第二話 ギャル召喚士、初の帝都へ!
王城から二、三時間歩き、ようやく王都へ辿り着いたソラ。
肩の上では、名付けたばかりのスライム――ラムネがぷるぷる揺れている。
「ラムネ〜、ウチら今日からここで生きてくんだよ〜。
まずは……お金どうにかしなきゃだよね」
アイゼンから渡された金貨五枚。
しかし、使い方も価値も分からない。
「とりま、街ブラしよ!」
ソラはワクワクしながら大通りへ足を踏み出した。
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香ばしい匂いに釣られて、串焼きの屋台へ。
「おじさーん、これ一個ちょーだい!」
「へい、銀貨一枚だよ嬢ちゃん」
ソラは布袋を開け、
金貨を一枚ポンッと出した。
「これで〜」
屋台の親父の手が止まる。
周囲の客もざわつき始める。
「金貨!?」「あの子、何者だ?」
「ちょ、なんでみんな見てんの!? ウチなんかした!?」
親父は苦笑いしながら言った。
「嬢ちゃん……金貨なんて、こんな屋台で出すもんじゃねぇよ……!」
ソラは固まった。
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そのとき、通りすがりの女性が声をかけてきた。
「あなた、換金所の場所知らないのかしら?」
栗色の髪をまとめた、落ち着いた雰囲気の冒険者風の女性。
名をロロイと名乗った。
「え、換金所? てか、金貨ってそんなヤバいの?」
「ええ。平民の賃金では稼げないわね…大金だもの
ソラさん、よければ案内するわよ」
「マジ!? 助かる〜!」
ロロイは微笑み、ソラを連れて歩き出した。
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「ところでソラさん、職業は?」
「え、職業? ウチ、女子高――」
言いかけて慌てて口を押さえる。
「……召喚士、かな?」
ロロイは一瞬だけ目を細め、考え込むように呟いた。
「召喚士……珍しいわね。
でも、悪い人じゃなさそうで安心したわ」
ソラは意味が分からず首を傾げた。
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換金所の中は薄暗く、カウンターの奥には無精髭の男が座っていた。
「金貨を銀貨に換えたいのね? 一枚で……銀貨五十枚だ」
ソラは「へぇ〜」と素直に受け取ろうとしたが――
「待ちなさい!」
ロロイが鋭い声を上げた。
「金貨一枚は銀貨百枚でしょうが!」
男は舌打ちした。
「チッ……バレたか」
ロロイはソラの肩を軽く押し、耳元で囁く。
「こういう場所は、初心者だと足元を見られるの。気をつけて」
「ロロイさん、マジ神……!」
結局、ソラは銀貨百枚を無事に受け取った。
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換金所を出たソラは、自分の制服を見下ろした。
「……てかウチ、この格好めっちゃ目立ってない?
ミニスカJKって異世界じゃ浮きすぎじゃん……」
ロロイは苦笑いした。
「まあ……そうね。可愛いけど、視線は集めるわね」
「服屋とかない? ウチ、着替えたい!」
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ロロイは少し考えてから言った。
「服屋なら近くにあるわよ。
可愛い系がいい? それとも防御力に全振りした実用系?」
ソラは即答した。
「可愛い一択!!」
ロロイは吹き出した。
「ふふっ、じゃあ“レイプリー”に行きましょう。可愛い服が多いわ」
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店の扉を開けると、色とりどりの服が並び、甘い香りが漂っていた。
「うわ〜……めっちゃ可愛い……!」
ソラは目を輝かせながら店内を見回す。
その瞬間――
中央のマネキンに飾られたセットに、視線が吸い寄せられた。
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黒いフード付き外套。
中は白と水色を基調にした軽やかな上下の服。
ミニスカートには風の紋様が刺繍され、
足元には黒のモコモコ付きブーツ。
――魔導の外套セット。
ソラは息を呑んだ。
「……なにこれ……可愛すぎん? ウチのために作られた?」
ロロイが説明する。
「それは“魔導の外套セット”。
軽いのに防御力もあって、魔力の流れを整える効果もあるの。
ただ……高価よ?」
ソラは値札を見た。
金貨一枚。
普通の人なら躊躇する額。
だが――
「買う!!」
ロロイは驚いた。
「そ、ソラさん!? 金貨一枚よ!?」
「ウチ、可愛いは正義だから!!」
勢いよく購入し、試着室へ。
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着替えて出てきたソラを見て、ロロイは目を丸くした。
「……似合いすぎて怖いわね」
「でしょ!? ウチ、異世界ギャルって感じじゃん!」
外套のフードを軽く揺らし、スカートをひらりと回す。
ラムネも嬉しそうにぷるぷる跳ねた。
「ぷるるっ♪」
ソラは満足げに胸を張った。
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ロロイはふっと優しく微笑んだ。
「ソラさん、疲れたでしょう?
少し休んでいかない? 相談したいこともあるの」
「え、いいの? めっちゃ歩いたし、休みたい〜!」
二人は王都の大通りにある小さなカフェへ入った。
木の香りが心地よく、落ち着いた雰囲気の店内。
ソラはコーヒーを一口飲んで目を見開いた。
「……美味しっ!! 異世界のコーヒーってこんな美味しいの!?」
ロロイはくすっと笑った。
「気に入ってくれてよかったわ。
実はね、ソラさんにお願いがあるの」
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ロロイは真剣な表情で切り出した。
「薬草採取の依頼を受けていてね。
でも、その森には魔物が出るの。
護衛を頼める人がいなくて……」
ソラは一瞬固まった。
「ま、魔物……? ウチ、まだ初心者なんだけど……」
ラムネが心配そうにぷるぷる震える。
ロロイは申し訳なさそうに頭を下げた。
「無理にとは言わないわ。でも……ソラさんなら、と思って」
ソラは深呼吸して、笑顔を作った。
「……行くよ。ロロイさんにはめっちゃ助けられたし!
ウチ、召喚士だし、ラムネもいるし!」
「ぷるるっ!」
ロロイの顔がぱっと明るくなった。
「ありがとう、ソラさん。本当に助かるわ」
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コーヒーを飲み終え、二人は席を立った。
「じゃあ、帝都の外れにある森へ向かいましょう。
薬草は日が暮れる前に採りたいから」
「了解〜! ラムネ、行くよ!」
「ぷるっ♪」
ソラは外套のフードを揺らしながら歩き出す。
ロロイは少しだけ不安そうに、しかし期待を込めた目でソラを見つめていた。
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帝都の喧騒を離れ、二人は静かな森へと足を踏み入れた。
木々のざわめき。
ひんやりとした空気。
どこかで鳥の鳴き声が響く。
ソラはごくりと唾を飲んだ。
「……なんか、雰囲気あるね……」
ロロイは小さく頷く。
「ええ。でも、気をつけて。
この森には――」
ロロイが言いかけた瞬間、
茂みの奥で ガサ……ッ と何かが動いた。
ソラは思わず足を止める。
「……え、今の……?」
ラムネがぷるぷる震えた。
森の奥から、何かがこちらを見ている。




