153.魔石と魔道具1
ミソッカス共と別れ図書室に向かう。
ドアを開けると司書ちゃんの笑顔で迎えられる。
「こんにちはオットー君。」
「エレノアさん、道具が出来たので付き合ってください。」
「ぶー。」
え?何を間違えたのか?
「司書ちゃん?」
「ぶぶ~。」
「え、エレノア?」
「はい、なんでしょう?」
微笑む司書ちゃん。
「では、今日は二種類の道具の実験を行ないたいのですが。ココでは場所が悪いのでご一緒に…。」
手を差し伸べると笑顔で手を取るエレノア。
腕を組みエスコートする俺。
おう、しっかりエスコート出来てる!!
第一訓練場に向かう。
生徒が集合している。
教授がやって来た。
「教授、申し訳ありませんが向こうで実験を行ないたいのですが…。」
「解かった生徒オットー、私が危険と判断した場合は中止する。指示に従うように…。そちらの方は?」
「今回、実験のけ、いや、協力して頂ける方です。」
いかんな、思わず正直に検体って言ってしまう所だった。
「図書室司書のエレノアです。」
頭を下げる司書ちゃん。
「大丈夫なのか?生徒オットー。」
何故か不信な目を俺に向ける教授。
「はい、レポートの為の大事な実験です。」
「そうか、生徒オットー必ず私の視界の中に居ること。」
「はい。了解しました。」
なるほど流石教授だ、事故を防ぐ為の心構えが出来ている。
離れた所で実験を行なう。
先ずは検体の不安を取り去る所から始まる。
「エレノア、コレは先ず装着者の魔力パターンを蓄え魔力を供給する魔道具だ、残念ながらあまり多くを蓄えるコトは出来ない。又、魔力の供給者は対象者のパターンを熟知していないと上手く動作しません。」
「オットー君。解かりません。」
手を上げて質問する司書ちゃん。
「エレノアに合わせた魔力を蓄え供給する装置ですが。魔法使いがエレノアに合わせないと魔力を蓄えられません。」
「はい、解かりました~♪」
散々電池役の魔法使いから魔力をもらっているので理解が早い司書ちゃん。
取り出した鉢がねを見せる。
「頭部に装着します。後ろで布を結んで下さい。金属部が前です、石の部分が額の中心になるように装着します。」
「はい。」
両手を使い頭の後ろで結ぶ司書ちゃん。
うん、脇の角度が良い。ペロペロしたい。
「装着しました~♪」
「はいでは魔力を充填します。」
手をかざして司書ちゃんパターンを送る。
うん、問題は無い。
「充填完了しました。目の前の目標に向かって。ウォーターボールを打って下さい。」
「え?はい。”ウォーターボール”」
目の前30m先の鉄柱にウォーターボールが飛ぶ。
うむ、構成の一部に問題が在ったが形になるレベルだ。
目標に命中して飛沫が飛び散る。
「おめでとうございます。上出来です。」
拍手で迎える。
「へ、あの、今。魔法が…。」
「はい。次は威力のテストです。同じものをお願いします。」
「はい、では…。”ウォーターボール”」
測定するが、やはり、4発目で発動しなかった。
司書ちゃんは水属性なので、効率が良い状態で三擦り半だ。
但し、三回目はかなり無駄が無くなったので次は四発は出せるだろう。
火なら一回出れば良い方だろう…。
効率を考えるならもっと良い方法を…。
「う~ん!う~ん!!」
司書ちゃんが魔力切れを圧して踏ん張っている。顔が真っ赤だ。
まあ、良いだろう。(表情CGゲット!!)
がんばり入道の司書ちゃんの肩に手を置きパターンで充填する。
途端に構成が発現して水の弾が飛ぶ。
反応は悪く無い。
魔力変換が必要ないので通常の魔法使いより構成を組むのが早い。
「はい、では魔力を完全充填します。」
手をかざして司書ちゃんにデブ注入を送る。満タンだ。
「は~い」
「では次はファイヤーボールをお願いします。」
「は、はい。”ファイヤーボール”!!」
やはり構成に怪しいところが有る、かなり大量に魔力を使った様子だ。
しかし、ファイヤーボールは完成して目標に当たる。
まあ、一応合格だが教授なら不合格だろう。
「おめでとうございます。」
拍手で誉める。
「やった!凄い!!」
飛び跳ね喜ぶ司書ちゃん…。ううっ凄い揺れてる。
目蓋の裏にしっかりと焼き付ける。
澄ました顔を意識して結果を紙に記録する。
恐らく問題は無いだろう。
容量を増やせば魔法使いの魔力補助装置として使えるだろう、魔石が勿体ないが。
もっと大きな魔石が在れば…。




