176.告白
さて、問題が増えたが。
司書ちゃんに。
「せんせー写本室で魔法が暴発して一部被害がでました~。」
と報告する。
勿論、怒られたが。
「実費で払うので見積もりを業者に発注して下さい。コチラも合い見積出します。」
と言ったら。
金で何とか成りそうな雰囲気になった。
資本主義万歳。
怒った顔もかわゆい司書たん。はあはあ、ぷにぷにしたい。
マーモット達を待つ、午後の授業が終わり次第皆ココに集るはずだ。
図書室のドアーがノックされる。
「入りたまえ。」
偉そうに答える。
ロリロリを先頭に実験体共が勢ぞろいだ。
「よく集ってくれた。席に付け、コレから来週からの班分けを発表する。日程の都合の悪いものは後で俺に報告しろ。」
「「「はいっ」」」
図書室の長机に腰を落ち着ける実験体。
不安げな表情だ。
「ではコレから番号を読上げる。呼ばれた者は便宜上A班とする。週の最初の日に講習を行なう、よろしいか?」
「「「はいっ!!」」」
皆、緊張している。
「では、発表する、番号が呼ばれた者は前に出て並べ、2番、5番、6番…。」
「はい!」
「は、はい。」
呼ばれた少年少女達が俺の前に並ぶ。
Aと言う称号に誇らしいのか、顔に自信が表れている。
正直…。ムカつく。
コイツ等…。
「以上、週の最初の日に講習を行なう、A班14人揃っているか?」
「「「はい!!」」」
うん、14人居る。ダークエルフ少年もいる。
「では!」
並んだ頭。一人づつ。クリップボードの角で頭を叩いていく。
「いたっ!」「痛い!」「ヒッ!」「え?何で!!」
「よし!俺の気分が晴れた。お前らは別に俺が指導しなくても自分の努力で…。まあ、ソコソコの魔法使いに成れたヤツラだ。正直、俺が指導する必要は全く無い。お前らの個人の不始末でココに居る。正直、本人のヤル気が無いとどうしようもない。」
「え?ソレって。」
14番のチビの栗毛天然パーマが答える。
「仕方が無いので俺が一流の魔法使いになれる様なコトを教えてやる。だが。一流と三流の違いは本人の努力と発想だ。よく覚えておけ。ではA班解散。」
「「はい!!」」
頭をさすりながら少年少女達が図書室を出ていく。
「では、次。便宜上B班を読上げる。呼ばれた番号は前に並べ。」
「「「はいっ」」」
コイツ等返事は良いなあ。
「では、1番、7番、9番…。」
B班12人だ。
少年が多い。まあ、良いだろう。
「お前らは、A班との差は余り無い。経験の差だけだ、練習で追いつける、但し、差を埋めるには修練の時間が多い方が追い付き易い。反復練習を重点とする。B班はAの翌日ココで研修を行なう。」
「ハイ!!」
「ではB班解散。」
随分減った、残りの顔達。
若い者が多い。
「さて…。」
向き直ると皆、ビク付く。
いや、ホントに。
体が震えている。
まあ、良いだろう…。
「次は、C班とD班を読上げる。便宜上、同じ班で授業を行なう。良いか?では、読上げを行なう。呼ばれたら前に出ろ…。」
読上げると前に出る少年達。
飛ばされた少女達は涙目だ。
「さて、キミ達は、未だ、魔力的成長が終わってない。つまり未だ魔法使いの勉学に進む歳では無い。」
「え?あのどう言うコトですか?」
「言葉のとうりだ、未だ魔法使いとして体が成長していない。二、三年すれば魔法使いになれるであろう。魔力を扱えるには身体的成長が重要だ。精神の統一と体の成長が必要だ、好き嫌いを無くし、よく食べよく体を動かし。よく眠ること。」
「は?はあ?」
「貴様等には特別メニューだ。毎日の課題を与えるつもりだ、座学だけでは無いと思え?」
「「はい!!」」
「では。解散。訓練メニューは来週伝える。」
「「ハイ!!」」
残ったのは6人の少女達だ。
イロイロな髪の色だ。
ゲームっぽい。
「さて、残った者。集れ。近こう寄れ。」
ロリロリ少女が多い。流石ゲーム。
「さて、キミ達を集めたのはイロイロな共通点があるからだ。」
「はあ?」
「まず、キミ達はまともな魔法使いには成れない。身体的特性で自力で魔力を作り出すことが出来ない。」
「えっ」
「そんな…。」
「えっぐっ、うそ…。」
泣き出す子も居る。
まあ、そうなるか…。
司書ちゃんの視線が痛い。
いや、いぢめて居るわけでは無いのですよ?
「その為には魔力を外部から供給する道具が必要だ。コレから練習学習用の鉢がねを渡す。」
一人づつの前、机の上に置いていく。
「鉢がねの向かって右下に各番号が彫ってある。各自無くさないように。あと、金具が本体で布は仮である。各自自由に布を変えても良い、金具が額の中心に来るように注意すること。」
「は?はあ?」
「各自装着せよ。」
全員の装着が終わる。
ハチマキ少女隊の完成だ。
「39番下がり過ぎだもう少し上に。」
修整する赤毛のポニテ。
又下がる。
「うーん、仕方ない。このようにイイカゲンなモノだ、布部分は各自、自由に調整してくれ。コレはあくまで学習用だ、本式は現在開発中である。キミ達を見て作るコトになる。オカシナ事をやらせるかも知れないが…。まあ、我慢してくれ。」
セクハラしないよ?絶対。ホントだよ?
一人づつ手をかざして魔力を充填する。
相手の魔力に合わせなくては成らない。
動作は問題無さそうだ。
意外に面倒だな…。
二三人ならOKだが。7人になると…。やはり助手が要るな。
さて、実技が終わったのかミソッカス共が来た。よし!サンピントリオも来ているな。
「ではナンバーズ解散。エミリーとマルカは残って実習。」
「はい。」
何か相談しているハチマキ少女隊。
代表なのか金髪ショートハチマキがやってきた。
「あの、オットー様、コレから皆予定が無いのですが、実習に参加したいのですが…。よろしいでしょうか?」
まあ、机は余っている。
ロリロリの練習台にもなる。
正直コイツ等は経過とデータが欲しいだけで、指導するには手が掛りすぎる。
「よし、良いだろう。マルカ、エミリー、エレノアと合流して実習。」
マグと低級ポーションを取り出し一人づつ渡す。
「エレノア。このベルトを使ってくれ。未だ前と同じ物だがこの時間の練習に使ってくれ。」
「は~い♪」
ウキウキ声で腹巻を受け取る司書ちゃん。
「マルカとエミリーはこの子達に魔力の供給をする訓練をしてくれ。相手の魔力を解析して同じ魔力に合わせるのだ。素早くな?」
「「はい。」」
「エレノアは後ろから見てどうやっているのか自分なりに解析してください。相手に魔力を送る訓練です。」
正直。それが出来れば司書ちゃんタイプを矯正教育が出来るかどうかのテストケースだ。
慎重に進めなければ…。
「おいおい、オットー僕らはどうすれば良いんだい?」
アレックスが前髪をさわっている。
恐らく次の話すことは”そのお嬢さん達を紹介してくれ。”だろう。
勿論、そんなコトはしない。
「そうだな…。そろそろ座学でもやるか…。」
「座学って。」
「フェルッポ、魔法の発動の仕方だ…。ああ、ロビンはあっちでデーニックとエドにマグの基礎を教えてやれ。ほい、マグと低級ポーション。終わったら返却すること。」
「え?あの。教えてくれないんですか?」
ロビンが何か言うが無視する。
正直コレから喋ることは異端だ。
口の堅いヤツしか話したくない。
「司書さん。写本室をお借りします…。では行くか。この世の真理を…話そう。」




