213.絶縁1
さて、Bチームの考査を終えて解散した。
マルカと共に寮の部屋に戻る。
嘗ては無言であった帰路も二三会話をすることが出来た。
「いってきます。」
「いってらっしゃい。」
寮の部屋から仕事に行くマルカを送り出す。
さて、今日の反省会だ。
Bチームは練習すれば何とか成る見通しだ。
問題は明日のC、Dチームだ。
訓練メニューを考えなければ…。
朝夕の訓練内容を考える。
ソレほど激しい必要は無い。
どうしようか…。まあ朝晩の自衛隊体操で良いか。
その後、瞑想の時間を作る。
しかし、成長を待っている時間は無いかもしれない…。
改造するか…。
いやいや、最後の手段に取って置こう…。
用意は必要だが…。
栄養を確保しなければ…。どうするか?
イチイチ飯まで監視できない。
いっその事何か頭に付けて。大盛り飯強制で…。
まあ良いだろう喰わなければ強い兵は出来ない。
乳タイプ兄弟の例ではかなりの食糧が必要だ。
俺が領地を持った暁には…。
強力な兵を揃えるのには食料。カロリーとタンパク質が必要だ。
富国強兵。
強い兵は富の在る国でしか出来ない。
食料を効率よく作る。
その為の手段か…。
必要なのだ…。
あの世界の植物生産施設。
特に大型農業機械。
ソレを実現させるには冶金術を極めなければ成らない。
俺が作業小屋でチマチマ剣を作っているレベルではない。
大量生産が必要なのだ。
しかも汎用農機具。
魔法では対応できない。
もちろん、フェルッポを大量生産できれば解決できるであろう。
ソレは不可能だ…。
「性獣フェルッポなら…。いや、無理だろう…。」
外部からのドーピングでは対応できない…。
フェルッポ100人居ればこの王国の手付かずの荒野も穀倉地帯に変わるのだ。
効率よい灌漑施設と…。品種改良による生産効率の向上。
大型機械による耕作、収穫と堆肥製造。
恐ろしいまでの高効率の…過密飼育。
俺のウキウキ領地計画に必要なモノが多すぎる…。
特に窒素固定だ。
あの世界ではチートな技術&工作精度により連続してアンモニアを作って肥料も…。火薬も作っていた。
この世界では手に入らない技術だ…。
特に圧力容器。コレは難しい。
いや待て電位の魔法と石灰石は在るんだ…。
効率は悪いが空気とアーク放電で二酸化窒素を作って水と反応させれば硝酸が出来る…。
石灰石で硝酸ナトリウムを使えば肥料の完成だ…。
どうせ肥料だ、純度の高い物を作る必要は無い。
火薬は…。藁灰で反応しないかな?
いや待て。火薬は必要ない。硝酸アンモニウムに水か油を混ぜればよい。
コレだけで…。
夕食の時間が来たようだ。
制服の皺を整え食堂にむかう。
俺は別にこの世界に破壊と混沌を持ち込む気は無いのだ。
相互確証破壊。
あの世界は人類にとって過酷過ぎる。
この地上全ての高等生物を滅亡できる力なぞ誰も必要としていないのだ。
特に核分裂はな…。




