222.錬金術(銭の方)2
金貨のいんふれーしょんや~♪。
マダマダ続く俺の武装錬金。
節穴親父のケツの毛を毟るまでやってやるぜ!!
「サーベルが8本だ。まあ。切先の曲がりがきついタイプでココではあまり人気が無いだろう。」
「なんだ。随分とまともな形だな…。」
「まとも…。鎧を着て居ない人間の首を落すのに丁度良い角度だ。」
「おいおい、物騒だな…。まあ、中級者向けだな…。1本金貨8でどうだ?」
「あ?もう少し出せるだろ?」
「ああ、そうだな…。9、いや。10でどうだ?」
「良いぜ。」
はい、まいどあ~りw
「ロングソードだ。コイツは長いが。使い方に特徴がある。」
ツヴァイヘンダー型の剣を5本見せる。
流石の長さに驚く節穴。
「おい、なんでこんなに長いんだ?腰に差せないぞ?長すぎる、刃を入れるのが一苦労だ。」
「元々コイツは切っ先から三分までしか刃を入れない。刃の無い刀身を持って両手で使う剣だ。」
「だとしても長すぎる…。」
「そうだな…。コイツは元々、槍を押さえる剣だ。移動は常時、肩に担いで行なう。」
「ああ?なんだって?そんな剣…。」
「コイツは元々、長槍兵を切り崩す為の両手剣だ。修練も何も無い。腕力で戦列を崩す剣だ。」
「お、おう、すげえな…。」
「ただし。広い所でしか使えない。平原の武器だ。大きいので移動に難しい。馬に乗っていると打ち下ろしで効果が高い。」
「おいおい、ココは冒険者の店だぞ?戦争の話は無しだ。」
しまった!!
ついうっかり!!
しかし、節穴親父は1本金貨10で買ってくれた。
まあ、展示品だろう。
エストックに似た剣を出す。
柄と鍔が一体型だ。全長はさらに長い1.3mが3本だ。
「何だこの剣は?」
「コレはフルプレート着た騎士下の鎖帷子ごと貫くための槍と剣の中間を埋める剣だ。」
「これも戦争用か?」
「ああ。刃は入れない。先の研磨だけだ、断面が菱形なので叩けば革鎧ぐらいは切れる。が…。基本は刺突剣の分類だ。」
「刃を入れないのに切れるのか?」
「ああ、そうだ、肉をえぐる様な斬り傷になる。治り難い。ただし、鋼としては柔らかい。あまり長持ちはしない。予備の剣を持たせろ。」
そうだ、エア友の翔ちゃんが教えてくれた、刃がない剣だ。
炭素量を減らしているので弾性に飛んだ作りだ。
そのかわり鋼としては柔らかい。
「そうか…。困った剣だな…。売りにくい。」
「この国はレイピアを使う者が多い。両手で使うレイピアだと言えば良いだろう。強度もレイピアとそんなに変わらない。」
王国騎士もレイピアはメインだがサブの武器を持っている。
同じレイピアを2本携帯している変態も居る。
「うーん、正直使う者が居るかわからん。金貨8枚でどうだ?」
「ああ、良いぜ?俺も作ってみたダケの剣だ。」
そんなものだろう。
直刀のサーベルを7本載せる。切っ先だけ両刃だ全長105cm…。まあ、拵えを揃えたら1.1mぐらいにはなるだろう。
「軽いな…。」
「あ?」
「いや、すまない。坊主の作る剣は皆、軽い剣だ…。大きさの割りにだな…。」
何を言っているのだ?コイツ…。
一つ思い当たった。
顔には出さないが背筋が泡立つ。
冶金技術が低いから…。この世界の鋼は全て脆い。
全て…。強度を出すために肉厚にしているのだ。
あの世界の鋼の二三割、いや、半分でも同じ強度だ…。
「剣の…。重さダケで振り回すヤツはその程度の腕だろ…?」
勿論、剣の肉厚が薄い方が切断し易い。
「ああ、まあな…。正直、両手剣でこの大きさだとかなりの腕力が居る。坊主の剣は片手でも何とか扱えるヤツが居るだろう。」
「両手剣は振り回すダケの素人にはお勧めしない。腕力と体重を剣に乗せるコトが重要だ。重い一撃とはそういうモノだ。」
「さすがだな。坊主。ソレが解かっているなら安心だ。コイツは1本金貨13で買い取ろう。恐らく一番売れ筋の剣だ。」
「ほう、高値だな…。だが、未だ両手剣は未だ有るぞ?」
サーベル7本を追加で並べる。
片刃直刀、刃渡り90cm切っ先がかます形、つける柄の形状によっては同じ長さになるかも知れないが。前のものより刀身が一割短いがその分肉厚だ。
他の剣より炭素量も多めにしてある。硬い。
だが、靭性が落ちている。まあ、極端なモノで無く程度の話だ。
親父の目が厳しくなる…。いや、口元がだらしない。
この節穴は中二の心を未だ持っているらしい。
「おいおい、なんだ?この格好良い剣は?」
「先が重いので体重が乗せ易い。両手剣としては短めかもしれないが…。切っ先の形が単純なので切っ先が欠けても砥げば使える。刀身も厚い。長く使える。」
「マジかよ!!スゲエな!!」
「ただし…。突きにはあまり使えない。叩き切る剣だ…。山刀に近い使い方になるかもしれない。」
「ああ、そうだな…。中級以上の冒険者なら使えるヤツを知っている。」
「そうか…。良かったな…。精々高く売ってくれ。」
「1本金貨20枚でどうだ?これなら飾り彫りを入れても様になる…。」
「おい、親父。この地金は錆び易い。飾りにするなら何か…。処理を行なえ。」
「あ?ああ。解かってる。勿論だ。剣は錆びる物だ。偶に錆びない剣があるが…。」
「そうか…。」
やはり冶金技術が低いのだろう。
錆び難い剣がついうっかり混ぜ物のせいで出来てしまうのか?
「まあ、そんな名剣はそうお目にかかれないが…。」
「そうだな…。」
量産品を作る時の参考にしよう。
あまりチート剣は世に出す物では無い。
勿論、俺の目の届く範囲にある物は自重しない。
節穴親父の店を後にする…。




