125.マーモット達。
さて、説明しよう初等魔法科は魔法の素質がある者、又は在野の魔法使いが素質のある者を探して紹介状を持たせ。
魔法学園の入学試験で、ある一定の素質が在ると認定された者が入学できる。
前者は親が魔法使いの場合だ。かなり高確率で遺伝する。
後者は、魔法使いが弟子を取って師匠が弟子に見聞を広める為に送り込むコトになる。
この場合、入学試験の成績によって上の魔法科又は各専門科への入学ができる。
基本魔法科は一年目は学費 (だけ)が無料だ。
ただし二年目の学費は100%実費だ、一般家庭では払えない。
チャンスは一回のみ。魔法使いになれば薔薇色人生が…。
始まるわけが無い。
初等科を出て、魔法使いになっても在野で銭を稼げるのは難しい。
冒険者の中で魔法使いは貴重だが、長距離偵察任務の様な物に耐えられる者しか要らない。
軍に進んでも軍団首脳部が魔法使いの特性を知り尽くしているとは到底思えない様な運用だ。
戦列歩兵並の消耗戦の歴史だ。
あの貸本屋の様な生き方が一番魔法使いとしては良い人生なのかも知れない。
例え、コピー本で儲けていても。
この目の前の少年少女達は、今まさにその1年を消費しつつ有る者達で。
要は来年度は”さようなら~♪”のギリギリ!仏知義理状態なのである。
その中の一人が”希代の魔法使い”(ぷっ)の指導を受けイキナリ合格くんである。
級友達は頭を下げるしかないだろう。
階級社会のこの世界で、魔法使いは冒険者に次いでの実力社会だ。
一発逆転ホームランも有る。
自然に家の力と希望も入る。
入学する為に親兄弟を奴隷に出したと言う生徒の話も噂で聞こえる。
恐らく、もし俺が教授で教壇上で。
『単位が欲しければオレのケツを舐めろ!!』
と叫んでも。
『全ての生徒がケツをなめる為に集結してます。教授!!今すぐケツを出してください!』
と言われるレベルだ…。
つまり。
悪目立ちしまくった…。
困った。
「あのオットー・フォン・ハイデッカー様。」
ダークエルフ君が訊ねてきた。
「何だ?少年。」
「僕は。いえ、僕達は魔法使いになるためにこの学園に来たんです。でも、魔法使いの何たるか?が解からず終わりつつ有ります。何とぞお助けを。」
カールを見る。
カールは何も言わないが、長男の性質か助けたいが”オレの責任では無い”の表情だ。
ジョンは”メンドウゴトハヤメロ”の視線だ、口まで動いている。
マルコからは”ヤメロ、ヤメロ”の視線のレーザービームが来ている。
アレックスとフェルッポは何も考えていない様子だ。
ロビンは…。どうでもイイや。
ロリロリは何故か怒られるのでは?と言う表情だ。何か初等科クラスでぶつかり合いが在ったのかもしれない。
「貴様等を魔法使いに仕立てて俺に何の得がある?」
「魔法使いとして身を立て世のため人のため。王国の民の平和を守る為、その方法を貴方に任せます。」
「配下に加わると言うことか?」
「クランの条約に従いクランの魔法使いとして従います。」
クランの条約なんて何か決めていたか?
「よろしい、貴様等を魔法使いにしてやる。ただし、数が多すぎる。効率を考えて教える、不条理を覚えるかもしれないが納得しろ。」
「「「はい!オットー・フォン・ハイデッカー様、忠誠を誓います!!」」」
よっし!ロビン兵ゲットだぜ!!
さて、マグが残り14個しかない。
数えたら44人だった。
とりあえず。4チームに分けて解散した。
来週から毎日入れ替わりで放課後図書室だ。
助手は居る。ミソッカス共だ。
マルコとジョンは随分と不平を言った、
「オットー、こんなに沢山、人を入れてどうするつもりだ?」
「そうだぞ。面倒ゴトが増えるぞ?」
「マルコ、ジョン、実際お前らは十分な魔法使いに育っている。これからは一対多の戦いに熟れなくては行けない。今は魔法の並列起動や複数起動の訓練を行なっているが、これからの鍛練を続けるには魔法使いが足りないのだ。」
「う、僕達だけじゃダメなのか?」
「そうだ、マルコ。もう皆の手の内は知り尽くしているはずだ。これからの戦場は多くの魔法使いと打ち合いになるだろう。色々なパターンに対応するには、魔法使いが多い方が良い。」
「そうか、オットー。お前に考えが在っての話なら仕方が無い。従うぞ。」
アレックスは女の子が居るので全然OKらしい。鼻の下が伸びるぐらいだ。
カールとフェルッポは文句を言っていたが。
「軍に入ったら部下を持つのは当たり前だ。指導する能力も軍人の評価のウチだ。」
と言ったらヤル気になった。
チョロイな、まあ、部下と上官は選べないのが世の常なんだが…。
「さて、今日は1人が両手にマグを持って魔力を廻せソレを4人で妨害だ。残りの1人は後ろで見て補助。魔力の受け渡しを行なえ。時間終了で順番に交代。」
タイマーゴーレムを机の上に置いてセット。ついでに低級ポーションを置く。
騒ぎ出すミソッカス共。ココまで出来ているんだから。単純な魔法構成は初見でコピーできるハズだ。
さて、ロリロリはもう次の段階に進んでいいと思うが、アレックスに触れさせる気は無い。
俺はロリロリ&司書ちゃんとキャッキャウフフの魔法練習だ。
司書ちゃんの魔力元としてしっかり手を握っている。
時々意地悪で魔力のパターンをずらして送るが何度かやったら、上手く合わせる様に成って来た。
「む~♪」と睨むのが可愛かったダケなんだ…。
そのお陰でロリロリ達に追いついてきた。恐ろしい子、司書ちゃん。
解散する時にミソッカス共&ロビン、マルカとエミリーに明日の半ドン放課後をエールに誘う。
何故かロビンは固辞した…。まあ、良いだろう家の用事らしい。
食べた後はミソッカス共はそれぞれ用事が有るらしい。
明日の午後からは一人で町に出よう。
マグと低級ポーションを大量に手に入れよう。
低級ポーションを作れるようにしないと追いつかないかもしれない。
マグは…。金物屋の親父に相談だな…。




