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194.内戦1

さて、昼に近いが中途半端だ。

飯を食べるには早すぎる、近くには武器屋か…。マイト先輩の居る店だ。

この先買い物も有る。

懐を暖めよう。

収納から3本の剣を取り出して武器屋に向かう。

武器屋のドアーを潜ると。

ガチムチ節穴親父が満面の笑顔だ…。

前より眩しいムサイ笑顔。

不安すぎる。

「よう、待ってたぜ。坊主。」

「何か在ったのか?」

「ああ、見ての通り大繁盛だ。」

店内を見渡すと客は居ないが一番高い粗大ゴミの剣が無くなっている。

その他、店の展示物も無くなっている。

あんな物買うヤツ居るのか…。

「売れたんだな、あの客寄せ。」

「おう、お前が打ってダルガンが拵えたのも売れた。」

「何で又。景気が良いんだ?戦争でもするのか?」

「ああ。そうなんだ。坊主、ココだけの話だぞ…。」

もったいぶった顔になるムサイ親父。

この節穴親父、客全員にこう言っているんじゃないよな?

「実はなあ。とある貴族とある貴族がケンカになってな。戦争になりそうなんだ。」

「なんだと…?」

貴族同士のケンカなんて王様が出てきて手打ちだろう?

戦争になるハズも無い。

「ケンカ売った方は其れなりの家でソコのドラ息子が、ある下級貴族の娘に言い寄ったそうだ。そしたらその娘が他の貴族の息子と婚約していた。」

「は?痴情の縺れか?」

「おう、そうだ!婚約者は怒って決闘を申し込んだのさ。しかも、ソコの御貴族様は昔っからの武闘派で戦争の褒美で喰っている様な家だ。王都に店も出してない。」

ウキウキ顔で話す節穴親父、随分と楽しそうだ。

「嫌な貴族だな。」

戦闘民族かよ…。まさに野蛮の庭サヴェージガーデンだな。

「そうだ、戦争の時以外は領地に引っ込んでる。軍にも顔が効く。軍の連中は動かない。他の貴族はドラ息子の方を良く思っていない。まあ素行が悪かったからな。」

まるで見てきた様に言う節穴親父。

「ソレで?」

「おう、ドラ息子の家は其れなりだが兵隊が居ないワケでも無い。もう随分と戦争には行ってない武器が古い。だが、売ってくれる店は無い。」

「おいおい、売ったのか?」

「ココは庶民の店で冒険者向けの店だ。貴族の義理は関係ない。」

「戦争に成らないだろ?そんなヤツら。」

「そうだろうな…。俺がガキの頃の話や。爺さんの時代では敵も味方も名を聞けば震え上がる様な御貴族様だ、悪いが客はボロ負けだろう。」

楽しそうに話す節穴親父、コイツどっちの味方なんだ?

まるで客が負けて嬉しい様な口ぶりだ。

「王様が黙って無いだろ?」

「まだソコまで話は言って無いのさ。」

「なんで?ココまで皆知っているのだ?直に宮廷に話が出るだろ?」

「決闘の申し込みの手紙がドラ息子に着いたばかりなんだ。朝未だ開いてないのにソコの兵が来て買い占めて行きやがった。」

「こんな店にか?」

「おいおい、こんな店とは随分だな、最近は良い剣を置いていると名が上がってるんだ。それに貴族様向けの武器屋はしばらく休業中だそうだ。誰も負ける家に武器は売りたくない。正直、御貴族様が怖い。」

「面倒な話に成っているな…。」

「そうだ、庶民には関係が無い。貴族の出入だ。まあ戦地になる住民達と駆り出される兵隊には気の毒だが。」

「そこの息子達が決闘で終わりだろう?」

「だと良いが…。ドラ息子は乱暴者らしいが婚約者の方もかなりの腕らしい。貴族のプライドが邪魔しなければ良い勝負だろう。」

「うーむ」

決闘ダケで勝負は付かないのか…。

政治が絡んでいるのなら家同士の戦争か…。

早まったヤツも居るもんだな…。

俺もこれから気軽に決闘するのはやめよう。

「さて、ソレで今、店の在庫が非常に少ない。売ってくれるんだろ?その剣。」

「ああ、景気が良いなら高く売るぜ。」

3本をカンウンターに乗せる。

「なんだ、もうちょっと沢山持って来てくれ。さっき、昔なじみのヤツが久し振りに店に来たのに良いモノは全部売り切れだ。結構、恥かしかったぜ。」

苦笑する親父。まあ本気ではないのだろう軽口の類だ。

「おいおい、1本仕上げるのにドレだけ掛ると思ってるんだ?」

10分ぐらいだ。(流れ作業可能)

「まあ、そうだろうな。ソイツも持ち合わせが余り無かったから。包丁を貸してやったが。」

検分する親父笑顔だ。

「よっし、3本全て相変わらずの出来だ。全部で金貨60でいいか?」

「ああ、ソレで良い。精々高く売ってくれ。」

「おう、ソレは任せろ。ソレで…だなあ、坊主。他に売れる剣は持って無いか?」

「あ?鍛冶屋に注文しろよ。」

「注文はしている。入荷は三ヵ月後だ。売るモノが無い。」

「樽の中に在るだろ?」

振向かす親指で示す、流石に兵隊は樽の中は手を出さなかったらしい。

ゴミだからな。

「いやいや、アレは下取り品だ。鍛冶屋も治そうとしない様なモノだ…。あれ買うのはランクなしの冒険者か粋がってるガキだけだぞ?あと、一番買っていくのは坊主お前だ。」

そうか、困ったな全部当てはまる。

「うーん、困ったなあ。売れるものは在るんだが…。」

「なんだ?坊主?在るのか?買い取るぞ?」

「いや、今持ってないが昔、研究用に買った量産品の古いショートソードが数本ある、一応は鋼の剣だ。」

「ほう、良いじゃないか?買い取るぜ?」

「いや、古い。あの形だ。」

壁に掛ったマン・ゴーシュの様な両刃を指差す。

壁のは飾りの模造刀の様子だ。

「ああ、良いんじゃないか?最近巷で話題の冒険者3人組みがあの手の剣を使って名を上げてる。」

「そうなのか?」

「ああ、古いが名剣らしい。ソレで駆け出し共は皆、あの手の古い剣で良いの選んで使っている。其れなりに売れる。」

刺突剣の類だ。

対人用なら防具と武器の発達で使い道が無くなって居るだろうが。

魔物相手の冒険者なら問題無いだろう。

皆が使っているなら元は量産品だ”灰色の俺”と結びつけるものは居ないだろう。

「解かった、今度もって来る。じゃあ材料を仕入れるか。」

樽に向かってワゴンセールを物色する。

「又、買っていくのか?坊主ダケだぞ?そんなの買うの、いい加減、拵え屋に出せよ。」

「拵え屋は休業中だろ?」

今度は20本並べる。

「ダルガンはな…。ああ、そうだ、新人の拵え屋は居るぞ?」

「なに?」

「まだ工房を構えたばかりだ。仕事が無い、修理に良く出してる。腕は…。駆け出しだな…。」

親父が手早く剣の束をヒモで縛る。

「俺の作っているのは刀身ダケだ。砥ぎは自己流だ。」

「坊主。砥ぎ屋にも話を付けよう。」

金を払い受け取る親父。

「ダメだ、鍛冶屋ギルドに文句言われるぜ。」

「おいおい、坊主。俺はこの空っぽの店に品物揃えるのに苦労してんだぜ?」

「儲かっただろ?品物集めるのも商人の人徳だぜ?」

縛った剣の束を受け取る。其れなりの重さだが問題は無い。

「やれやれ、本当に俺より年下なのか?今はドコに話をしても商品が無いんだ…。」

タメ息を付く親父、俺が20本軽がる肩に担いで持っているのにも驚いているようすだ。

「ああ、今は。職人の話では材料が無いと言う話だったな。」

「あ?なんだって?」

「北のドワーフの国からの商隊が少ないそうだ。」

「そういえば言っていたな。鍛冶屋がそんな事。帝国からの商隊も来ないらしい。」

「材料が…。ドコも無いのだろう。だから商売にならない。」

「あ~クッソ、売るんじゃ無かったぜ!!」

「まあ、刀身だけなら昔作って完成させて無い物が幾つかある。今度持ってこよう。」

もちろん嘘だ、コレから作る。

店を出ようとドアーに向かう。

「お、おい、坊主、頼んだぞ!!出来れば早く来てくれ。」

節穴親父の声を手を振って答えた。

(´・ω・`)草原を進む、はだか執事やおいは目だしマントに抜き身の包丁を持ち…。

(´;ω;`)おまわりさーん!!


マルダー 

職業 :やおい裸執事

装備 :目だしマント 執事ズボン ビゴーニュの包丁

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[気になる点] 鍛冶屋も治そうとしない様なモノだ 直そう
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