127.時計とタイムカード
うーん測定器から作らないと…。レポートが書けない。
ソコラ辺から何とかしないとイケナイ。
何せメートル原器も何も無い異世界だ。機械時計すらない。
この世界は月が無い。恒星公転の一個内側の惑星を月と呼んでいる。(お陰でメテオストライクの弾には事欠かない。)
地軸は曲がっているがあの世界より緩い。大潮は無いだろう。(但し、王国に海は無いので解からない。)
磁石が地軸を向くかどうかすら不明だ。(オーロラの記述が有ったので。恐らくバンアレン帯はあるハズだ。火山と温泉の話は有るので、マントル対流はしていると思われる。)
困った。何せ小氷河期の様な気候だ。太陽高度から亜熱帯のハズだが亜寒帯に近い。夏でも薄いコートで過ごせる。
農業国では悪夢の様な場所であろう。
しかも帝国士官で在った筈のベスタへの聞き取り調査では、この惑星が丸いコトすら認識されていない。
南方の大湖のあたりは温帯の様だ。(オリーブ油の産地が殆ど南方の湖周辺だ、大湖は水深が深いのかもしれない。)
何となく体感では地球より変わり無い様に思える。
まさかホントに平面MAPじゃないだろうな?
無論測定はしていない。
俺はこの世界をドレだけ知っているのだろう?
授業が終わり。ミソッカス共が集る。
帰りがけに思わずロビンを無意識で捕まえてしまった。
いかんな、鐘の音を聞くと条件反射でついやってしまう。
ロビンには寮のMr・Rへの手紙を渡した。
”今夜、来客1名と配下の者、部屋で通常食で夕食を取る。”
と言うような内容だ。ロビンに大銅貨一枚の小遣いを渡す。
始め”不要です。”と断ったが”任務だ”と言ったら受け取った。
俺はこの世界でサービス残業は許さない。
授業の鐘は大きな鐘を鳴らす装置があり。毎日又は二、三日に一度太陽の位置で合わせているらしい。
曇りの日が続くと不正確になっていく。
嘗てのあの世界の規則正しい…。いや、止めよう。時計が在っても仕事が終わらなければ帰れない世界なぞ…。
”社長”が会社の営業時間が1日26時間だと勘違いしているなんて…。
タイムカードが…。どんなモノだったか思い出せない。記憶では手の中が真っ暗だ。
ただ、思い出さないほうが良いのかもしれない。俺の中の伊佐治が警告している。
ロリロリくっコロと校門前に集り。エールでGO!!だ。
警笛過剰で-1sec上等の世界だ。
時計が無いので雨が降ったら遅延証明を発行する事すら出来ないこのすばらしい世界に感謝。
ミソッカス共とロリロリくっコロ。大人数だ。店に入ると未だ席は空いていた。
カウンターで食べる者が多いらしい。
二つに分かれるかと思っていたら。補助机と椅子が出てきて全員一つのテーブルに座れた。
なるほど、なかなか便利だな。帝国式。
席に座り注文を終える。俺はC(羊肉)セット大盛りでパンマシマシだ。
「なあ、オットー。今日の授業の話だが。」
「なんだ?マルコ。」
「教授の話ではオットーの魔法は魔法ではないような口ぶりだな。」
何か随分とフニャっした質問だ。
こういう場合は質問者は意図してぼかしている場合がある。
もちろん意図していない場合もある。
「ふむん、おそらく、学園の魔法使いの定義では俺は魔法使いではないのかもしれない。きっと教授はそのコトを指摘している。」
「え?オットーは魔法使いでしょ?」
「ああ、フェルッポ”魔力をもって何かを成し遂げるもの”とした意味では魔法使いだ。が、学園で教える魔法で考えるなら俺は魔法使いではない。」
「えー。」
「おいおい、オットーあれだけやっておいてソレはないだろ?」
「ジョン。学園の教科書を読んだが正しい発音と正しい構成だ。俺は魔法は魔力制御とイメージが全てだ。」
「あの、壁を崩した無詠唱魔法か…。」
「アレックス、あれは苦労したな…。」
「後は…お前らはこの世の理さえ解かれば無詠唱でどんな魔法でも使える状態だ。」
「この世の理って…ソレこそ神だな…。」
神が居ればね…。
「オットーはこの世の理が解かるの?」
「イイカゲンな程度ならな?」
「「「えー」」なんてこったい」
ミソッカス共は呆れているロリロリくっコロは無言だ。
いや、コレから来る料理に心待ちにしているのだ。
まあ、無粋な話だな。
女中がエールを運んできた。
嬉しそうなロリとくっコロ。
そうだ、コレが俺の望む世界なんだ。
俺は俺の女達が微笑む瞬間を永遠に望む、ソレを成す為の魔力だ。
ゲームだからHAPPYENDが欲しいだろ?




