表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
214/400

番外編:エミリー・ストーム

今日は、午後から実習だったので皆で昼食を取った後、オットー様達と別れて実技試験場に向かった。

オットー様の話では、マルカは解放されるらしい。

やった!コレで一緒に遊べる。

しかし、マルカの表情は暗い。

下を向いたままだ。

実技試験場ではもう既に皆が集っている。

今日は、魔力の発動についてと詠唱の実技だ。

オットー様の訓練を受けてから何となく解かる様になった。

コレはすごいことです。

マルカも順調に試験をクリアしているので来年は一緒に普通魔法科に進級です。

最近はクラスの雰囲気も変わって来た。

出来ないクラスの男子が騒ぐことも無い。

みんな真剣に授業を受けている。

変わったのは一部の女子が変なカチューシャを付けているコト。

ある男子がからかったら。

”オットー様より頂いた魔力の補助器具です。”

と言い返していた。

ソレで誰も何も言わなく成った。

まあ、伝説の魔法使いと姿が似てるから。

ホントにデービスの生まれ換わりなんでしょう。

でもあまり関係無いみたい。デービス様でもオットー様でも…。

すごい魔法使いなのは変わらない。

マルカが以前の考査を行なってそのまま今回の考査が終わった。

うん、すごい。

あたしも負けない。

考査の列に並び審査を受ける。

会心の出来だ。

ふふふん、負けてませんよ。

マルカさん。

「マルカ、わたし考査、終わったから。」

「え?はい、終わった人から解散だそうです…。」

「そう?未だ時間が有るわね…。図書室へ行く?」

「え、そうですね…。」

「今日はたぶん皆終わるまで時間が掛ると思うわ。」

「はい、行きましょう。」

笑って答えたマルカ。良かったもう落ち込んで無い。

取り留めの無い話をしながら図書室に向かう。

図書室のドアをノックするが返答は無い。

あれ?オットー様居ないのかな?

中に入ると誰も居ない…。

司書さんは居るはずなのに…。

「誰も居ない…。」

「そうですね。」

「何か聞こえない?」

「え?」

「話し声…。」

写本室に向かうと誰かが…。

いや、何か変。ケンカしているのだろうか…。

音のする写本室のドアの鎧戸の隙間を見ると…。

うっ、コレって。男の人と女の人が…。

あ、あんなコトす、するの…。

いや…。でも…。

顔に熱が登るのが解かる。

オットー様と司書さんが…。

い、いや、コレは…。どうしよう?

辺りを見るとマルカが鎧戸の前で固まっている…。

だ、ダメだ。

詳しくは聞いてないけど…。マルカはオットー様と…。

女の奴隷だから仕方ないけど…。

酷いコトはされていないみたいだし。

そんなにイヤじゃないって言ってたし。

男女のコトだから…。

マルカが顔を押さえて走り出す。

『ちょ…。』”マルカ!”

思わず声を出しそうに成るが口を押さえて静かに追いかける。

マルカは校舎を出てベンチの前の木にしゃがみ込んで泣いている。

どうすればいいんだろ?

「オットー様は偉くて優しい方なんだから、そりゃモテるわよ。」

何言ってるのわたし。

「わたし。オットー様に捨てられしまうの。」

「す、捨てないわよ。オットー様はしっかり下の者まで見て下さるわよ。」

「でも、この学園を出たら、ドコにも行くとこない、どこにも居場所は無いの!!」

「大丈夫よ、ソレまでに居場所を作って居れば。」

「お母様も!ミカもタニアも死んでしまうし!誰も居ないの!!」

「あたしが居るわよ、マルカ。大丈夫、誰も死んだりしないから。」

優しくマルカの頭を抱きしめる。

「エミリー」

泣き崩れるマルカ。

「大丈夫、私達ペアなんだから、何時も一緒よ。」

泣き止むまで。

涙が枯れるまで泣いてマルカ。


オットー様しっかりしてください。

女の子を泣かすなんてサイテーです。

しっかり最後まで面倒を見ていてください。

男なんですから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ