190.中毒(ジャンキー)
朝、ベットの枕元をチェック…。
だ、大丈夫だ。未だ慌てる時間じゃない。
メイドさんずはシーツと寝巻きを片付けている。
ベスタは朝の鍛練には出る様子だ。
少し歩き方がぎこちない。
恐らく昨日の乗馬で筋肉が炎症を起しているのだろう。
手をかざし強化ヒールを掛ける。
何故か不満そうだ痛いほうが好きなのか?
中庭に向かう。
乳タイプ兄弟しかいない他は実家に帰ったのか?。
「おはよう、オットー。」
「おはようカール。少し…。窶れてないか?」
乳タイプ兄弟の兄貴分、小さい方が…頬がこけて目が落ち窪んでいる。
「ああ、昨日、昼食後。ジョンと一緒に鍛練をしたんだ…。日が暮れるまで。」
「そうだ。楽しかったなカール。何か自分が強くなった様な気がしたんだ…。」
楽しそうに話すジョン、弟分の大きいほうだ…。少し痩せた?
「うん?待て。ドレだけ遣ったんだ?」
「オットーの言うとおり血の小便が出た。」
「うむ、出たがすぐ指輪で治った。」
ダメダコイツラハヤクナントカシナイト。
思わず眉間を揉む。
「ジョン…。そうか…。今日は止めておこうか…。」
「いやいや、大丈夫だオットー。この指輪は凄いな。疲れも知らないし…。ケガも治る。」
「そういう使い方ではないぞ?魔力が尽きるだろ。」
「ポーションを全て使い切った。」
殴りたくなったが押さえる。
「ちょっとお前ら動くな…。」
サーチするが内面上の異常は無い…。
て言うか脂肪少な過ぎ体脂肪5%切っているんじゃないのか?
死亡フラグだぞ?
「今日は休憩にしよう。」
「おいおい、オットー。ソレは無いだろう?今日は身体が軽いんだ。」
「そうだ…。すごく調子が良い。」
「お前ら、人一倍、体を動かす時は人一倍食べろ…。」
「昨日の昼は腹いっぱい食べただろ?」
笑顔のカール。
「ああ、少し休憩して鍛練したのだが夕方には腹が減って仕方なかった。」
「お前らは今、肉が足りない状態だ。自分の肉を使って動いている状態だ…。今日は…。何か消化の良いモノを沢山食べて一日休め。」
「おいおい、一日休むと何か身体がしぼむ様な気がするんだ。」
ジョンが言う。
コイツ等完璧にトレーニング中毒だな…。
「よし!解かった、指輪に不具合が見つかった。回収する。」
「いや、待てオットー!コレは家宝だ!!」
「だめだ!コレが無いと鍛練できない!」
抵抗する乳タイプ兄弟を一瞬で制圧して指輪を奪う。
”家宝が!”、”アレだけ鍛練しても勝てないのか!?”
「この指輪は回収する。大丈夫だ、不具合を修整してから返す。預かるだけだ。ベスタ!!」
「はい、オットー様。」
「済まないが今日の鍛練は無しだ。」
「はい、解かりました。」
「カール、ジョン。今日は一日寝ていろ。そして三食二倍食べろ。」
「まて、オットー!!」
立ち上がり飛び掛るカールに電圧を掛ける。
一瞬で崩れ落ちるカール。
「おい!カール!」
「ううっ。構成が…。見えた…。解かった…。」
そのまま気絶するカール。
「おい!カールしっかりしろ!!教えろ!その構成!!」
気絶したカールにすがり付くジョン。
おい、何でそんな変な方向に熱心なんだ?お前ら?
「とにかく!!お前らは疲労が溜まった状態だ。今日は休め!!間に合えば明日の鍛練までに指輪を修整しておく。明日のお前等の状態を見て判断する。」
「解かったオットー。今日は休憩する。」
渋々従うジョン。
「そうだな。ソレが良い。カールは直に回復する筈だ。」
気絶したカールを背負ってジョンが寮の中に消えていった。




