135.石屋
石屋に向かう。
広い石置き場の小屋に向かう。
「失礼する。」
中にはあの日に焼けた逞しい身体の爺がいた。
「おめえは…。」
「岩について聞きたいコトがある。」
「おう、何だ?ボウス。」
何故か警戒されている。
「アシスで取れる岩のコトに付いて知りたい。」
「なんの為に?」
「実験だ。」
「なんだと?」
「どんな岩だ?白いのか?漆喰の材料か?そんな所だ。」
「アシスの岩の在庫は有るぜ。漆喰はなあ、確かに作っている。」
「そうか…。いいだろう。岩を見せてくれ。」
「まあ来な。見せてやる。」
石置き場を爺の先導で進む。
「コイツがアシスの石だ。」
白い岩がゴロゴロしているココだけ屋根が有って床が有る石畳だ。
サーチ結果
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道具:石灰岩
効果:結晶質石灰岩
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「随分とたくさん在るな。」
「ああ、コイツは磨くとぴかぴかになる、白い色も美しい。今は流行の石だ。白い物が好まれる。」
「なるほど…。コノ石の中に貝や渦巻き模様は無いのか?」
「いや、ソレはアシスの岩ではない。北部山脈の向うの岩だな。岩の模様に貝や花が入っているらしい。」
なるほど、コレは大理石か…。
「白い物の方が高いのか?」
「ああ、一番白いのは教会が独占して命の風呂桶に使われる。その時の破片はアシスの像に加工されて販売される。ウチにもあるがな。」
何故か威張る爺。
「命の風呂桶か…。教会に運ばれた物か?」
「ああ、もう何年前だったかな?俺も引いたぜ。アシスの像と風呂桶の載った車を。」
口元がほころぶ石屋の爺。
誇こらし気な笑みだ。
「アシスの像?」
「ああ、アシスの像が風呂桶に入っているんだ。あと、聖獣の像と、物語に出てくる動物の像。全てアシスの泉の底から取れる泥から作った粘土で出来てる。」
「アシスの泉か…。」
「美しい泉だ。白い大地に碧い水。いっぺんお前さんも行って見ると良い。こんなに美しい場所がコノ世界に在るのかと思うような場所だ。まあ、教会が管理してるからお祈りの日以外には簡単には入れないがな。」
「そうか、機会があれば行ってみよう。20年毎に替えるのだったな。」
「ああそうだ、その前のとき俺も引いたんだ、さらに前はガキだったからな。」
笑う爺。石屋のステータスらしい。
「替えた風呂桶はどうするんだ?」
「ああ。かなり変色しているが風呂桶としては使える。誰か貴族か金持ちが買っていく。俺がガキの時は風呂屋が買って店に置いたので皆、列を作って入りに行ったぜ。」
「アシスの像は?」
「ああ、そうだな…。溶けて無くなっていたな。」
「そうか…。」
「アシスの像は定期的に入れるらしいがな。」
「なに?」
「ああ、神官の話だ。時期は分からないが溶けて無くなるとアシスから運んで入れるらしい。そういう儀式が在ると聞いた。」
「なるほど」
コレは良い情報だ。聖水はカルシウム水溶液を沈殿させて作っているのか?
「岩の模様に貝や花が入っている石は置いてないのか?」
「ああ?アレは縁起が悪い。置いてない。話で聞いたダケだ。」
「そうか…。ではコノ石を買っていこう。」
木箱に詰まった拳大の白い石を示す。
「ソレは屑石だ、大銀貨一枚でどうだ?しかし、何に使うんだ?」
「文鎮を作る。あと…。蜀台でも作る。」
「まあ、ソレぐらいなら出来るだろう?それにしては数が多いが。」
「ああ、そうだな。残りは平らに削って床に敷き詰めて固定する。ドコか漆喰を売っている場所を知らないか?」
石屋の爺に漆喰屋を紹介してもらった。
案の定、石灰石を挽いて粉にしていた。
煙管が見える、窯もある様子だ。
封入された壷で銀貨1枚で買えるだけ買った。
壷込で12kgぐらいの物が5個買えた。
恐らく50kgは購入できただろう。
コレに藁灰と綿、油を入れて練ると漆喰に成るらしい。
割合も教えてもらった。
いいぞ。コイツで実験だ。
但し水溶液でな。




