初戦闘?
ステータスの攻撃と防御がややこしいので物攻と物防に変えました
動けない俺はそいつにとって格好の獲物だったのだろう。
地面を蹴る音が聞こえると、俺の体は押し倒された。
たぶん跳びかかられたのだろう。
振り払おうと力を籠めるが、身体は動かない。
そのまま碌な抵抗もできずに噛みつかれてしまった。
噛みつかれた場所は運が悪いことに喉だ。
早く振りほどかないと噛み千切られて死ぬ!
まだかよ!さっさと動け!
駄目だ。逸る気持ちを抑えろ。
どうせ毒が抜けるまで動けない。こういう時こそ冷静になるべきだ。
こうなればグランドエピオルの耐久力とこいつの攻撃力との勝負だ。
一度、冷静になると色んなことが見えてきた。
今、襲い掛かっている獣はおそらく犬や狼の類だろう。
昔、犬に噛まれた時と今回の感触と酷似しており、また僅かに触れる毛からそう推測したのである。
そして、ついに俺は気付いた。
噛みつかれてもまったく痛みがないことに。
こいつの牙はどうやら俺の体に突き刺さらないみたいだ。
やっぱり最上位種は半端ないな。
その獣が必死に噛みつき、時折爪でひっかいてくるがまったく効果がない。
金剛鉄壁の効果もあるだろうが、素の防御力も貢献しているのだろう。
そうこうしているうちについに体が動くようになった。
さあ、逆襲の時間だよ!
身体を少し捩じると、それだけで犬、もしくは狼は噛みついた状態を維持できずに弾き飛ばされた。
それで諦めればいいものをまだやる気みたいだ。唸り声を上げている。
再び跳びかかってくる音がしたが、目が見えなくても来ると分かっていれば撃墜は可能だ。
喰らえ!
翼を使い、獣を地面に叩き付けたようとしたが外れる。
やっぱり一回じゃ無理か。
何度も空振りしたが6回目でようやく成功した。
翼に当たり、獣が地面に叩き付けられると辺りに地響きが上がった。
うわー、やっちゃったなぁー。たぶん、地面にめり込んでるな。
念のため地面にめり込んだそいつに追い打ちを加え、もう動かないことを確認する。
すごいな、グランドエピオル。結果は圧勝だった。
こういう時、生き物を殺した罪悪感に打ちひしがれるべきなのだろうか?
ただ、俺は生き物を殺すのは慣れているのだ。
俺の前世の父親の趣味は釣りだった。
休日は釣りにつき合わされて、よく海に行ったものだ。
その時に会った父の友人は板前さんで、彼から魚の絞め方と捌き方を教わった。
それ以来、父の釣った魚を捌いていたのは俺だった。
哺乳類と魚類の差はあるがどちらも命だ。
そんなに違いはない。
さすがに人を殺せば、ショックを受けるだろうけどね。