150.錬金
朝、イネスとフランがお互いの身体を笑顔で拭き合っている。
二人でキャッキャウフフだ、仲間外れの俺は少し寂しい。
メイドさんずは無言でシーツと寝巻きを片付けている。
おう、メイドさんずの目が冷たいです。
身なりを整えたフラン先生とイネス教授は御手々繋いで帰って行くのをドアから見送る。
隠蔽魔法を使っているので見えないが。
片眼鏡を通す姿では微笑み合っている。
少々遅れたが中庭に向かう。
ミソッカス共が準備運動を初めているで、急いで準備を整えそのまま鍛練に入る。(主にアレックスをボコる。)
ちっアレックス、俺の動きに対応するように成って来やがった。
強化ヒールを掛けて解散。
部屋でに戻り着替えて。
食堂で朝食を食べ。
学校をサボる。
と言う訳で。
寮の作業場に来た。
司書ちゃん向けの試作補助具と対司書ちゃんタイプの補助具を作るのが目的だ。
なに。設計図はもう既に出来ている。
だが、先ずその前に…。
収納から荒ぶる銅を取り出す。
「くっくっくっ銅、料理してくれよう。」(グビグビ)
石畳に置かれた60cm四方の金属の山。
サーチ結果
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道具:荒銅
効果:劣化銅(銅:91.1%鉛:2.6%銀:2.3%白金:1.8%金:1.6%その他:0.6%)
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さて、分離すべき物が有るが、無くなると困るモノも在る。
電気配線に使うのなら少し鉛が混じっていた方が良い。
装身具に使うなら錫の合金が良いが手持ちの錫は少ない。
「錫を手に入れるか…。大人しく黄銅買った方が早いな。」
まあ良いだろう。
用途を見失ってはいけない。
コレは銅版印刷の地金なんだ。
黄鉄鉱で硫酸は作れる。
エッチングして版画を作るのだ。
でも1.5tも必要か?
どうせ次も発注してある。
銅が余るなら地金屋に売っても良いだろう。
ソレだと、まさかの金物屋が買うかも知れない。
いっその事、材料を支給で職人に作らせた方がよいか?
ソレだと自分で作った方が早くなる。
まあ、良いだろう、余った時に考えよう。
「銅だけ分かれて二つになれ!!、ぐっ!」
ごっそり魔力が減った。
鉄の精錬より辛い。(グビグビ)
60cm四方の赤い金属に形の歪な白金の金属。
手袋をして歪な金属をサーチ。
サーチ結果
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道具:ズク(インゴット)
効果:鉛合金(鉛:29.2%銀:25.8%白金:20.2%金:17.9%その他:6.8%)
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イイゾ~!!
さて流石に1.5トンの銅では使い道が無い。
「12Kgに分かれよ!!」
銅を切るだけなのであまり魔力が減らない。
形を成型するより魔力が減らないのが良い。
始めから切る大きさに形を作ればもっと楽かもしれない。
「はーい収納!!」
GUIには、
”銅 ×131”
”銅2.2kg”
と出た。問題ない。
ズクから金を取り出そう。
いやいや、焦るなおれ、未だ順番がある。
大きなモノから取って行った方が後々楽だ。(グビグビ)
「鉛だけ分かれて二つになれ!!」
今回は形をイメージしたので歪な形状には成らなかった。
魔力に余裕がある。どうせ後々加工するので同じだが。
鉛の塊が出てきた。
16cm四方ぐらいだ。
持ち上げようとして…ぐっ重いな。
小さいのに何キロなんだ?
収納する。
”鉛44.9kg”
おお、すばらしい重さだ、体を鍛えるのに丁度良い。
ダンベルでも作るか?
そして銀だ。
まだまだ行くぞ。
「銀だけ分かれて二つになれ!!」
おお、銀が分かれた!!
鉛と同じような形だが銀の光沢がある。
すばらしいぞ!!
それより残りの塊がどんどん金塊へと色が近づいているのに気を取られる。
汚れると困るので、しまっちゃう
”銀39.7kg”
次は白金だ。正直使い道が無い。
あの世界ではイロイロな用途で使えるらしいが。
この世界では精々綺麗な金属だ。
しいて言えば坩堝ぐらいしか使い道はない。
何故かゴーストが”勿体ないだろ。”と騒ぐ。
「白金だけ分かれて二つになれ!!」
はい、白金です。
何か魔力の通りが良かった。
しまっちゃう~。
”白金31.1kg”
そしてみんなのお待ち金の。
金です。ゴールド!!
この塊から分けるのか…。
随分と小さくなった金属の塊。
コレでも金色だ。
このまま使っても良いような気がするが…。
(王国金貨には混ぜ物が入っている。)
まあ良いだろう。
目指せ純金!!
「金よ別れよ!!」
はい、金です。
ここまで長かった!(グビグビ)
「何か随分と小さくなったな…。」
10cm四方より一寸大きい程度だ。
しかし、重い。しまっちゃお~。
”金27.4kg”
残りモノをサーチする。
サーチ結果
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道具:ズク(インゴット)
効果:ニッケル-亜鉛合金(ニッケル:42.2%亜鉛:28.6%砒素:12.7%アンチモン:10.8%パラジウム;5.6%)
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手袋をした手で持ち上げる。
ずっしり来るが軽い。10cm四方も無い。
そう考えれば重いのかもしれない。
「白金、金より軽いからな。そのうち使い道が在るだろう。」
そのまま収納する。
”金属塊 10.6kg”
コレで全て無くなった。
製作に掛るか…。
12kgの銅のインゴットを取り出す。
「3に分かれよ。」
はい三等分です。
二つは収納する。
「板になれ!!」
板圧1mm500mm×900mmをイメージして板に加工する。
下書きして金切りバサミでカット。(寮の備品)
ヤスリがけしてバリを取り鏨と金槌で形と魔法陣を入れる。
魔石が入る穴、三つと石止めの爪を作りベルトを通す穴を加工する。
最後に曲げ加工。
取り合えず10個、同じものを作った。
ティアラ的なモノを目指したが。
魔法陣を書き込む為の面積を確保したら、鉢がねにしか見えない。
まあ、練習用だ。良いだろう。
どうやら魔法で加工すると焼きなました状態になるらしい。
軟銅状態だったので加工が楽だった。
加熱して水桶に入れ焼き入れ加工を行う。
メッキ加工がしたいが…。
色々材料も準備も足りない。
まあ、良いだろう。
魔石を穴に入れ爪を曲げ固定する。
青い布を切り、針と糸で縫う。
軍人に裁縫は必須スキルだ、ボタン付け、軍服の補修、階級章の取り付け、自分か戦友の怪我を縫う。
勿論、俺は全て出来る様に練習した。
筒に縫って裏返す。
平らに伸ばして鉢がねを糸で固定する。
完成した。
パターンの充填も問題ない。
ファイヤーボール4発分の魔力が充填できる。
もう一仕事しなければ行けない、時間があまり無いので急いで作る。
2.2kgの銅インゴットを取り出す。
大まかな形まで魔法で加工する。
下書きをしてエンチャントの魔法陣を鏨で彫る。
「コレは焼き入れしている時間は無いな。」
まあ、良いだろう。
魔石を固定する穴と爪を多めに取る。
後から追記できるスペースは確保してある。
何せ魔石12個も使用する司書ちゃん用魔力変換ベルトだ。
皮ベルトで作りたかったが間に合わないので銅版を布に固定するだけだ。
バックルも無い、背中で結ぶしかない。まあ、未だ試作だ。
かなり重たく大きく成ってしまった。
臍の丹田の上に付けるモノだ。
コレが完成した暁にはチャンピオンベルトの様な大きなベルトになる…。
何とか臍ピアスぐらいまで小さくならないか?
まあ良いだろう。
今は理論が正しいかを証明するのが先決だ、未だ試作評価品だ。
コレでデータを取って追々実用品を作れば良いだろう。
完成品を収納して作業場を片付け急いで学園に向かった。




