オイ!!しっかりしろ!!」

一部騒ぐ兵が居る。

武器は捨てているが…。

「どうした?降伏しないのか?」

「あ、あの、戦友が息をしてないんです!!」

狼狽する敗残兵。

たすけてこの子息してないの!!名誉の戦死か、兵の誉だな。

群がる廃兵。

「おい!!しっかりしろ!!こんな事で死ぬな!!」

「目を開けろ!コレが終わったらあの娘にプロポーズするんだろ!!」

なんだ?微妙に死亡フラグ立ててるからこんな不幸なコトになったのか?

生徒の非難の目が俺に集中する。

いや、コレは俺のせいではない。

死亡フラグの…。

まあ良いだろう。

「どけ。俺に見せろ。」

サーチすると外傷は無いが心肺停止状態だ。

「ふん、コレより蘇生を行なう。」

仰向けの新鮮な死体の気道を確保して左手を口に、右手を心臓に当てる。

圧縮空気と電位差(電磁パルス)で人工呼吸と心臓マッサージ(AED)だ。

死兵は膨らむ気胸と電撃パルスで手足が痙攣する。

まるでスパイダーウォークだ!!

自然と声に出る。

「フハハハハハハ!!」(ビクンビクン)

途中、サーチを行ないながら繰り返す。

4順目に自発呼吸になった。

心音も問題無い。

「よし、良いだろう。他の死体はドコだ?死体が無くば治療の必要な者は並べ…。」

「ほ、ホントに生き返った。」

「うへぇ、ネクロマンサーだ…。」

「死人が…。生き返るのか?まさか…そんな…。」

くっそ、廃兵のクセして好き勝手言いやがる。

「こら!捕虜共!!大人しく並べ!!ハイデッカー様の臨検を受けろ!!」

軍曹がまとめる。

大人しく並ぶ廃兵。

順番に武装解除と治療を受けるガーズの兵達。

大体は擦り傷だが鼓膜の破れた兵も居るのでサーチして直す。

最後の捕虜を治療すると残った横たわる兵を見る。

うん、綺麗だろ?これ死んでいるつもりなんだぜ?

死んだ兵が横たわっているが目蓋の下で眼球が動いている。

意識のある証拠だ。

コレは嘘…。では無く狸寝入りだ…。間違いない。浅く呼吸をしている。

コイツ等はあの優男の兵共だ。

ガーズを前面に出していたが。最後列でファランクスに参加していた…。

「おい、コトが終わるまで死体で居るなら何もしない。大人しく寝ていろ。」

俺が呟くと頷く死体共…。

「さてと…。」

次の仕事に取り掛かる。

「あの…。」

死体が喋った!!

「なんだ?」

「いえ、申し訳ありません。無理を承知でお願いします。ぼっちゃんは口は悪いですがそんなに悪い人では無いんですよ…。」

「へい、俺の家族が怪我した時は薬代を出してくれました…。残業も用意してもらって。その金で医者にも見せて貰えたんです。」

「口ではああですが、虫も殺せない人なんです。どうか御慈悲を…。」

亡者共が囁く。

それならこうなる前に止めろよ…。と心に思うが。口には出さない。

「わかった。しかしここまでの騒ぎに成っている。痛い思いはしてもらう。後遺症は残さない。」

独り言をいう。

「すんません。恩にきます。」

「後で謝罪します。」

「ハイデッカー家には一生、逆らいません。」

全く偏屈な主人を持つと家臣が大変だ。

俺はそうならない。

ブリキ野朗の優男に向き直り息を吸う。

勝利宣言だ。

(´・ω・`)量が多いので2分割!!

(#◎皿◎´)三割うまい!!

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