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事後承諾 06

 台所はいつもどおり無人であった。どうやら親は遅くに帰ってきて朝早くに仕事に向かったようだ。ある意味親と顔を合わせる状態じゃなくてよかったな。中身がアキトな状態で昨晩会っていたらどうなっていたことやら。

 食器棚の横に備え付けられた棚をみやれば菓子パンがたんまりとあるから、これをあいつに食べてもらえばいいだろう。普段これは俺の朝食代わりであたり昼食となっている。自分で食べられないのでなんともいえない気分だ。今の俺の状態は物に触れられない。家を移動していても、歩いているというよりも水中を漂っている感じだ。かといっても自分でもどう歩いているのかいまいち説明できない。食欲もなければ眠気も沸いてこなかった。


「改めておはようさーん」

 

 がちゃりと台所のドアを開けてアキトが出てきた。どうやら風呂に行ってしっかりと意識を覚醒してきたらしい。


「おそようさん。腹減ってんならそこの菓子パンとか食っていいぞ」


「お、ありがたくいただく」

 

 遠慮なく菓子パンをつかむとさっとその場で開封して、食べ始めた。どうやらかなり腹が減っていたらしい。この様子だと、食い終わるまでちゃんとした話はできないだろう。俺はおとなしく彼が食べ終わるまで漂っていることにした。


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