204.愛の奴隷2
写本室に入り。
気持ちを切り替えよう。
イネス教授のインクとマイト先輩から買い取った、インクをそれぞれ取り出す。
何が違うのだろうか?
あまり効果に相違は無いが生体に影響を及ぼすのか?
魔力的な構成に影響を及ぼすのか?
その他の違いは解からない。
似た物で有るのは間違いないが…。
それぞれ使用目的に合った耐久度と効果時間の変化の為に機能的な味付けが違うのかも?
あの、多色刷り版、魔法のお札の大量生産がコレで可能になった…。
ファイヤーボールのお札を軍に売りつける。
兵の標準装備に成るような金額しかならないが原価は知れている。
納品契約が成功した暁には銭を刷っている様なモノになる。
こうなるとお札の種類を増やす必要がある。
コレを使って…。いや、未だ獲らぬ狸の皮算用だ…。茶釜になるのか?
うむ。ソレだけでは弱い。軍は今、何が必要で何を見せると飛びつくだろうか?
クリーンの魔法か?
アレはスクロールで買える。
兵隊が風呂に入らなくても良いのは気持ちの問題は別にして、怪我や病気の…健康の問題が片付く。
重要なコトだろう。
しかし、ソレなら、あの無限水差しと応急手当の毒消しの草を売り込んだ方が良い…。
清潔な水が飲めると言うのは兵にとって重要なコトだ。
ソレならいっそポーションお札版を作るか?
自分、又は他人に治癒を行なうお札だ。
軍はきっと飛びつく、骨折&切り傷ぐらいなら直に兵が戦線復帰。
死人が減るのだ。
指輪とトライバルの応用だ。
ソレほど難しくは無いだろう。
資料はある。
思案していると写本室の前に立つ光点がGUIに現れる。
ウロウロしている様子だ。
「どなたですか?」
ドアーの向うに声を掛ける。
「あ、あの、エレノアです…。お話が有るのですが…。」
「どうぞ…」
司書たんが入ってきたので資料とインクを収納する。
「あの…。申し訳ありません。手紙を相手に渡しました。」
ああ、あの果たし状か…。
「そうですか…。あちら側の方は何か?」
「いえ、特には…。」
「そうですか…。」
どうすんのよ?あの優男。殺のか?おら殺のかぁン?
「あ、あの、ごめんなさい。わたしが…。魔法が使えるコトが嬉しくって。家に話さなければ…。こんなコトに。」
「良いんですよ。大事なコトです。一番に聞いて欲しかったのでしょう?ご家族に。」
「はい、母は何時もわたしが魔法を使えないのを気にやんでいました…。」
涙ぐむ司書たん。
泣き顔もすばらしいはあはあ。
肩を抱き寄せる。
「大丈夫です、男オットー何とかして見せます。もう、熊でも帝国軍でも何でも来いです。」
全部木っ端微塵にしてやる。(物理)
「はい。」
泣き笑いの司書たんの瞳を見る。
うん、司書たんの瞳の中の俺は邪悪ではない。
悪魔チェックも問題ない。
コレは俺の意志で司書たんとイチャコラしたいダケなのだ。
何もやましいコトは無い。
見つめ合う司書たんと俺。
司書たんが顔を上げ目を閉じた。
行っちゃう?俺、行っちゃう?
軽く唇が触れ合う。
よっし!!拒絶されなかった。
次行く?イク?
「あの、エレノア。実は…」
「はい、何でしょうか?」
「魔道具を使わずに魔力を作り出す方法が在るのです…。」
「え?すごい。」
「はい、しかし。制約がありまして…。」
「なんですか?」
「紋章を体に直接書き込む方法です。」
「え?」
「一生消えません。魔力を発生し続けます。身体強化の効果も有ります。」
「そうなんですか?すごいです、何が制約なんですか?」
「俺の子供しか生めません。」
驚いた顔から真っ赤になる司書たん。
「こ、こども…。」
「はい、元々強い子供を育てる紋章なので…。」
「あの…。こど…。」
「お腹と胸に書き込みます。あと、場合に寄って追加も…。」
「お腹?胸?」
「はい。お嫁さんになる方以外には書き込まない紋章です。」
「お。お嫁さん…。」
「はい、お嫁さんになりますか?」
”お嫁さんになりますか? →YES NO”
勿論GUIには出てこない。
しかし、チャクラも廻していないので悪魔でエレノアの意志だ…。
いや、俺は悪魔では無い。
ホント、僕は人間だよ~悪魔じゃないよ~。
「あ、はい、なります。お嫁さん…。」
耳まで真っ赤にしたまま頷くエレノア。
俺の袖を握っている。
「では…。紋章を…。俺の紋章を書きましょう…。」
「は、はい。」
写本室の机の上で全てを征服した。




