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110.奉公

娘が帰ってくるまでじっくり堪能すると。

流石に賢者モードだ。

イレーネの肌はツヤツヤしている。

「おう、トリーニア、帰って来たか。」

「え?オットー様、もうお戻りで。」

「そうだ、想いの他、早くカタが付いたので今戻ってきたところだ。」

にこやかに微笑みかける。

「そうですか…。」

不信な目を向ける娘。

「実はもうイレーネには話をしたんだが、この娘、ブランを預かって欲しい。この娘は今まで森で住んで居たのでイマイチ、人の常識が解かっていない。丁稚奉公として躾を頼む。」

「はあ?いいの?お母さん?」

「私は別に問題ありません。オットー様のお願いです。食費はオットー様が出してくれるそうです。」

「え?それなら良いけど。」

「ああ、このブランは大きな子供だと思って対応してくれ。しかって聞かない事が在ったら俺に報告しろ。対処する。頻繁には店に顔を出すつもりだ。」

「大丈夫ですよ。オットー様。娘が一人増えただけです。娘が行商に出ている間は寂しいですからね。」

「ご主人このメスは?」

「ああ、イレーネの娘、トリーニアだ。お前の姉だ。」

スンスン匂いを嗅ぐ狼娘。

「未だオボコですね。ご主人のメスではないのですか?」

「オボコで悪いか!!相手が居ないの!!」

顔を耳まで赤くして抗議する娘。

そんな事も匂いで解かるのか?

「まあ、ケンカしないで仲良くするのだ。俺の所有物だ。あまり俺の恥をかかせるような真似は控えてくれ。」

「「はい」」

イレーネとブランが返事をする。

健気なイレーネの目に何故か賢者モードが終わってしまう。

ああ、もう一回…。

まあ、ブランの様子を見に来なければ行けないのだ、今度娘が出かけているときにでも…。


イレーネにブランを預け店を出ると。

まだ、寮に戻るには早いな…。

ドコに行こうか…。

銅地金が…。

地金屋で銅は見たこと無いな。

困った時は金物屋へ向かう。

「おやまた学生さんかい?今忙しいから暇な時に来てくれ。」

相変わらず暇そうなヒゲガリ親父が火の付いていないパイプを銜えている。

「すまんな、銅板を売っている店を探している。」

「銅板?そんな物、何に使うんだい?」

「ああ、銅瓦用の板とか、銅線等が工作に必要だ。」

「学生さん銅細工職人でもやるつもりかい?」

「ソコまで高度なコトはしない。ただ、加工用の材料として銅瓦用の板と軟銅の長い針金が欲しい。」

「銅瓦用の板は解かるけど…。軟銅の長い針金ってヤツは聞いたコトが無いね…。」

なるほど、軟銅線が沢山作られる様に成ったのは電気が実用化されてからだ。

「ボートを作ったりする時に使うハズだ。あと…。特に思いつかないな。」

「ボートねえ、南の大湖周辺なら作ってるけど…。ココラでは聞かないね。」

「そうか、うん、他に魔力を通しやすい材質は無いか?」

「うーん、ミスリルとか、アダマンタイトとか言うけどあくまで伝説だからねえ…。見た人居ないし…。」

そうか…。銅線は無いのか?発破導線に使うつもりだった。導火線の様に…。

導火線?

導火線は黒色火薬を紙で紙縒りにした物だ。

それなら普通にタコ糸をマジックインクに漬けて乾かせばいいんじゃね?

「よし解かった。針金の件は忘れてくれ。銅板が欲しい。手に入れるにはどうすれば良いか?」

「ああ、やっと来たね、ウチは金物屋だよ、取り寄せならできるよ。」

「そうか、では金貨5枚でドレだけ手に入る?」

「5枚!?い、いや大きさと厚さを指定してくれないと…。」

「うーん。」

エッチングできるなら厚い方が良い。

しかし、枚数も欲しい。

「店主。普通の銅瓦だとドレぐらいの厚さだ?」

「ああ、悪いね、学生さん、瓦は知らないが、鍋の厚さは大体はこの四種類なんだ。」

いくつかカウンターに載せる。

薄い銅マグカップと銅のケトル、銅の鍋、銅のフライパン。

たぶん、0.5mm、1.2mm、2.2mm、3.2mmの順番だ。

「重さでは厚い方が高いのか?」

「いや、薄いほうが難しいから高いね…。板だけの話だよ。」

「悩むな…。一番安い銅板の大きさは?」

「は?」

「いや、在るだろう?製造上一番手間が掛からなくて安い大きさだ。」

「あ、ああ、今だと…。聞いてみないと解からないね。」

「よし解かった、店主、金貨5枚を渡す。コレで揃えられる銅板で総重量が一番重いのを揃えてくれ。」

「おい、学生さん、ソレだとインゴットになっちまうよ?」

「ソレでも良い。しかし、鉛や鉄の混ぜ物は困る。」

金貨5枚をカウンターに置く。

「良いけど…。基本は少しは混ぜ物が入るのが銅だからね?」

「ああ、そうだったな。解かっている。だが、入れすぎは良くないのだ。」

「う~ん、ではコレで出来うるだけ揃えよう。形はどうでも良いんだね?」

「ああ、コチラで加工するので問題ない。もし足が出たら追い金は払う。」

「そうかい、すまないね。でも、コレで十分だと思うよ。」

「では頼む。ああ、そうだな。あとは、ケダモノの毛皮を買い取ってくれる店を知っているか?剥ぎ取って’なめす’ほうの店だ。」

「さあ?冒険者に聞いた方が早いんじゃないのかねえ?たしか、北門を出た所に冒険者ギルドの指定革加工商の店が有ったはずだ。何て店だったかなあ…。大きい所だから北門で聞けば解かるハズだ。」

火の付いていないパイプを右手に持ってコメカミを揉む店主。

記憶の何処かから情報を搾り出している。

ソレだけでOKだヒントにはなる。

よっし!情報ゲット!!


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