97.冒険者
冒険者の店へ行くと。
うほっマイト先輩!!
「いらっしゃいオットー様。」
「ああ、すみません。先輩。低級ポーションを40個下さい。」
「はいはい、用意します。」
俺も空瓶を並べる。
空き瓶を数えて精算する。
「ところでマイト先輩。つかぬ事をお聞きしますが。近くに本屋って有りますか?」
「本屋?図書館じゃなくて?」
「ああ、そうですね…。帝国料理の本を探しているんですが。」
「なるほど…。王立図書館にあるかもしれない。帝国の書物コーナーが有ったハズだ。でも王立図書館は貸し出し禁止だから、後は…王都の外に古本屋が有るよ。正門を出て…。ゴ…。古道具屋街に。」
「ああ、あのゴミ屋街ですか…。」
意外に面白そうだなゴミ屋街。
しかし、寄る時間は無さそうだ。
まあ、良いか。
馬を見に行く予定がある、その時に寄ろう。
「ああ、そうだ!オットー様。マジックインクが完成しています。追加分もです。」
「おお、ありがたい。」
正直もう空になる所だった。
瓶3個カウンターに並ぶ。
「先行発注分と追加分です。」
「たしかにでは金貨1枚を…。」
「よろしいのですか?割高ですよ?」
「ああ。自分で作るのには未だ難しいので年内中は注文するつもりです。又金貨1枚を先払いしますのでよろしくおねがいします。」
金貨2枚をマイト先輩に渡す。
お札を大量生産しなければならないからなあ。
「はい、では再来週までに作っておきます。」
「お願いします。あの、授業でお借りした魔石代をお支払いしたいのですが…。」
「ああ、アレは屑魔石なので御代は要りません。」
「そうですか、いえ、魔石を購入したいのです。」
「うーん、冒険者ギルドにお願いしたほうが速くて安いですよ?」
「ソコラ辺を詳しく。」
「魔石は魔物を倒した時に拾えるモノなのでギルドか冒険者に売ってもらうのが速いんです。」
「なるほど…。」
ベスタが遠征すれば手に入るだろう。
しかし、ソレでは手に入るのは2ヶ月以上先の話だ。
それとも俺が魔物を狩れば良いのか?
「実はあの魔石も店に来る馴染みの冒険者から安く譲ってもらったモノです。」
「う~ん。なるほど…。」
そうだな、俺はコレでも冒険者の端くれ(ランクナシ)。魔物ぐらい倒さないと。
チンピラや兵隊倒して何かゲームか?
「ありがとうございました。冒険者か…。」
冒険者は居るが魔物は狩ったコトは無い。
熊や狼は魔物に近いが魔物ではない。
少なくとも魔石は落とさない。
ああ、何処か近くにダンジョンは無いか?
ソコラ辺も含めて冒険者ギルドで行って見るべきだな。
購入した品物を収納して冒険者の店を出た。
冒険者ギルドに来た。
一階の酒場は客が居ないのでそのまま二階へ進む。
受付のオネエサンに魔石の買取をしたいと申し込む。
「もうしわけありません、昨日の入荷分は全て回収業者に出荷してしまいました。」
「在庫なしか…。次の入荷は?」
「はい、お昼前に回収業者が来るので今は在庫が無い時間帯です。夕方ぐらいから冒険者の方が見え始めます。朝に換金される方も見えますので。お昼前の早い時間なら在庫がございます。ただし数が必要な場合は冒険者に直接依頼され方が安いです。」
がーんだな。何時もタイミングが悪い。
「そうか…。王都の近くに魔石を落とす魔物が出る場所は有るか?」
「東の森が魔物が多いそうです。詳しいコトは3番窓口の街道安全情報でお調べ下さい。」
「そうか、ありがとう。」
3番窓口はカウンターが広くて衝立には王都周辺の危険情報MAPが色つきで貼ってあった。
魔物の分布図もある、意外に親切だな。
王都周辺地図を素早くスケッチする。
確かに東の森の近くは危険区域になっている。
簡単な地図なので距離も高低も何も無い。
たぶん測量ナシで記憶で作った地図だな。
水場と避難小屋、村の名前が書いてあるダケでも上等だ。
基本情報を頭に入れて窓口のオネーさんに聞く。
「すまないが最近の状況を教えてくれ。特に東の森の情報だ。」
「王都周辺の状況は安定しています。討伐しながら軍が移動したため特に良いです。東の森は…。最近は狼が多いそうです。討伐依頼を出した村が幾つかあります。ソレに合わせて亜人の襲撃は減っています。狼が森からでて街道でも遭遇したパーティが居ます。」
狼は石落とさないから…。
「そうか…。魔石を落とす魔物は東の森に居るのか?」
「はい、東の森で魔石を落とす魔物は”グレイウルフ”、”ハインドベア”、”オーク”、”オーガ”ですね。」
「む?グレイウルフとハインドベアが魔石を落とすのか?」
拾ったこと無いぞ?
「ええ、東の森は支配者クラスが居るので特に良く落とします。」
「そうか…。支配者クラスか…。」
王都の近くで中ボス居たかな?
「森の奥深くに入らなければ問題はありません。」
「主に東の森で活動している冒険者パーティは居るか?」
「申し訳ありません。4番窓口へどうぞ。」
なんだろ、このたらい回しは?
4番窓口へ向かいながら考える。
東の森に出るモンスターは”トビウサギ”、”オオネズミ”、”ゴブリン”、”グレイウルフ”、”ハインドベア”、”オーク”、”オーガ”、”ボーパルバニー”だ。
危険度もこの順番だ。
あの世界の様にエロゴブリン、エロオーク、エロオーガは居ない。
そんな異種姦するのは、この世界には居ない。
あの世界は過酷過ぎるな…。
人類には未だ早すぎる。
神話では支配者クラスでヒト種に化けられる者の子孫(人間との混血)が獣人種だと言われている。
まあ、南方に獣人種が多くて小数だがこの王国にも居る。
特に魔法学園では良く見るが…。
町ですれ違うのは少ない。
ボーパルバニーか…。遭遇したら面倒だな。
「いらっしゃいませ、ご依頼ですか?」
「ああ、すまない、東の森を主として活動しているパーティに聞きたいコトが有るのだが。まあ、目的は魔石の入手だな。」
4番窓口も広い。カウンターには衝立があり隣りの者とは顔を合わせることは無い。
「東の森へ行く冒険者で現在、王都に残っている者は居ません。」
「そうなのか?」
「ええ、森まで歩いて3日、馬で1日、馬車で一泊の距離なので。多くのパーティは概ね一週間の遠征です。」
「なるほど、遠征中か…。」
「はい、今は要人移動が有る為、街道安全確保のための追加報酬が出たので特に。」
「そうか、参加できそうなパーティを探していたんだが…。単独で行く冒険者は居るのか?」
「多くの単独冒険者の方は一番近い村まで遠征隊が出るのですが…。申し訳ありません。現在は東の森は遠征隊の出発予定がありません。」
「遠征隊?」
「はい、ギルドで調達しているチャーター馬車です、個人行商の方や巡礼者、買出しの為の乗り合い馬車なんですが。馬の調達が出来ないので。再開の目処は立っていません。」
なるほど冒険者ギルド護衛付き乗り合い馬車か…。
まさか軍の移動でこんなに影響が出るなんて…。
指揮官ドコのドイツだよ…。




