17.灰色の魔道士(その2)
上巻を読みながら本を写す。
うーん良くわかるが。現代知識では考えられない常識がまかりとっている。
たぶん、元素周期表が在ればブレイクスルーが起きそうだ。
本はあまり厚くないので、すぐに複写できた。
この巻にはポーションの作り方が乗っていない。
劣化ポーションのお世話になるのは長そうだ。
夜寝る前にポーションに魔力を補充する簡単な仕事です。
コノ体の出来は良い。視力も集中力も体力も頭も出来が良い。
しかし、こんなに地力が良いのになんであんな三下小悪人だったんだろ?
とりあえず本を読みながら手に入れた粘土でゴーレムを作る練習をする。
なんだコレ、フローチャート作って魔力がなくなるまで動くだけのシーケンサーじゃね?
記述に癖が在るがミ○ビシのシーケンサーより楽だ(○KD派)
本は未だ借りられる。どうしよう?
ロリに予備本を複写させてつくらせた。
字の練習も込だ。あと俺の複写した本の添削もしてもらう。
複写が終わったので。
返すついでに中巻を借りに本屋に来た。
隠者モードで一人だ。
追加で金を払い本を借りると
赤銅が探していると本屋が言った。
又、面倒ゴトか…。
店をでて路地裏へ向かう。
くそ!付けられてる。
路地裏で迎え撃つ。
三人の冒険者風だが装備が良い。
女が一人先頭で後ろに男が二人。
どこかの貴族の配下のモノかもしれない。
しかし、ソレを示す紋章は無い、
ウチの者では無い。
路地の十字路で迎え撃つ。
逃げ道の確保は重要だ。
「何か用か?」
「灰色の魔道士だな。治癒魔法の使い手で心の臓の治療に明るいと聞いた。」
「誰だよそんなコト言ってるヤツ。」
「赤銅のモンテだ、クラスBの冒険者だ。」
くっそ!アイツ後で絶対コ口ス!!
「人違いだ。そんなヤツはしらん。」
「まて、間違いないハズだ。本を返しに来たのだろう。」
アイツそんな事まで喋りやがって!!後で絶対泣かす!!
「治療していただきたい方がいる。もちろん礼金は出す。」
オットー・フォン・ハイデッカーです、前後左右を騎士で固められました。
逃げられません。
馬車が着ました。
乗せられてドナドナです。
貴族が雑務で使うタイプの馬車です、
俺はあんまり乗ったことは無いけど。
公用で従者やメイドが使うタイプです。
カーテンが下ろされて外が見えません。
ココでポーンで逃げたら後で殺されそうだ。
きっと本屋の前で剣を抜いて待ってるだろう。
営業妨害だな。
ついた、
どっかの貴族の別宅だ
まあまあの貴族が持っているタイプだ。
中に案内される。
老メイドと貴族の御夫人がベットの脇に立っている。
ベッドには20歳まえの女性。
顔が青い。
女従者が話す。
「この方を治療していただきたい。後は身分の詮索はお互いしない。」
「ふん、治るかどうか解からんぞ。高い偽薬を買わされるかも知れん。」
「お前は町娘の心の臓の病を一瞬で治したという。その町娘と良く似た症状だ。」
仕方無くサーチする。
うわなにこれ。すごくおおきいです…。むね…は普通だがくっころさんより大きい。
心臓がデカイ。心肥大だ。
うわーこんなんどうすんのよ。
治せねえよ。うわー。
心停止させて人工循環器付けて開胸して心臓のトリミングして縫合、蘇生かよ。
ムリゲーすぎる。
昔は心臓を移植していたハズだ。
心臓なんてどっから持ってくるのよ?
空いた椅子に腰を掛けて考える。
皆がスゴイ心配そうな表情だ。
心肺の話だけに。
「おい、魔道士どうした。」
「こまった。この女の心臓はデカイ、でかすぎる。」
テーブルに置いてあった紙と羽ペンで絵を書く。
「現状この女の心臓は通常よりかなり大きく鈍重になっている。血を送り出す能力が下がっている。その上一部が死に掛けている。」
皆、びっくりしている、
「どうやって治療するんだ?」
食い下がる女従者。
「心臓を取り出して切り刻んで小さくするか。心臓を取り替えるかしか方法が無い。」
「しんぞうをとりかえる…。どうやって?」
叫ぶ女従者。そんなん知るかよ。
「お待ちなさい。ソレは禁術なのでは?」
御夫人が震える声でたずねる。
「禁術かどうかは俺はしらない。この女の治療方法だけを話している。」
「できるのですか?」
老メイドが酷く冷たい声で質問する。
部屋の空気が変わった。一呼吸おいて突き放す。
「やったことは無い。件の町娘よりよっぽど難しい。」
「そんな、馬鹿な…。この者はウソを言っているのでは?」
女従者が声を荒げる。
「まあ、すぐ死ぬ訳ではない、胸が苦しい時は気をつけて対処しろ。心臓が悲鳴を上げている証拠だ。」
「いくらで治るのですか?」
貴族母の声も冷たい。
「「奥様!!」」
老メイド&女従者が叫ぶ。
「金貨500に道具をそろえろ。コチラも準備がある。あと。お前はこの女の母か?」
「はいそうです。」
「いざと言う時の為に女の心臓の複製を作る。服を脱げ、胸を出せ。」
「なっ!!」
老メイドが絶句している。
「解かりました。」
服を脱ぐ母親。おおう、年増だが色っぽくて股間にぐっとくる。
この世界の女は皆おもいっきりが良すぎるな。
収納から粘土を取り出す。
胸に右手をあててサーチ。左手に粘土で模型を作る。
うん、よいできだ。
娘の胸に手を当てサーチ。かなりデカイ模型ができる。
両方を見せ説明する、正常な心臓と異常な心臓だ。
酷く驚いている。
魔法で模型をしまいながら。
「用意して欲しいものが在る。蒸留酒の原酒(樽に詰める前)がワイン瓶5本必要だ。詰める前に瓶は清水で鍋に茹でておけ。」
老メイドが紙にメモっている。
「後はガーゼと無色絹糸一巻きづつ、深皿20枚。寸胴スープ鍋3、携帯釜が5、浅鍋が3全て新品だ。よく煮て洗っておけ。」
「はい。わかりました。」
「あとカメに清水を三つ。」
う~ん後は何が居るかな?コチラで手術道具とクリップ、縫合針は用意しよう。
「うん、五日後までに用意をしろ。本屋の前で落ち合おう。俺も準備がある。」




