下準備 02
「なあ、ハザマってなんだ? それってその半透明具合が関係してるのか?」
取り合えずひょうたんを指差しながら聞いてみれば、アキトは頷きながら答えててくれた。
「そうだ。そういえば、その部分で説明終わっていたんだよな。この世界は同じ場所にいくつか別の次元が重なって存在しているんだよ。本来、それぞれの次元に住むもの達はお互いの次元に干渉ができない理がある。別の次元を認識できたとしても、うっすらとしか認識できない。これが半透明に見える理由だな」
「つまりこの半透明具合は別次元のものを見ているからってことか……変な感じだな」
もう一度コガラシやひょうたんを見てみるとしっかりと半透明である。これが別次元にあるといわれてもあまりピンとこなかった。
「そうだ。で、狭間については、しっかりとそれぞれの世界が認識できる場所のことを示している。ここは独立しているはずの各次元がまっぜっこぜになっている場所なんだ」
「となると、俺が襲われたのは狭間世界にいたからか……? ん、待てよ。じゃあなんでおじいさんにあの鬼は襲いかかろうとしたんだ? 二人とも焦ってたけど、あのとき生世界にいたんだろ? 鬼は死世界のやつなんだから平気だろう?」
今の話を聞く限り、おじいさんは安全なはずだ。それにしては鬼はおじいさんを掴みかけていた気がするが、どういうことなのだろう。
「あの鬼が力をつけすぎて、生世界へと大きな干渉ができるようになったからさ。俺とコガラシがひょうたんを受け渡ししてだろう? 次元に干渉はできないが、次元移動はちょっとした小技でできる。でも、こうして長時間別次元に存在することや大きな干渉はなかなかに難しい。だから俺が君の身体を借りたんだ」
「こっちに干渉する鬼をこっちの次元で食い止めるのには、その次元にあるものを使えばいいってわけか……」
アキトが捕獲するまで俺の身体が必要な理由は分かった。あんな禍々しいものが暴れられてしまえば、俺も困る。早く身体も返してほしいし、あんなやつが野放しってのも恐ろしいからアキトたちには頑張ってほしいところだ。
「っし、問題なし。まさかあいつがあんなに器用に次元移動をこなすとは予想外でしたね。妖刀の申請したほうがいいっすかね」
コガラシはアキトが俺に説明している間に、立ち上がって軽く飛び跳ねたりして足の具合を確かめ終えたらしい。大事がなくて良かった。




