171.野蛮の庭
オットー狩猟姿で裏庭に立つ。(本気モード)
しかし、猟果は望めないのでテンションはダダ下がりだ。
まあ、良い、消灯までの間ダケだ、待つのには熟れた。
ネットに偽装して、呼吸を浅く待つ。
虫が鳴く音に耳を傾ける。
遠くで寮の中の人のざわめきを聞き取る。
暗闇で音を効き分けるには重要な準備だ。
しばらく待つと人が歩いているのが聞き取れる。
物音では鎧と剣を持っている。足音二名だ。
「歩哨なんて要るんですか?」
「さあなあ、上からの指示だからな。ここ最近人影を見た者が多いらしい。安全の為だ。」
「どうせ、ガキ共が暗闇でイチャコラしてるだけですよ。」
「まあ、そんなモノなら良いんだ。ソレを報告してソレで終わりだ。」
ガーズの兵が二名、歩き去って行った。
コチラには気が付いていない様子だ。
騒ぎになったから巡回に来たのか…。ご苦労様だな。
その後。数組、いや、一個分隊程度が巡回しているらしい。
恐らく一個小隊が交代で寝ずの番だな。
GUIに光点が浮かぶ。
ツーマン・セルでお互い離れ過ぎず近すぎず。
うん、よく訓練された兵達だ。
まあ、よい、この暗闇だ。消灯したら闇に紛れて部屋に戻ろう。
ポーンを使っても良いだろう。
動かず気配を消し兵をやり過ごす。
目の前を通り過ぎる。
心臓に悪い。
あの世界にはダンボールと言う万能偽装道具が有るらしい。
ソレが有れば…。止めようチート異世界の手に入らない魔法道具など…。
GUIに光点が現れた。塀の向うで単独だ。
塀を登り始める。
侵入者か?運が悪いな。
コチラに巡回の兵が歩いてくる。
未だ気がついてないが…。
タイミング良く出くわしそうだ。
塀の上に立つシルエット。
メイド服に犬耳&尻尾。
くっそ!ブランだ!!
何で塀を登って来るんだ!
玄関に回れよ!!
全裸でないのに安心したが。
兵に見つかるのは時間の問題だ。
「ぐっ!」「がっ。」
通り過ぎた兵を後ろから音も無く制圧して無力化する。
「え?ご主人?こんな所で何をなさっているのです?」
「ソレは、俺の…。イカン。話は後だ。隠れろブラン。」
さらに二つの光点がコチラに向って来る。
倒した兵を隠す暇が無い。
青い布を被せ覆い隠す。
見つかるのは時間の問題だ。
手早く木の陰に隠れる。
足音を聞き距離を測る。
「うん?何だ?コレは…。」
気が付いたらしい。
「どうした?」
「!」(ティン)
「これは!!」
素早く走り二人沈める。
「ふう。」
肝が冷える。
「ご主人、面白い遊びですね?」
パタパタと尻尾を振るブラン。
コイツのせいで要らぬ大仕事だ…。
「何故来た?ブラン?」
「はい、この服を着て来れば良いと聞きましたので来ました。」
思わずコメカミを揉む。
しまった。メイド服を着て日の出ている間に玄関から入って来いと言うのを忘れていた。
「そうか…。困ったな、人は寝る時間だぞ?」
「はい。ですので寝に来ました。」(パタパタ)
うわ~い、メイドさんずに何て言い訳しようか?
「誰か居るのか?」
「なんだ?」
「いや、話声が…。」
タイミングが悪い。
「!」(ティン)
「!」(ティン)
「ぐっ」
「だれ…。ヵ」
素早く又、二人沈める。
何か増えたな…。
引きずりながら集める。
ココを早く離れる必要がある。
布を回収して痕跡を消す。
「おい、交代の…。ゲッフ」
「何…。ブァッ」
主に足跡だ。
「休憩の…。Q~」
「飯の準備が…。ビィ~ヤッうまE~」
くっ!運が良すぎるだろ!!
寮の廊下の明かりが消えた。
くっそ!!隠蔽工作が終わってない!!
足元には気絶した兵隊が並んでいる。
「ご主人、楽しいですね。」
「ブラン。歩き廻るな消す足跡が増える。」
「はい!、ご主人。」(パタパタ)
楽しくないぞ?ブランは楽しそうだ。
すっかり遊びだと思っている。
GUIの光点が数個固まって接近してくる。
寮の壁が赤く照らされ揺らめいている。
松明の灯りだ。流石にバレた!!(足元には10人の兵)
「ブラン下がっていろ。」
「ハイ!ご主人。」
松明に1Mpaの窒素弾を当て消し。
暗闇の中で兵隊を無力化して部屋にポーンで戻った。
痕跡は全て消した、目撃者はダレも居ない。
(´・ω・`)「なにしてるんだい?オットー?」
(#◎皿◎´)「せいよくをもてあます…。」




