104.走る男
村の外周を一周して安全を確認すると村の閉ざされた門の前で叫ぶ。
「俺は冒険者のオットーだ!護衛任務でこの村に来た。門を開けろ!!」
「ウルセー!!人語喋るな!!このオーク!!」
矢が飛んでくるがメガ粒子砲で消し飛ばす。
空に登るメガ粒子砲の軌跡。
何故か黙る村人。
「俺はオットーだ!!無駄な抵抗は止め大人しく門を開放しろ。我が法に従い命だけは助けてやる。先に従った者は良い待遇で迎えてや「マーチスさん!!ラーニャです、この方は冒険者の魔法使いで王立魔法学園で一番凶暴な魔道士様です!!」…おい!!凶暴ってなんや!!」
思わず口に出してしまった。
こういうことは心に閉まって置く事が良いのだが。
後で覚えていろよ?
…そういえばさっき俺が言ったのは砦への降伏勧告の例文だったな?
「ラーニャちゃん!!何でそんな恐ろしい人と、何かされてない?大丈夫?脅されてない?変な壷買わされてない?契約書にサインしてない?」
太ったオバサンが村の物見櫓から叫んでいる。
俺はいったい何に見えるんだ?
「はい!大丈夫です!!時々エロイ目で見られますがヘタレなのか手は出してきません。でも口元が時々エロイです!!」
「だめよ!!ラーニャちゃん!そんな男に心を許したら!!」
「おい!!こら!!お前ら!!俺の任務はこの娘をココに届けて帰るだけだ!!早くしろ!!強行突破されたいのか!!」
おかしな方に話が行きそうなので警告する。
俺はそんなにエロく無い!!(主人公の個人的な主観です。)
俺は何故か村の兵に警戒されている。
「おい!!ギルドの派遣者は居るか!?俺の任務の認定を申請する。」
「申し訳ありません、この村にギルドの派遣員は居ません、村長が対応します。」
ウサギが喋る。
「そうか、娘。解かった。おい!!門を開けろ!!村長をだせ!書類にサインしろ!!」
”ほらやっぱり変な契約書を!”
太ったおばさんが何か言っているが無視する。
通用門が開き村の中に入るとウサギを下ろす。
待っている家族に掛け走るウサギ、恐らくうさみみっ娘の家族だろう全員うさみみだ。オッサンまで。
娘が何かを話している。
たぶん父親であろう、ガチムチうさみみオッサンがコチラに歩いて来た。
「娘を送っていただきありがとうございます。村長のランダーです。」
手を差し出したので握手する。
「冒険者のオットーだ、学園の魔法使いでもある。まあ、送り届け帰るまでが仕事だ、ギルド書類に途中確認サインを頼む。あと、何処かでグッスリ眠れる場所を用意してくれ。流石に疲れた。」
「はい、用意させます。」
「ああ、村の外に転がっている狼は自由に使ってよい、だが魔石が在ったら俺の所有物とさせてもらう。正直この依頼は大赤字だ。」
「はい、ありがとうございます。必ずお渡しします。」
案内されたのは納屋の麦藁の山だった。
貴族が寝るベッドではない。
まあいいだろう俺は今は冒険者だ。
腹も減ったが、なんにしても眠い。
クリーンの魔法を自分に掛け、毛布を取り出して藁に仰向けになった。
そのまま睡魔に体をゆだねる。




