第九話 ギャル召喚士、ロロイの“本当の顔”を知る。
ゴブリンオーガを倒し、ダンジョンを後にしたソラとロロイは、馬車に揺られながら帝都へ戻っていた。
「ふぅ〜……今日マジで濃かった……」
「あなた、本当に頑張ったわよ。スライムたちもね」
ラムネ・メラ・バブル・ライムが誇らしげに揺れる。
「ぷるるっ♪」「ぷるるるっ!」「ぷる〜♪」「ぷるるっ!」
ソラはスライムたちを撫でながら笑った。
✦
帝都に着くと、二人はそのままギルドへ向かった。
扉を開けると、受付嬢ロゼリーがすぐに気づいて駆け寄ってきた。
「ソラさん! ロロイさん! おかえりなさい!」
ロロイが依頼書を差し出す。
「ゴブリン5体の討伐完了。それと……追加でゴブリンオーガも倒してきたわ」
ロゼリーは目を丸くした。
「ゴブリンオーガ!? Eランクの中でも強敵なのに……!」
ソラは照れながら頭をかいた。
「いや〜……ロロイさんがめっちゃ強くて……」
ロゼリーは微笑んだ。
「ロロイさんはAランク冒険者ですからね」
「……え?」
「……言ってなかったかしら?」
「Aランク!? そりゃ強いわけだよ!!」
ロロイは苦笑しながら肩をすくめた。
「隠してたわけじゃないの。ただ、言うタイミングがなくてね」
ソラは納得したように頷いた。
「うん、めっちゃ納得した!」
✦
ロゼリーが報酬袋を二つ用意する。
「依頼達成の報酬と、ゴブリンオーガ討伐の追加報酬です。
ロロイさんとソラさんで半分ずつ、とのことです」
ソラは袋を受け取り、重さに驚いた。
「うわっ……結構あるじゃん!」
ロロイは微笑む。
「あなたの働きも十分だったわ。遠慮しないで受け取って」
ソラは嬉しそうに頷いた。
✦
ギルドを出たところで、ロロイが言った。
「ソラさん、今日のご褒美に……美味しい料理を出す穴場の店があるの。
よかったら一緒にどう?」
「行く行く〜! お腹ペコペコ!」
ロロイに案内されて歩いていくと――
「……あれ? ここって……」
ロロイは微笑んで言った。
「私が泊まっている宿屋の“泊り木”よ。」
「えっ!? ロロイさんもここに泊まってるの!?」
ロロイは少し驚いた顔を見せる。
「ええ。エルフィーとは付き合いが長いの。
……少し事情があってね。私、とある貴族家系なのよ。
訳あって冒険者をしているけれど」
ソラは驚きすぎて声が裏返った。
「貴族!? Aランク!? ロロイさん、スペック高すぎじゃん!!」
ロロイは苦笑しながら扉を開けた。
✦
一階の食堂には、エルフィーが笑顔で迎えてくれた。
「ロロイさん、おかえりなさい。ソラさんも一緒なんですね!」
「今日はソラさんの初討伐祝いよ。美味しいものお願いできる?」
「もちろんです!」
運ばれてきた料理は、香草チキン、焼き野菜、スープ、パン……
どれも温かくて優しい味だった。
「うまっ……! エルフィーさんの料理、マジ最高……!」
ロロイも満足げに頷く。
「ここの料理は帝都でもトップクラスよ。穴場だけどね」
エルフィーは照れながら笑った。
三人で楽しく食事をし、スライムたちも小皿でご機嫌に揺れていた。
✦
食後、ソラは部屋に戻り、ベッドに倒れ込んだ。
「ロロイさん……Aランクで、貴族で、めっちゃ強くて……
ウチ、まだまだだなぁ……」
ラムネ・メラ・バブル・ライムが寄り添う。
「ぷるる……」「ぷるるる……」「ぷる〜……」「ぷるるっ……」
ソラはスライムたちを撫でながら呟いた。
「もっと……強くなりたい。
ロロイさんみたいに、誰かを助けられるくらい……」
まぶたがゆっくり閉じていく。
こうして、ソラの“次の成長”へ向けた夜は静かに更けていった。




