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101.強襲

村に近づくと炎の影から大きな人型が見えた。

たぶんオーガの襲撃だな。

解かり易い背中にリングの光を打ち込む。

いや、面倒なので光源の魔法とリングを組合わせて使っている。

黄色いリングが青白くなって制限時間が無くなった。

しかし魔力は倍以上で燃費が悪い。

だが強力だ。

三体目が倒れるとコチラに気が付いた様子だ。

しかし、奇襲には成功した。

オーガの集団は村の防衛網を突破したらしい。

乱戦と殺戮のパーティー中だ。

メガ粒子でカタが付きそうだが、射点が悪い、後ろの村が炭になりそうだ。

生きているオーガが棍棒を振り上げ俺に突進する、ドコを狙うかためらう。

頭を潰しても手足は動く。

背筋を動かすなら腰の上の脊椎だ。

魔力は真空チューブを腹に合わせポケットの小石取り出し飛ばす。

音速越えの小石は背骨と背筋を吹き飛ばす。

まるで糸の切れたように倒れるオーガ。

「ヒッ!!」

叫ぶ娘の声に反応するオーガたち。

やっぱり戦場で女の声は良く通るね。

視界のオーガたちの目が全てコチラに向いた。

よっしゃ!!ロックオン!!

頭上のリングが全てのオーガを焼き尽くす。


焼き切られたオーガたちは死んでいなかった。

どうやら光線は傷口を炭化させ出血を防いだらしい。

上下に分かれて内臓を引きずるオーガたち。

おう、なんだ?このコアブロックSYSTEM。

足は飾りか?

足が無いが苦悶の雄叫びを上げる亜人たち。

小石で動けない頭を一つずつ穴を開けていく。

村人が俺に気が付いた。

「な!!なんだ!!オークか!!オークウィザード!!」

「おい!!俺は人間だ!!」

「オークが喋った!!」「ウソだ!!そんな人間が!!」

おいヒドイな、確かにゲームのオットーは影でチビオークと言われていたが面と向かって言われるとけっこう傷つく。

「俺は冒険者のオットー。魔法使いだ。依頼者の要望でこの村の助太刀に来た。俺は癒しの魔法が使える。ケガ人は並べ!!」

「え。そんな、」

「ばかな…。」

話にならん下民共。

コイツ等全員首を跳ねようか?

「あの、サンフェ村のラーニャですこの方はスゴイ魔道士様です。」

「ああ、ラーニャちゃん。どうしてココに?」

「無事だったのかい?サンフェ村へは連絡が取れないんだ。」

「あの、私は王都で救援の手紙を受けて村に帰る所なんです。この方は王立魔法学園でも恐ろしい魔道士様なんです。」

は?恐ろしいって何?

「え~そんな御偉いヒトが何でこんな所に?」

「え、えっと。」

「おい、お前ら!!俺はこの娘の依頼を受けてサンフェ村へ向かっている、時間が無い。ケガ人を集めろ。砦を固めろ!!責任者を呼んで来い!!」

魔力を乗せ叫ぶ。

蜘蛛の子を散らすように走る村人達。

白い髭を蓄えた細身の爺さんが出てきた。

「この村の村長です。」

「よし、村長、防衛線の構築を行なう、資材が必要だ、瓦礫を片付けろ、要らない建物を壊して砦の補修に使え。」

「あの、魔道士様、ソレは不可能です。」

「そうか、では死ぬだけだ。我々はこのまま先に向かう。オーガは倒したがそのお零れを狙う狼やゴブリンがやってくるぞ!」

「そ、そんな。もう一度襲われたらこの村は全滅です。隣の村は壊滅しました。恐らくその先のサンフェ村も…。」

「確認したのか!!」

胸倉を掴んで引き上げる。

足が浮いている爺。

「い、いいえ。」

「非常事態時に憶測や妄想を話すな!!デマを生んで動揺が広がるだけだ!!おい!!防衛責任者!!居るか!!」

「はい、自警団の団長のダモンです。」

爺を下ろす。

30半ばぐらいのガッチリした男が手を上げる。

腰に剣を差していて古いが皮の胴鎧をつけている。

「よし!お前に命じる!ケガ人を集めろ!!動ける者は使える武器を拾え。鎌、包丁なんでも良い。持ってこい!!」

娘も下ろして手伝わせる。

「綺麗な水を持ってこい!!飲み水だ!!」

ケガ人が広場に集められる。

かなりの数だ。

柄杓と瓶に水が入ったモノが二つ集まった。

瓶の中の水を沸騰させて熱を奪う。

「傷口をこの水で洗い流せ!!」

重傷者が集められた区画に行く。

急いでサーチ。

一人ずつ確認していく。

「おい、コイツはもうダメだ!!死んでる。」

「コイツはかすり傷だ!!この低級ポーション飲ませておけ。」

「コイツは頭を打っている。二、三日は作業させるな。」

「コイツは骨折だ!体を押さえろ!手を引っ張れ!!」

「いてえ!いてえ!!」

「動くな!!腕が曲がったまま戻らなくなるぞ!!」

ヒールを掛けて治していく。

二十人ほどケガから復帰して戦力になった。

よし!!これならたて直しできるだろう。

「破壊された塀を確認する。団長付いて来い!!」

「は、ハイ!!」

村の外周の柵を見回る。

狼やゴブリンには対応できるがオークやオーガには無力だろう。

途中死んだオーガを格納する。

オーガは顔色悪いでかいガミ○ス人の様な外見だ。

破壊された柵や穴の開口部を歩幅で計る。

不自然な点を団長に質問する。

なるほど何とか穴埋めは出来そうだな。

後は資材と相談だ。

幸い、冬の焚付けようの垂木がかなりの数が在る。

地面に打ち込むには時間が掛る。

馬房柵を作って現地に据付けるか…。

「よし、広場で馬防柵を組み立て現地に据付ける。人を呼べ。ロープと垂木を集めろ!!。」

「ば?ばぼうさく?」

「ああ、拒馬だ。」

「あの、魔道士さまは軍人なのですか?」

「軍人ではない冒険者だ。」

まあ、この団長は兵隊上がりなんだろう。

大きな穴を馬防柵で塞ぎ、小さな穴を破壊された家屋を分解した資材で塞ぐコトに成功した。

遠くで狼の遠吠えが連続して聞こえる。

もう深夜も過ぎた。恐らく二時間ぐらいで東の空が白くなり始める。

「交代で休憩しろ!!」

女も子供も棒の先に包丁や鎌を括り付けた即席槍を持っている。

魔物が来たら叫び馬防柵を盾に突けと命令している。


”グレイウルフ  ×82”

”ボーパルバニー  ×5”

”トビウサギ   ×12”

”オーガ     ×12”


よし!ナカナカだ、コレで魔石が出れば最高だ。

広場に戻るとうさみみっ娘が疲れた表情だ。

どうする?このまま進むか?

狼の遠吠えの数から察するにかなりの狼がこの先居ることが解かる。

狼の群の中にこのウサギを飛び込ませて良いモノか…?

いや、依頼はこのウサギを村に送り届けて王都に連れ帰るのが俺の任務だ。

この弱っているウサギを…。

いかん!!無駄にチャクラを廻したので凄くムラムラする。

素数を数えるんだ…。

「娘、出発するぞ!!」

娘の頭に手を置きヒールをかける。

コレで少しは疲労が癒えるハズだ。

うん、もっとモフりたい。

「はい!」

力強い返事のウサギ。

ご注文したいウサギです!!

背負子にウサギを背負い団長と挨拶を交わし村を出発する。

村人が手を振っている。


東の空が白くなり始める。

大地は森の暗闇だ、青白い魔法の光を従えて街道を走り始める。

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