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早速の遭遇 03

 見覚えのある茶髪の青年が、いつの間にやら俺の背後にいたらしい。よっと軽く手を挙げて、仲のいい友達に会ったかのように挨拶してきた。


「う、うわ」


 咄嗟に俺は飛び退く。その様子を見て青年は朗らかに笑ってこちらに近づいてきた。


「ひっでー反応だな。そんな驚かなくてもいいじゃんか」


「ち、近寄んな! 半透明野郎! 何の用だよ」


 やはり半透明な姿に思わず後ずさる。この位置だと公園の入り口は通れないから、逃げるとしたら桜並木か樹木の中に入り込むかだ。


「そうびびんなって。いや、ちょっと昨日ぶっ飛ばされていたから心配したんだよねー生きているようでなにより。どうやら半透明になったようだけど……無事とはいえるのか」


「ぶっ飛ばされていた……?」


 そういえば、記憶が飛ぶ前にこいつと俺は話していた気がする。


「もしかして鬼に襲われた現場に居合わせてたのか?」


「おうよ。もう一回ぶっ飛ばされそうになったところを俺が逆にぶっ飛ばしたんだぜ!」


 ついでに起こしてほしかったものだけど、どうやら知らぬ間に命拾いをしていたらしい。昨日で二回も死にかけているとは、厄日だったのか。半透明な現状、それは続いているが……


「ま、まじか……」


「まじだ。まじ!俺スゲーから、ついうっかり全力でぶっ飛ばしすぎて、見失っちゃたんだけどな」


 粉々にならないように、力加減を考えたらマイルドにぶっ飛ばしたと笑っているけど、もしかして再度襲われたのは……。一度助けられたものの御礼を言うのは憚られる気がしてきた。それが目線に現れていたのだろう。視線を受けた青年は大げさに身をそらして反応した。


「な、なんだよ……! ! 死にたくなければ逃げたほうがいいかも」


 しかし、突然真剣な顔つきになるともにすいっと公園の入り口を示した。それ同時に、あたりの空気が重くなった気がする。さらに言えば、桜並木のほうが騒がしい気がしてきた。しかし、アキトを探せてない時点で逃げる場所にも困る。先ほどよりも駆け出したい衝動は治まってきているが、なんだかだんだん体がこわばってきた。とてつもなく嫌な予感がする。死にたくなければの忠告を受けてしまっているからには、ここを離れたほうがいいのだろう。


 「あーやっぱり、逃げるよりも地上から10mほど飛び上がったほうが早いかも……」


 「それは無理だ」


 そう返した瞬間だ。2つの塊が桜並木から飛び出てくる。




 



飛ばされたくだりに矛盾があったため訂正。

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