175.ブック2
食事が終わる。
明日からの半ドンと休日はどうするか?と言う話になった。
乳タイプ兄弟は庭に二人でシバキ合いに。
フェンデリック兄弟は家に洗濯に。
アレックスは家にゴマスリに行くそうだ。
まあ、フェンデリック兄弟はフェルッポの服が着れなく成ったので。
お抱えのお針子さんを呼んで兄弟で服を作って貰うそうだ。
流石貴族だ…。まあ。俺も我がままボディ過ぎるので作ってもらうしかないが。
アレックスは話を要約すると。兄弟が心配しているので呼び出されたらしい。
進路の話だろう。
故郷で木を数えて居た方が幸せだぞ?アレックス。
マイト先輩は週末は日没まで店らしい。
なるほど…夜はあのお姉さんか…。いやいや。行かないぞ?
オットー。図書室に立つ。
にこやかな司書たんの笑みにはあはあしてしまう。
すばらしい笑顔だ。キミのためなら…。握手券オマケ付きを買い占めて…。
もし俺があの世界のデブなら、七色ビームサーベルを両手に1000人の兵を相手に無双して、首が取れても上に向かってラストシュートするだろう。
武道館と言う修羅の集う場所で。
だが、この世界はそんな過酷なパラメータなぞ存在しないすばらしい世界だ、主に魔法のせいで。
写本室を借りて一人考える。
資料の見直しを行なう。
正直言って、悪魔の支配下に居た時ドコまで俺の奥に悪魔が侵入していたのかが気になる。
特に紋章。
GUI上の悪魔辞典と、魔物辞典、亜人辞典はそのまま存在する。
隔離消去されたのはアプリでは無く割込み実行ファイルだけなのかもしれない。
収納から本格最狂対悪魔リングを取り出し装着する。
魔力を通しても異常は無い。
よっし!俺は守られてる!!
脳内悪魔辞典を展開する。
異常が無い。うん、青い肌でむちむちぷりんなナイスばでぃのキワドイ服だ!!
すばらしい。ぜひ捕まえて実験したい。
内容は欠損していない様子だ。
次に魔物辞典。
あまり見ていなかったがバンシーのページで肌色を楽しむ。
問題無い…。
やはり悪魔的ウィルスは完全に消去されたのか?
次は…。亜人辞典だ。
コレは現物がある。
見比べることが出来る…。
キモイので正直触りたくない。
脳内亜人辞典は問題が無さそうだ…。
エルフのページしか記憶に無いが…。
皮手袋とモノクルを装着して。
亜人辞典を出す。
うん、呼吸している。
感触は本なのに、スッゴイ、キモイ。
変な所さわると噛み付かないよな?この本。
本を広げて内容を確認する。
文字は不明だが、絵は脳内と同じだ…。
GUIに”インストールしますか? →YES NO”の表示がでた。
いや?何で?もうインストール済みだ?
勿論NOを選択する。
脳内辞典と見比べながらパラパラと捲ると。
「ページが増えてる…。」
最後のページの続きにはアレックスのページがあった。
次はマルコ…。フェルッポ。ジョン。カール。オ…俺?
文字は読めないが…。俺の絵が亜人辞典の中に在る…。
脳内辞典には無い。
初め見たときは無かったハズだ…。
閉じて表紙を見る。
口と鼻の穴と羽だけの本で皮の装丁。
表紙の文字はのたくった筆記体だ。
内部をサーチすると皮の裏に何らかの紋章がある。
同じく見たこと無い字だ。
亜人辞典の解説文字に近い。
眺める本の口がいきなり歪み。
息を吸い込む。
「なっ?」
羽がはためき始めた。
コイツ!!飛ぶ気か!!
手をすり抜け狭い写本室を飛び回る。
とっさに頭部にリングを構築。
光が飛ぶ本を撫でる。
本は焦げくさい臭いを振りまきながら床に落ちた…。
片側の翼を焼き切ったのだ。
壁の一部が酷いコトに成っているが…。
まあ、良いだろう。
本はのたうちながら床を這っている。
うわーコイツさわりたくね~。
這いよる本を捕獲する。
翼の折れたキモイ本は未だ羽ばたくのを止めていない。
内部に異状はない…。
GUIに”インストールしますか? →YES NO”の表示が出ているが…。
角が…。皮の装丁の角が焦げている…。
コイツ。ドローン偵察辞典なのか?
インストールしたヤツの情報を収集してドコか…。たぶん作ったヤツの手元まで飛んで帰る。
この紋章は見たことが無い。
だが機能的には悪魔辞典の裏の紋章と同じのはずだ…。
幸い。翻訳本も手元に在る…。
コイツを解読して…。
この本の目的地に…。
俺の知らない何かが居るのだ…。
こんなのゲームに無かったからな。




