137.休日サロン
さて、ゴミ屋街を随分と歩き回ったため。
もう日が地に付きそうだ。
ココは一つポーンで帰ろう。
流石にイベントは起きないだろう。
ポーンで寮に帰る。
部屋の中は無人だ。
メイドさんずは雑務に付いているらしい。
さて、購入した戦利品を並べる。
全て材料ばかりだ。
コレから製品を作るのは至難の業だろう。
だが大丈夫、一個づつ作ろう。
問題は一つづつ解決だ。
食事の時間になり部屋を出て廊下を歩く。
並んでいる人が居ない。
イカンな。遅刻か?木札を裏返し席に付く。
食堂の中の席は随分と歯抜けの状態だった。
そうか…。未だ寮に戻っていない者が居るのか。
アレックスが未だ居ないな…。
マルコとフェレッポ、乳タイプ兄弟も目で合図を送ってくる。
お誕生日席のモミアゲロールパンに鬼畜メガネが目で合図を送っている、にこやかに述べる。
「今日は寂しいですが揃いましたね?では、始めましょう。」
合図でメイド達が動く、配膳が終わり食事開始のお祈りが始まる。
「では、豊穣の女神ディアナに感謝を。」
今日は焼いた白身魚にレモンソース。付け合せのカブの酢漬け。パンとレバームース。
葉物野菜のサラダに透明なドレッシングと粉チーズ、それに、オニオンスープ。小皿に果物が付いている。
少し酸味の強いレモンソースだがカブの酢漬けは甘めの味付けだ。
透明ドレッシングはハーブ味で粉チーズと良く合う。
果物はカットして皮をむいてある。なんだろ?柿だろうか?
食事が終わりマルコからサロン誘われた。
まあ、良いか。
サロンでお茶をする。
アレックスは帰ってきていない様子だ。
「オットー今日はドコ行ってきたの?」
フェレッポが訊ねてきた。
「王都の正門横で古道具屋が軒を並べている所がある。ソコへ行って来た。」
「何か有ったの?」
「ああ、そうだな。いや、とりあえず戦利品を見せよう。」
黄鉄鉱と蛍石、水晶を並べる。
「わー綺麗だね。」
目をキラッキラッさせてるフェルッポ。
何だ?フェルッポ、鉱物も好きなのか?
「オットーコレは金なのか?」
「水晶か?一体こんな物何に使うんだ?」
「オットーこんな物、買うの女ダケだぞ?」
「マルコ、コレは金ではない、鉄の混じり物が入った物だ。カール、水晶は意外と使い道が有る。ジョン。ちょっと耳を貸せ。」
「何だオットー?」
席から身を乗り出し耳を出してくるジョン。
小声でささやく。
『コレで猛毒が作れるんだ。』
「オットー…。お前は…。」
驚くジョン。
「大丈夫だ今回はその使い方はしない。まあ、そのうちビックリする物を見せてやる。ただし完成したらな。」
ジョンの俺を見る目が険しい。
「コノ石綺麗だね~。」
フェルッポが蛍石に食いついている。
「フェルッポ。数を買ったから一個ぐらいやるぞ?」
「わーい、ありがとうオットー。」
蛍石を持って喜ぶフェルッポ。
「弟よ…。オットー。コレは安全なんだろうな?」
マルコがテーブルに肘を着いてコメカミを揉んでいる。
何ソレ?俺が渡すモノは全部危険物扱い?
「ああ、問題ないマルコ。そのままでは、タダの綺麗な石だ。」
「そうか、本当なんだな?オットー。」
「もちろん」
何故かマルコに睨まれる。
「オットーコレは価値のある物なのか?」
カールが黄鉄鉱を手に取って眺めている。
「いや?全然?使い道は限定的だ。有ったとしてもそんなに量は要らない。」
中世ならな?
「なら何故買ってきたんだ?」
「綺麗だろ?」
これ、死んでるんだぜ?
「いや、綺麗だからと言って買うのは女だけだ…。」
カールが話すがジョンは無言だ。
「まあ、その他の使い道が有るんだ。コレから作る予定だが…。実験が必要だ。手伝ってくれ。」
「「「えー」」またソレだ。」
「おいおい、完成したらの話だ。完成するのには未だ時間が掛る。」
「何をするつもりだ?オットー?」
ジョンの声が冷たい。
「うーん。魔道具かな?」
首を捻る。進んだ科学は魔法と変らないが魔法を使って一気にブレイクスルーを起こしたい。
「魔道具?」
「作れるのか?オットー?」
「すごいじゃん。」
「大丈夫なんだな?オットー。」
「もちろんだ、但し完成するまでかなりオカシナ注文を付けるが理解してくれ。」
不振な視線を集めお茶会は終わった。
残ったクッキーを収納してサロンでミソッカスと解かれた。
部屋に戻ると未だメイドさんずは居ない。
「まだ、仕事が終わっていないのか?」
まあ、良いだろう。
少し、整理しよう。
椅子に腰を掛け考える。
と、ダァー☆がノックする音が部屋に響く。
おかしいな?来客の予定は無い。
GUIの光点は一人だ。
ミソッカス共でも無い。
腰のナイフに手を回し、慎重に声を掛ける。
「はい、どうぞ」
まだ、ドアの向うに居る様子だ。
返答は無いのでゆっくり開ける。
人は居ない。
いや、居ない筈は無い。
GUI光点は不動だ。
赤外線モードに切り替える。
背の高い尖った耳のシルエットで女性。
彼女しか居ない。
「イネス教授。何か御用ですか?」
イキナリ何も無い虚空に姿を表したエロフ。
「来ちゃった…。」
乾いた笑みを浮かべるエロフ。
オイ、怖いな。




