10.はぢめてのおつかい(その3)
金貨9枚では少し足りないので路地から大通りを観察する。
通りを歩く人をステータスで持ち物を確認する。
なかなか銭持ってるヤツはいないな、お、あいつ金貨一枚持ってるな。
足を引きずりながら歩くハゲ大男、頬に刀傷がある、右の中指が無い。
後を付けて人気の無い路地裏へ向かっている。
イキナリ振向いたハゲ男が叫ぶ。
「おい!ドコのドイツだ!!俺に何の用だ!!」
流石だなこちらの尾行に気が付いたらしい。
「押し売りだ。おめえの懐は暖かそうだな?」
「ざけんな!!」
ハゲ男が剣を抜き切りかかる。
ふっ遅いな。機動を見抜き腕を抑え1本背負いその後、組伏せる。
「おま!何モンだ!!この、赤銅のモンテと知ってのコトか。」
締め上げた腕に力をかける。苦しそうにうめくハゲ男。
「しらんな、俺は押し売りだ!お前の懐の物を出すのにふさわしいモノを売りつけてやる。受け取れ!!」
はいはい、ヒール、ヒール。
サーチして患部をヒール。欠損したところも元どうり。
あ、神経の圧迫箇所も治しておくか。
顔の傷はそのままでよろしいですね~もうこれ以上は顔も頭も良くなりませんよ~。
ハイ完了~♪痛いところはございませんか~?拘束を開放して。押し出す。
地面に這い蹲るハゲ男。
「おめえ!!」
苦しそうに答えるハゲ。
「ほら、たてどうだ。俺の商品は!!懐の銭を出せ!!」
「まて!!おめえは何モンだ!!」
「ソレは、お前に関係有るか?知ったらツキが墜ちても知らんぞ。」
「ぐ!!(こんなことが出来るヤツはそう居ねえ!!スゴイやばいヤツだ、俺を殺そうとすれば何時でも出来るヤツだ!)」
独り言もデカイ、ハゲ大男。
「さあ、懐の銭を置いて立ち去れ。それとも」
電気魔法で気絶するかな?両手に電位差を作ってアーク放電を作る。
「ま!まて!!まって下さい!!この銭は俺の金であって俺の金で無い!!払いがあるんだ!!」
「なんだと!!」
クッソ!コイツ外れか!!
「ご高名な魔道士様とお見受けされるが!唯今暫く!!お支払いのご猶予を!!」
ヒザを付いて土下座するハゲ、頭がアーク光を受け光っている。
「ふん!!仕方ない。今回の商談は無しだ!!」
電撃を足元に打ち込み地面が直径30cmぐらいアーク放電で焼ける。
「ひいいい!!」
泣き崩れるオッサンを尻目に。灰色のモッズコートと言うかパーカーを翻して立ち去ろうとする。
後ろで「ゆ、ゆびが元に!!あ!お待ち下さい!!魔道士様!!お願いが!!腕を見込んでのお願いが!!」
なんだ!五月蝿いな。
獄卒が来るだろ?親父の耳に入るとイロイロ面倒なんだよ!!
立ち止まると赤銅君が道を塞いで土下座してきた。
「おま!!」
「金が必要なら払える患者を知っています!!おねがいします。話を聞いて下さい!!」
そうか、コイツの治療費も金払いの良い患者に払わせれば良いか。
「ほほう、たんまり払える客なんだな?」
「はい、脚を悪くしています。俺の足が直せるのですから簡単です。」
「案内しろ。」




