174.指揮権問題
教室を出て先輩と共に食堂に向かう。
マイト先輩は責任感が強いのか廊下を歩きながらテキストを読んでいる。
「う~ん、そういうことか…。(ブツブツ)」
何故か通常の錬金術科生徒のテンプレ状態だ。
「やあ、オットー。朝ぶりだね…。その様子だと珍しく授業に出たのかい?」
ウザイ前髪が優雅に苛立たせる音を発する。
「ああ、今日は、錬金術科の授業を受けた。午後は…。サボる。」
「オットー大丈夫か?」
「オットーは出席関係ないから良いよね。」
「まあ、オットーの理論は理解できないからな…。」
「間違ってないから発動するのだろうが…。あの構成は訳が解からない。」
乳タイプ兄弟は俺の構成の解析に熱心らしい。
ミソッカス共は居るが…。サンピントリオが居ない。
ロビン…。逃げたな?覚えていろ…。
「さてと…。今日は我が配下の者は私用で不在だ。」
「そうすると…食券を買いに行くものが居ないな…。」
ジョンが気を使っている様子だ。
そうだ、ココには貴族しか居ない。
しかし、先輩は貴族では無いがこの場では俺より上の存在に成っている。
軍でも良くある指揮権の順番の問題になる。
例題で良く出る問題だ。
貴族の部下が平民の上官に従うのか?
と言う話だ。
勿論細かい規定により決まる問題だ。
但し面倒なのでお互い皆避けるコトに成っている。
ジョンの発言はその警告だ。
「ふむ、では俺が買いに行こう。少し今日は選びたい。」
勿論詭弁だ。
ジョンとカールが安堵した顔だ。
「良いのか?オットー。」
「ああ、ココでは俺が後輩だ。大盛りの他に麺が欲しい者。挙手しろ。」
後輩のクセに偉そうに言う。
ジョンとカールと、フェルッポが手を上げた…。
アレックスお前も喰え。+1デブ追加。
「よし解かった。オットー・フォン・ハイデッカーこれより食券の確保に向かう。」
王国式の敬礼をして肩で風を切り使いっパシリをする。
長い食券の列に並ぶと…。
前の兵が全てガーズだった。
なんだ。元気そうでなに寄りだ…。
優しく絞めたから後遺症も無いだろう。
月明りが無いこの世界では暗闇は魔の支配する世界だ。
暗闇を制する者が夜を征するだろう。
星明りを味方に付けるのだ…。
俺には紫外線と赤外線と言う強い味方が居るがな。
しかし、モノクルが暗闇で光るとは思わなかった…。
何か対策を考えねば…。
「次は…。こ (うがく)…。ロス (トを減らす)」
前に並ぶ兵たちが一糸乱れず一列になって食堂を出て行った。
流石、王立近衛兵団練兵ばかりだ。
一挙手一投足までキマっている。
うむ。エリート揃いと言うのは伊達では無い。
空いた列を詰め、食券を必要数分だけ調達した。
食券を購入して何時もどうり食堂の一角を占領する。
今日はベスタもマルカも居ないので俺がお茶の準備をする。
給湯カウンターに行くのが面倒だ。
お茶のパックを鷲掴みして収納する。
後は魔法で湯を出せば良いだろう。
(もちろん残ったお茶パックはパクる。)




