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第一話 ギャル、異世界へ!

光に包まれた次の瞬間、雪代希空ゆきしろそらは豪奢な大広間に立っていた。

天井は高く、壁には金の装飾。

周囲には見たこともない服装の貴族たちがずらりと並んでいる。


「……え、どこ? てか、なんでウチ見られてんの……?」


ギャルとはいえ女子高生。

数十の視線に、心臓がバクバクする。




玉座の男が立ち上がり、威圧的に声を響かせた。


「我が名はローヴァン=アルデラン。この国の皇帝である」


突然の名乗りにソラは固まる。


「……あ、あの……」


「名乗りもせぬとは、不敬にも程がある!」


「えっ……!?」


怒号にソラは思わず背筋を伸ばした。


「ゆ、雪代希空……です……!」


皇帝は鼻で笑う。


「奇妙な名だ。見た目も軽薄で、どこの下賤の娘かと思ったわ」


(……は? 下賤って何? ウチ普通のJKなんだけど……)


イラッとしたが、ここがどこかも分からない。

ソラは唇を噛んで黙った。




ふと横を見ると、見覚えのある制服の少年がいた。

別の高校の生徒らしい。


(……よかった、ウチだけじゃないんだ……)


少しだけ安堵する。




大臣らしき男が前に出て説明を始めた。


「お二人は、この世界を救うために召喚された“勇者”でございます。

 魔物の侵攻が激しく、国は滅亡の危機に瀕しているのです」


ソラは呆然とした。


(いやいや……ウチ、ただのJKなんだけど……?)


隣の少年は胸を張っていた。


「勇者か……まあ、俺なら当然だよな!」


(……なんかムカつく)




その瞬間、ソラの頭の中に光が走った。


――ステータス画面が勝手に開く。




【名前】ソラ

【レベル】MAX(999)

【HP】1200

【MP】3000

【魔力】3500

【攻撃】1100

【防御】1050

【敏捷】1300

【運】4000

【職業】召喚士(スライム限定)

【スキル】スライムの心/空間収納/言語理解/共有/スライムの加護



「……え、ウチ……レベルMAX!?

 てかステータス高すぎじゃん……!」


魔力とMP、そして運が異常に高い。

これならスキルもスムーズに使える、と直感で分かった。


(でも……スライム限定って何……?)


不安が胸をよぎる。




皇帝が命じる。


「では、勇者である証を見せよ。スキルを使ってみせるのだ」


「え、今!? ウチ、スキルとか……」


「命令だ」


ソラは震える手を前に出した。


(……でも、ステータス的には……いける?)


「……召喚……!」




光が集まり、地面にぷるんと青い塊が現れた。


――スライム。


大広間に笑いが起きる。


「スライム!?」「最弱じゃないか!」「勇者の力とは程遠い!」


皇帝は鼻で笑った。


「くだらん。勇者どころか使い物にならぬ。

 鑑定士を呼べ!」




白髪の老骨、鑑定士グロウが杖を掲げる。


「……ふむ。少年は“勇者”。

 そして娘は……“召喚士”。」


皇帝が眉をひそめる。


「召喚士? しかもスライムとは……不要だな」


ソラの胸がズキッと痛む。


「……ウチ、頑張ろうとしただけなのに……」


耐えきれず、ソラは大広間を飛び出した。




城門近くで、落ち着いた声が背中に届く。


「待ちなさい、ソラ殿」


振り返ると、白い外套の男――宰相アイゼンが立っていた。


「……ウチ、なんかした?」


「いや。これは謝罪だ」


彼は布袋と、小さな金属板を差し出した。


「金貨五枚。そしてこれは“メッセージプレート”。

 名前を刻めば、互いに会話ができる魔道具だ」


ソラは目を丸くした。


「え、スマホみたいなやつ!?」


アイゼンは首を傾げる。


「……すまほ、とは何だ?」


「あ、ウチらの世界の……こう、離れてても話せたり、文字送れたりするやつ!」


アイゼンは一瞬考え、やがて頷いた。


「なるほど。君たちの世界の“すまほ”とやらに似ているのなら、その理解で構わない。

 用途としては、ほぼ同じだろう」


ソラは胸がじんわり温かくなるのを感じた。


「……ありがと、アイゼンさん」


「困った時は、これで呼びなさい」


アイゼンは静かに微笑み、去っていった。




ソラは城を離れ、ひたすら歩いた。


二、三時間ほど歩くと、視界が開ける。


巨大な城壁。

高くそびえる時計塔。

石畳の大通り。

人々の活気。


「……すご……! めっちゃ都会じゃん……!」


不安よりも、ワクワクが勝っていた。




肩の上でぷるぷる揺れるスライムを見て、ソラはふっと笑った。


「……ウチを慰めてくれてんの? 優しいじゃん……」


スライムは「ぷるっ」と鳴く。


「名前……つけよっか。

 青くて、爽やかで、可愛い……」


少し考えて、ぱっと笑顔になる。


「ラムネ!

 今日からアンタはラムネね!」


「ぷるるっ!!」


スライム――ラムネは嬉しそうに跳ねた。


ソラはラムネを抱き上げ、王都の街並みを見つめる。


「よし……ウチとラムネで、この異世界生き抜くから!」


こうして、ソラとラムネの冒険が始まった。


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