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99.ギルド支部

「あ、あのラーニャと呼んでくださ…い?」

驚くうさみみっ娘のラーニャ。

寮の部屋からポーンで街道の分岐点、王都から一番目の東の町。

馬車で一日の距離にあるダルメに移動したのだ。

王都に向かう途中ココで一泊した。

ココから北に伸びる森を迂回する街道を進めば我が故郷である。

この町から森に向かう道が有る。

ただしその間は殆ど草原で所々に村が点在している。

「よし、ラーニャ、ギルドに顔を出す。付いて来い。」

「え?あの?ココ?ドコですか?」

「東の町ダルメだ。冒険者ギルドの場所を知っているか?」

「え?あホントだ。ココ、ダルメの広場?」

ココで馬車から降り、宿へ向かった、だから移動場所にしただけだったが。

どうやらこの娘はこの町の地理に明るいらしい。

「ソコが冒険者ギルドです。」

娘が指差す先にの建物にスイングドアと看板は剣と女神。

わかり易い位置にある。

「よし、行くぞ。道の情報を聞こう。」

「はい。」

スイングドアを潜ると中は混雑していた。

町に戻ってきた冒険者の混雑時間に遭遇したらしい。

なるほど、むさくて胡散臭い連中ばかりだ。

女性の冒険者も居るようだが少数だ。

ギルドの木の床を歩くとブーツの鉄鋲の音と床が悲鳴を上げる音が響く。

中を進むと何故か道ができる。

娘を連れて受付に並ぶ。

目を離すとあぶなそうだ。

並んだ列に謎の緊張感が走る。

そうだ、このピリピリした感じが冒険者と言うものだ。

きっと手厚い歓迎があるハズだ。

腕が鳴るな。

指の関節を鳴らして拳を暖める。

何故か前に並んでいた冒険者が列を離れる。

なんだ?トイレか?

ああ、あっちに並ぶほうが速いと見たのか…。

フォーク並びは意外と効率良いんだな。

俺の番が来た。

ヤレヤレ、面倒だが仕方ない。

護衛任務は各町のギルドに報告しないと報酬を取り上げられる場合が有るらしい。

まあ、不正防止だろう。

受付のオネーさんに笑顔で挨拶する。

何故か顔色が悪いオネーさん。

「王都の方から来ました冒険者のオットーです。コレが俺のカードと依頼書です。」

「は、はい、お預かりします。…。あの、オットー様、この依頼書の日付が今日なんですが…。」

「はい、ご依頼人がお急ぎなので、文字どうり飛んできました。」

「あの、オットー様のクラスですと指名依頼は…。」

「ああ。すいません、顔見知りから急ぎの依頼を受けたので時間が無かったのです。ご依頼人も納得されています。」

「そうですか…。」

頷くうさみみっ娘。

「ココから東の森周辺の情報が欲しいのですが?」

「はい、現在は各村への道はかなり危険な状態です。単独行動はお勧めしません。現在ギルドでは各村へ護送団を編成しています。」

「護送団?」

「はい、狼の襲撃が多くなっています。二、三人の冒険者を付けた商隊も襲われ壊滅しました。今は馬車数台を連ねて各村を回っている状態です。順路は未定ですが…。」

なにこのウルフパック?

絶賛通商破壊作戦中?

「サ、サンフェ村の状況はどうですか?」

うさみみっ娘が受付のオネーさんに問う。

「不明です。フーベル村から向こうへの移動は不可能な状態です。」

地図で示す受付のオネーさん。

サンフェ村より二つ前の村だ。

「そ、そんな…。」

絶望のうさみみ。

「ココからサンフェ村は正確にどちらの方向なんですか?」

「はあ?草原は丘陵地帯なので街道は蛇行しています。正確な方向はちょっと分かりません。」

「ふむ?街道はしっかり解かる物なんですか?例えば途切れていたり。川が有ったり…。」

「はあ、轍が付いているので見失うコトは無いと思います。」

「なるほど…。」

しかし、何で狼ごときでこんなコトなんだ?

気をつければたいした敵では無いハズだ。

冒険者ギルドを出た。

「そんな…。どうすれば…。」

絶望から抜け出せないウサミミ。

耳がショボーンしている。

うーん、困ったな。

せっかくの指名依頼で魔石をドロップする魔物祭りなのに。

うん、そうだな、落ち込んだ時は飯を喰おう。

適当な食堂に入る。

イモと根野菜の手羽先の煮込みシチュー&パン。

付け合せはキャベツの酢漬けだった。

食の進まないうさみみ。

俺は一瞬で食べたのに未だ食べ終わっていない。

「よし、サンフェ村へ向かうぞ。」

「はい、明日の朝に考えましょう…。」

「何を言っているんだ?コレから向かう。道案内を頼む。コレから夜どうし走る。」

「え?馬で?危ないです、狼は夜行性…。」

「いや、走るのは俺だ。お前は道案内を頼む。」

「え?もうすぐ日没…。」

「付いて来い。」

焚物を売っている露天で適当な大きさの二股丸太を2本購入する。

山刃で叩いて形を作る。

収納からロープを出す。

ロープで丸太を縛り簡易背負子を作って背中に背負いウサミミを乗せ予備のベルトを閉める。

「よし!!コレで村へ向かうぞ!!」

「えっ!ちょっと!!コレって!」

「おう、そうだ、俺が夜どうし走るからお前は道案内を頼む。」

収納から手ぬぐいを取り出し鉢巻にする。

コレから日の出までの耐久レースだ。

狼も熊も亜人デミも出る。

ヒャッハー!!エンカウント祭りだぜ。

魔物オブツは消毒だ~!!

劣化ポーションはビンビンだぜ!!

向って来る魔物は訓練された魔物だ!!

夜の草原は地獄だぜ~!!

おまえ、それ狼が出る草原でも同じこと言えるの?

夕日を背にダルメの町を後にした。

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[気になる点] 乗せ予備のベルトを閉める。 締める 俺が夜どうし走るから 夜通し どおし、ね
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