水浴び
エピオルになっても生活に劇的な変化はない。
今日も獲物を探して、西へ東へぷーらぷらだ。
嗅覚を研ぎ澄ませて、生き物の痕跡を探していく。
うん?なんか変な匂いがするな。
こっちかな?
獲物を探しながら、匂いのする方へ向かう。
しばらく歩くと匂いの発生源にたどり着いた。
鼻を近づけて確かめてみる。
間違いない。匂いはここからするみたいだ。
なんだろう?
触ってみるとしよう。
片翼を少しずつ近づけていく。
冷たっ!
なんだ水か。
水?…………水だ―!
興奮のあまり翼で水面を何度も打ち付けた。
俺の力で打ち付けられた水は大きな水しぶきになって降り注いでくるけど気にせずに戯れる。
こんなまとまった量の水と触れ合うのは久しぶりだ。
なぜならここはほとんど降らないからだ。
生まれ変わってからかなり経つけど、本格的に雨が降ったことはない。
降っても小雨程度だった。
たぶん今は乾期なのだろう。
久しぶりに水を飲もう。
水分は獲物の血で摂取できていたので喉は乾いていないけど、あれは喉に絡みついて爽快感が皆無だ。
味もいまいちだし。
頭ごと水に突っ込み飲んでみる。
味は少し苦いけど血液よりはおいしい。
毒が混ざっている危険性もあるけど、生命値と毒物経口摂取があるので問題はないはずだ。
これだけ飲んだらもう満足。
むしろ飲み過ぎたのでお腹がパンパンだ。
少し寝転がろう。
そういえば、ここってなんだろう?
池か川か海か湖か沼か。
海はないと思う。
水がしょっぱくないからだ。
ただし、この世界の海が真水で出来ているなら話は別だけど。
池と湖と沼……違いが判らない。
前世では気にしたこともなかったので追憶を使っても無駄だろう。
インターネットが使えれば判るのに。
ただその3つではないと思う。
何故なら水の流れを感じるからだ。
たぶん川だろう。
いい機会だから体を洗おう。
俺の体は土や埃、返り血で汚い。
特に血はとんでもなく臭う。
この臭いは、狩りの邪魔になっている。
鼻を使って獲物を探しているのに自分の臭いがそれを妨害している時もあるのだ。
石鹸なんてないから、ちゃんと落とせないと思うけど、少しでも綺麗にしたい。
思い切って川の中に飛び込んだ。
こうすれば衝撃で汚れが落ちるだろう。
イルカがジャンプして水面に体を叩き付けることで皮膚の汚れを落とすのを思い出したので実行してみた。
見えないので成果は不明だけど。




