事後承諾 02
「体がないことに気がつかないからしょうがないか」
「うっせ……って、俺のベットに寝転がるなよ!そしてすんげー今更だがお前は誰なんだよ!」
ベットに寝転がっていたそいつはむくりと体を起こしてひとつあくびをした。
「ふぁ……落ち着けってお兄さん――いや、坂月くん」
「って何で苗字を……」
「んなの玄関の表札見ればわかるってもんさ。俺はアキト。しがない異狩」
ややこちらを馬鹿にするような態度に腹が立つものの、聴きなれない言葉に疑問を覚えた。
「いしゅ……?」
「そ、正式名は異形取締狩官。妖怪とかの異形を監視したり狩るのがお仕事。あいつを使ってな」
アキトの視線につられ、部屋の本棚の横に立てかけてある刀のほうをみやる。真新しい教科書が並んでる横にある姿が異質だった。
「意味がわからない」
「だろうな」
「だったらわかるように説明しろよ」
めんどくさいという表情をありありと浮かべ、アキトは ベットへと腰掛けた。どうやらやっとまじめに説明してくれるらしい。こっちも落ち着いて聞いたほうがいいだろう。いままで部屋の中をふよふよしていたわけだが、ひとまず止まることにした。俺も座りたいところだが、そのまま床を突っ切っていきそうで怖くて座れない。
「妖怪とか、異形が住む次元で警察みたいなことしてるってこと」
「妖怪、警察……」
鬼やら刀やら自分が幽霊もどきになっている現状から予想はしていたが、ずいぶんとファンタジーめいた話だ。どうしてこうなったんだ。